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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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パーティ VS フォレストスパイダー その2

 戦闘開始の合図から数瞬後、最初に目に飛び込んできたのは両手で持つには少し難しい大きさの蜘蛛が5匹。

 それらは地面に足を付けて移動しており、私たちを目にすると同時に声にならないガラスを引っ搔いたような音を立てた。


「いきなりか。俺は周囲の警戒に入る。レオはスモールの処理を頼んだ」

「任せな!! 1分で終わらしてやるよ!!」

「私も詠唱に入ろう。聖、護衛を頼む」

「了解だよ」

「そんじゃあ、俺もゼロの護衛を受け持つぜ」

「吾輩は巣の処理をしてきましょう」


 エリア移動して直ぐに開戦するとは思いもしなかったが、目の前にいたのがフォレストスパイダーではなかったのが幸いだ。

 今、私たちの目の前にいるのはフォレストスモールスパイダーでレベルも意外と低い。それでも50は超えているがその程度なら散々戦っているのでレオに任せておけば問題はないだろう。


 レオが大剣を振り回しながらフォレストスモールスパイダーと戦闘を開始したのを尻目に詠唱を開始する。

 今回は私が安定して出来る最大の七種連続詠唱だ。そして、これを6回ほど行使できれば白黒は最大となり、攻略は瞬く間に終了するだろう。だが、詠唱中の私が攻撃を喰らうことになれば全てがやり直しとなるので聖たちに護衛をしてもらっている。


「ファイヤーボール......ファイヤーボール」

「残り四体!! 死にやがれ......ハイクロススラッシュ!!」


 ロードが火魔術を使いながら樹と樹の間に張られた蜘蛛の巣を燃やしている間にレオが最初の一体を倒し、続けて二体目のフォレストスモールスパイダーに斬り掛かっている。


「残念だがヤツが来たぞ」

「しゃあない。俺が抑えるから一刀は補助を任せるぞ」


 私の方も一回目の詠唱が後数秒で終わり、白黒が効果を発揮すると言うところで本命のフォレストスパイダーがやってきてしまった。

 ヤツは見上げる程の大きさで見た目は下位互換となるフォレストスモールスパイダーと変わらない蜘蛛の姿をしている。ただ、その爪は途轍もなく鋭利で、前方を塞ぐ大樹をまるで紙を切るかのように切断してこちらに向かって進んできた。


「あちゃ~、これって結構きつくない? ゼロ、僕もレオの援護に入るよ」


 詠唱が終わり背後に七つの魔術陣が出ると同時にバフとデバフをばら撒いて白黒の十字架を召喚した。

 しかし、もとよりレベルが低い不知火では、パラメータが上昇したところでフォレストスパイダーに勝つことは出来ず前足の一撃を喰らって大きく後退してしまった。

 見ればHPが1割弱ほど削れているので急いで回復を飛ばさないといけない。

 フロアボスと言うことで予想はしていたが、防御力特化の不知火でもあれだけHPが削れるとなると一刀たちが喰らえば3発と耐えられずに死ぬことになるだろう。


「【漆黒の剣 純白の盾 我は屍を築く修羅なり〈連続詠唱 四種白黒〉】」


 今の状態では七種類の連続詠唱をしていては時間が掛かりすぎるので四種類までに絞って詠唱を行う。

 詠唱が短いためアーツは先ほどよりも速く発動し、1つの魔術陣から放たれた淡い輝きが不知火のHPを満タンまで回復させた。

 それだけではなく、珍しいことにデバフのバルネラブルも成功したようで一時的にフォレストスパイダーの状態異常耐性を低下させることにも成功した。

 このままヤツの行動を制限できるデバフを掛けることが出来れば満点だがどうやら難しいようだ。

 周囲の状況を見ても未だフォレストスモールスパイダーの討伐は完了しておらず、後2体ほど残っている。

 今は巣の焼却を終えたロードがレオに加勢しているので全てのフォレストスモールスパイダーを倒すのも時間の問題だが、それ以上にフォレストスパイダーの攻撃が苛烈で不知火を回復させるので忙しい。

 それと聖がオリジナルスキルを使っているのでMP管理を行うことの方が最重要になっている。


「少々、手荒なことをしますぞ......【燃ゆる剣 燃ゆる盾 燃ゆる鎧 火を片手に炎を呼び寄せる 煉獄に住まう灼熱の主神よ いと高き御業を体現させよ〈クインティプルマジック・オブ・ファイヤ〉】」


 ロードが杖を僅かに掲げながら詠唱を開始するとすぐさま5つの魔術陣が構築され、火魔術が行使された。

 最初に魔術陣から出現したバスケットボールサイズの火の玉は一直線にフォレストスモールスパイダーを包み込んで燃やし尽くす。

 残りの魔術陣からは火の槍、嵐が生み出されてフォレストスパイダーに降りかかり、それから少しの時間を置いてヤツを中心に灼熱のエリアが構築される。

 残された最後の魔術陣からは火の鎖が射出されたが如何せんレベル差が大きいため一瞬にして無効化されてしまった。


「なんとなくは分かっていたがこれは困ったことになったな」

「全くだ。手が出せなくなる前に潰したいところだな」


 最前線にいる不知火たちが落胆した様子を見せる。

 何事かと火に包まれているヤツに目を向けると灼熱地獄と言っても過言ではない場所に居ながらHPが殆ど減っておらず、そればかりかそれを物ともせずに火の中を進み不知火たちへの攻撃を再開していた。

 ついでに言うならば周囲の樹も炎上していない。作戦の一部には森を燃やし尽くすと言う計画もあったがそれは困難になったようだ。

 ステータスが上がれば可能になるかもしれないがその時には直接ヤツを狙った方が効率が良いに違いないのでこの作戦は没かもしれないな。

 ただ、ロードの攻撃のおかげで数秒は時間を稼ぐことができ、これによって七種の連続詠唱を終わらせて白黒を成長させることに成功した。

 これでステータス面ではLV60の時より高くなっている。

 そのことを証明するようにヤツの攻撃を受けても不知火のHPは大して減少していない。ただ、他のメンツは良いとしても私が油断をして攻撃を喰らう事態になれば白黒は解除されることになる。

 そして、そんなピンチが今、訪れようとしていた。


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