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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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レベリング その5

 時刻は9時を過ぎた頃、63階層の攻略が終了した。

 連戦の慣らしを行いながら攻略したため時間は掛かったが、戦闘時間を抜きにしても1層辺りの攻略時間は長くなっている。これも単純にエリアが広くなっている事が原因だ。

 このまま順当に進めば69階層はここよりもエリアが広くなるので攻略に掛かる時間も2時間程度になるのではないだろうか。

 まあ、転移石で69階層まで進み、レベリングしながら攻略するので関係ない話なのだが。


「連続で跳ばすぞ。出来るだけ私の傍に寄っておけ」


 一刀たちに忠告を入れてから63階層の魔法陣に乗って64階層に跳ぶ。

 その後、転移が完了して直ぐに転移石を使用して上層に転移する。これを連続で行うことで69階層を目指す。

 僅かに周囲の景色が変わること5回目。遂に69階層に辿り着いた。

 周りの環境自体は今まで攻略した60階層台と同じだがここに出現する魔物は今までで一番強く、70レベルに程近い魔物が闊歩しているはずだ。


「初期区域にいては魔物も大して集まらないだろう」

「だったら最終区域まで進めるか」

「そうだな。だが、最終区域の魔物たちは何かと厄介なやつが多いからマックス100で頼む」


 69階層に転移して直ぐに周囲の警戒を行いながら次の行動を話し合う。

 69階層と言うことで転移した直後から魔物との戦闘が起こる程度には多くの魔物が存在している可能性を考慮していたがそんなことは無いらしい。

 周囲を見渡してもざっと20体程度しか魔物の姿を確認することは出来ない。

 だったら、もっと奥深くまで攻略をしてしまい、魔物の出現率が高い最終区域で連戦を行った方が賢い選択だ。


「隊列は通常通りで」

「ここの階層の強さも確かめたいから一種ずつ戦闘を挟もうぜ」

「了解。索敵は俺と聖が行う」


 一刀が先行して進み、その後ろにレオと不知火、少し間を空けて私とロード、最後尾に聖と言った隊列を組んで森の中を進んで行く。

 私も索敵スキルを持っているが本職の一刀と聖が成長した現状では専門家に任せた方が良い。それに、私の場合は広く索敵するのではなく、自身に有利な範囲での索敵が得意なので早期発見には貢献できない。


「6時から5体。接敵10。三角兎」


 後方の警戒を当たっていた聖から接敵の知らせが届く。

 聖は必要なことのみで報告するが、要するに残り10秒で後方のトライホーンラビット5体と接敵すると言っている。

 しかし、後ろを取られているのか。出来れば前方か側方から来て欲しいものだが仕方がない。


「聖とロードで当たれ。抜けたヤツは各自撃破」


 前線を務める一刀と不知火は動かしたくなかったので、遠距離攻撃を持つ二人に攻撃は任せて生き残ったヤツは個人で対応する作戦を取る。

 この作戦だと抜けた魔物の攻撃をロードたちが受けると少々痛手だが、どうせレオが動くので気にするだけ無駄だ。


「ハイスターアロー......トリプルショット。4体タゲ」

「承知。トリプルスペル。継続から全体ですぞ。......ハイウィンドカッター」


 最初に動いたのは聖だ。

 アーツ発動の際に出現する青いオーラが弦を引いている矢に纏ったと思った瞬間、高速で撃ち出された。

 それはまるで流れ星が落ちるかのように一瞬で先頭を走っていたトライホーンラビットの脚を打ち抜き、行動不能にする。しかし、聖の攻撃はそれだけでなくハイスターアローを発動させた直後から3本の矢を構えてアーツを発動させた。

 その3本の矢は先ほど行動不能になったトライホーンラビットを追い抜いた4体の内3体に飛来して見事にそれぞれの脚を射抜いた。

 しかし、貫通力が足りていないため矢が刺さるだけに止まり、行動不能に陥らせることは出来なかった。だが、片方の足が負傷すれば通常通りの速度を出すことなど出来るはずもない。


 そして、その3体と最初の1体がロードの魔術の標的となってしまう。

 仮面によってその顔を見ることは出来ないが、スキルレベルが上がり戦術の幅が広がったとほくそ笑んでいるのだろう。

 初手で発動した杖術Ⅱのアーツであるトリプルスペルは次に発動する同一魔術をリキャストタイム無視で3回連続発動させると言うものだ。

 よって、ロードが次の魔術を行使すると本来1つしか構築されない魔術陣が3つ展開され、そこから巨大な鎌鼬が横凪に飛んでいった。

 たった1回なら大してダメージ与えることは出来ないだろうが、3回攻撃ならば無視できないダメージ量となる。

 それを証明するかのように射出されたハイウィンドカッターは未だ攻撃を受けていないトライホーンラビットを無視する形で取り残された4体に次々と直撃していった。


 ここで重要なのはハイウィンドカッターが全体攻撃だと言うことだ。もしこれが単体攻撃ならばダメージは稼げたかもしれないが時間効率が悪い。

 さらに言えば互いの手札を知っているからこそ狙ったHPまで削りながらMPの節約が出来る。


「オッケー。ハイウィンドサークル......ハイアローレイン」


 魔術の待機時間が終了し、ハイウィンドカッターによる攻撃を受けている4体のトライホーンラビットを範囲に含んで魔術陣が構築される。

 それから魔術が発動して小さな鎌鼬が展開する領域と化してトライホーンラビットのHPを徐々に削りだす。

 さらに追撃とでも言うかのように雨の如く大量の矢が降り注ぎ、そのHPの減少速度を加速させて終にトライホーンラビットを倒しきった。


「パワースラッシュ!!」


 そして、誰からの攻撃も受けずに近づいて来たトライホーンラビットは、聖の真後ろから出て来たレオの攻撃を避けることが出来なかった。

 愚直に大剣を振り下ろすだけのレオの攻撃もアーツの一つであったようで叩きつけられた大剣はいとも簡単にヤツを両断した。


 その間僅か10秒。レベルが底上げされていると言う理由もあるがそれ以上に何百体と魔物を倒して来た成果が表れている。

 互いが互いにフォローすることで無駄を省けているのが良いな。特に行動制限を掛けることが出来なかったトライホーンラビットを完全にレオに任せたのが連携をスムーズにさせている。

 これなら69階層でも無理なく連戦が出来そうだ。


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