パーティ VS リアクティブスネーク その1
「俺がぶった切るから援護頼むぜ!!」
「それがいい。俺と不知火はヘイトを買うぞ」
「援護なら僕とロードに任せて」
突然だがフロアボス戦だ。もちろん相手は50階層フロアボスのリアクティブスネーク。
40階層台は危なげなく攻略できてしまったので割愛と言うわけだ。レアな魔物が出現するでもなく、隠密行動を基本としてとにかく進んだ結果はたった7時間で9階層分攻略という強行軍にも引けを取らない攻略速度となった。
そして、始まったリアクティブスネークとの戦闘。
いつも通り私は外野だ。回復や支援は行うが白黒は詰みが見えるまでは使わないでくれと頼まれている。まあ、これくらいは許容範囲と言ったところだ。60階層からは効率重視で進むと宣言しているので戦闘を楽しむチャンスは少ないからな。
「エクスペンションダブル......ハイエンチャント・イエローアップ」
というわけで私も戦闘に参加する。
書術のアーツを使うことで付与対象を増やしてロードと聖にバフを掛け、再度書術のアーツでSTR上昇のバフをレオ、一刀、聖に掛ける。
今回の作戦はリアクティブスネークを倒す正攻法をそのまま採用する。
まずは不知火がヘイトを奪いその間にロードと聖が魔術と矢の遠距離攻撃でやつの鱗を剥がす。それからレオと一刀が攻撃し、爆発を喰らうことなくヤツの肉体に直接ダメージを与えることでHPを削ると言うものだ。
「まずは僕から行くよ。属性付与・風、属性解放......アローレイン」
聖がアーツを使用しながら矢を放つ。それは空中で数十本の矢に分裂すると鏃には同じく風を纏いながら次々にリアクティブスネークの鱗にぶつかった。
オリジナルスキルを使っていてもヤツの防御力は貫けず鱗に弾かれることになっていたがそれでも属性解放によって広範囲に及びヤツの装甲を剥ぐことに成功している。
「ナイスだぜ!! ハイクロススラッシュ!!」
鱗が剥がれた場所目掛けてレオの攻撃が炸裂した。青のオーラを纏いながらヤツを攻撃する二連撃は爆裂装甲が無い事を良い事に無防備の肉体を抉った。
リアクティブスネークも今の攻撃は流石に効いたようでHPが目に見える形で削れ、痛さに悶えながらレオから距離を取って樹の上に上って行ってしまった。
「次は吾輩がやりますぞ。トリプルスペル......ファイヤーストーム」
逃げていったリアクティブスネークを囲うように3つの火炎嵐が生み出される。
ハイファイヤーストームは進むごとに巨大になり最終的にヤツの一部を呑むこむことが出来るほどに大きくなった。
ロードの目的は森を焼くことでヤツが避難することが出来る樹を無くすことだ。私がリアクティブスネークと戦った時の戦法を魔術を使うことで簡単にやってのけたわけだ。
徐々にエリア内の樹に火が燃え広がり、ヤツが逃げた場所にも火の手が回り、地面に降りることを余儀なくされた。
リアクティブスネークは蜷局を巻きながら私たちに威嚇をする。さらに聖に剥がされた鱗もいつの間にか再生していた。それでも逃げる場所が無くなったのならここからはワンサイドゲームだ。
「ロード!!」
「【燃ゆる剣 燃ゆる盾 燃ゆる鎧 火を片手に炎を呼び寄せる 煉獄に住まう灼熱の主神よ いと高き御業を体現させよ〈マジック・オブ・ファイヤ〉】」
当然の如くロードの周りには複数の魔術陣が出現した。その全てが赤色の魔法陣であることから火属性魔術であることは確定だが魔術陣からどのアーツが発動されているか読み取るのは殆ど不可能なので判断が難しい。
仕方ないので流れているログを探り行使されているアーツを確認する。
確認と同時に待機時間が終了したアーツが次々に発動される。
最初に発動したアーツはファイヤーボールだ。一番最初に習得するアーツであるため当然と言えば当然なのだがファイヤーボールは低下力だが待機時間も少ない。なので、手軽に発動できると言うこともあり、ロードはついでにこのアーツを使ったのが一目瞭然だ。
ファイヤーボールが打ち出されている間に次の魔術が行使された。
リアクティブスネークの真下に展開されていた陣の一つから真っ赤な炎が煌めき空に向かって昇る。それはただのファイヤーピーラーだがリアクティブスネークの腹下から攻撃がされるため爆裂装甲に防がれる事無くダメージを与え、ついでに腹周りの鱗を誘爆していく。
それからも魔術は続く。ファイヤーピーラーと同じようにヤツの下に展開された陣からは範囲内を炎の海にするファイヤーサークルが発動する。
これによって鱗を剥ぐことができないにしてもその場から動かない限り継続的にダメージを与えることが出来る。それに与えるダメージは少量だが塵も積もれば何とやらで徐々にリアクティブスネークのHPバーが減り始めた。
しかし、リアクティブスネークものたうち回りながら炎の海から逃げ出し、怒りを伴う咆哮をかまし、私たちに向かって突撃してきた。だが、それを私たちが考慮していないはずがない。と言うよりロードが考慮していないはずがなかった。




