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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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パーティ攻略 その12

 50階層台の攻略も上手く進み、もう直ぐ55階層も攻略できそうな所まで来ている。

 この階層まで来ると強力な個体も出現するようで、戦闘に入ると無駄に時間を取られることが多くなってきた。

 トレントンやファングウルフなどの相手なら何度も戦っているので、レベルが私たちより上でも案外簡単に対処できるが、40階層後半で見かけたヴェントウルフなどと戦闘するとなるとかなり手古摺ってしまう。

 仕方ないのでそう言った場合はロードに魔術を使ってもらい撃退しているが、それも敵が単体ならばと言う話で深層に向かうほどに魔物は集団で行動するようになり、もはや総力戦になっている。

 もちろん白黒などのオリジナルスキルを使えば楽にはなるが、それだとMP消費が恐ろしいことになるので何度も使える物ではない。


「しつこいぞ、てめえ!!」

「聖、あの風玉を潰すことは出来ないのか?」

「それは難しいかな。それに僕じゃなくてレオか一刀に頼んだ方が良いよ」

「ゼロ殿、サポートをお願いできますか!」

「任せろ。レオと一刀は後退しながら不知火にヘイトを移せ。不知火、5秒後にホーリープリズンを発動させる」


 私の合図と同時にレオたちが動き出し、不知火の下まで後退してヴェントウルフやハイドスネークなどのヘイトを外すと、今度は不知火がアーツを使ってヘイトを集めながらノックバック効果により魔物たちを少し後方へ追いやった。


「ロード、行くぞ......ホーリープリズン」

「承知しましたぞ。〈セクステットマジック バインド六属〉」

「3体、対象外だ!」

「レオが先頭で進め。聖は追尾してくる魔物だけ撃ち落としてくれ。行くぞ」


 今までも集団で襲われてきた時に使ってきた方法で今回も戦線離脱する。ただ、これでは戦闘終了にはなっていないので早い所この場から逃げ出さなければならない。

 レオが迷宮の羅針盤を使ってダンジョンの中央に向かい、私たちがそれを追いかける中、聖はホーリープリズンに入らなかったハイドスネークやファングウルフなどをアーツを使って足止めし始めた。

 火力不足で魔物を倒すことは出来ていないが、多少のノックバックはあったようで時間稼ぎには十分効果を発揮している。


 それから1分程森の中を駆け抜けることでやっと戦闘終了のアナウンスが鳴った。しかし、逃走中で魔物との戦闘が起こらないように中央まで直進ではなく、蛇行して進んだせいでゴールはまだ見えていない。


「レベルが低いから少しきついな」

「だが、ここでレベリングするのは少し時間がもったいない気がするぞ」

「俺は強敵と戦えて満足だ!!」

「レオが満足してくれたならこのままでも問題なさそうだな」


 レオが物足りないと暴れ出さないか懸念していたがどうやら杞憂に終わりそうだ。

 私としては攻略を優先させるばかりで、本腰を入れて戦闘をしているわけではないので退屈していないか不安だったのだ。

 白黒を使うとどうしても戦闘が簡単になってしまう節があるからな。がっつりと肉体で戦闘を楽しみたいなら圧倒できるステータスなど邪魔でしかないだろう。


「吾輩としてはこんな階層などとっとと抜けてしまいたいものですな。火魔術こそ派手でかっこいいものだと言うのにこれではーー」


〈〈とあるプレイヤーが七美徳の称号を獲得しました〉〉


「......これはワールドアナウンスですかな?」

「そのようだな。ここで確認してもいいか?」

「ここで止まっていたらいい的になるぜ」

「不知火の言う通りだ。ここから中央まであと少しだろうから向こうに着いたら休憩がてら情報収集をしてくれ」

「了解だ。それじゃあ、レオ」

「任せな!! 俺が道案内してやるよ!!」




 レオが先導して10分も経たない内に最終区画を抜けることができ、遂に55階層の攻略が終了した。

 ワールドアナウンスが鳴ったからか、魔物の侵入が殆どないこの休憩エリアでは虚空を睨むプレイヤーを多く見受けることが出来る。

 まあ、この階層まで来ているプレイヤーは少ないようで何十組といるわけではないのだがな。


「20分くらいで大丈夫か?」

「ああ、それでいい」

「さっきのアナウンスってもしかしてゼロのことじゃないでしょ?」

「そんなわけがあるか。それにあの時、私たちは一緒に行動していただろ」

「そうだよね。でも、もしかしたら気づかない間にまた何かやらかしているかもしれないじゃん?」

「それはあり得るな!!」

「さっきも言ったがそんなことはない。それより休憩は今のうちに取っておけ。この後は転移石で60階層まで跳ぶぞ」


 一刀は一人で黙々と掲示板を眺めているようなので私たちも各々が休息を取ることにした。

 ワールドアナウンスでは誰かが七美徳の称号を手に入れたと言っていたが、七美徳と言えば七つの大罪と対をなして出現することが殆どのゲームの定番用語だ。

 それと、これは私の予想だが神話に出てきた天使と深く関わりがあるのかもしれない。いや、確実にそれだろう。と、そんなことを考えてみたが情報が無い状態では考察のしようが無いので、私もフロアボス戦を考慮してメディテーションを使いMPを最大まで回復させておく。


 それからMPも回復し、他の面々も準備が出来たようなので60階層フロアボスについて話し始めることにした......のだが掲示板を巡回しても七美徳についてはめぼしい情報が無かったようで一刀が落胆している。


「良い情報は無かったようだな」

「全くない事は無かったがどの情報もデマだな。20分前の書き込みも見たがなりすましがいるようだ」

「なんでそんなこと分かるんだ?」

「もしも今回の美徳の称号を得た人物が上位プレイヤーなら掲示板を見たところで無意味に情報を教えるなんて愚行は犯さないだろう」

「だったら調べても意味なくね!?」

「それは違う。今のは上位陣などの話だ。これが自己顕示欲が強いプレイヤーなら迷わず掲示板に書き込んでいただろう。そうすればその情報から他の美徳について分かるかもしれないと思ったがこのありさまだ。きっと美徳の称号を獲得したのはそれなりに腕のたつプレイヤーだろうな」

「それが初心者だったらどうするのですかな?」

「そもそも初心者は美徳の称号を手に入れることが出来ないと思うぞ。まあ、根拠もない俺の仮説通りならって話だがな。それより、フォレストスパイダーについて作戦を練るんだろ?」


 一刀は何か掴んだようだがまだ私たちには教えてくれる気はないようだ。

 今聞けば金を要求されるに違いない。しかし、少し面白そうだが今はダンジョン攻略に集中すべきか。


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