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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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パーティ VS アーマーボア その5

 ロードの周囲に風が吹いたかのように纏っているローブがはためく。

 体中から放出される魔力が原因のようだな。それにしてもどれだけMPを込めているのだろうか。聖と同じとまではいかないがそれでもかなりのMPを消費したようだ。

 これじゃあ、戦闘中に何十発とアーツを撃てずに離脱することになりそうだが今日はこれで終わりなので問題はないだろう。


「【火が灯り風が吹く 大地が怒り天雷が下る 静寂に沈むは無の極致〈セクステットマジック ハイソード六属〉】」


 ロードが詠唱を始めると同時に六つの魔術陣が出現し、魔力供給を受けてそれぞれの色に輝く。

 そして、アーツ名の宣言と同時に射出された。しかし、六つ全てが同時に跳ばされるのではなく炎で模られた剣から順にだ。

 それらは完璧な隊列を組む様に一直線に飛ばされてアーマーボアに命中した。それも、聖によって作られた傷口に迷いなく侵入してゆく。

 アーマーボアの腹に剣が突き刺さり、その巨体が何度か揺れる。

 私が見ていた限りだと4回目の攻撃でヤツのHPバーは砕けていたので過剰火力だったようだ。まあ、ヤツの弱点に魔術を打ち込めばそうなるのも納得できる。


〈戦闘が終了しました〉


 戦闘終了のアナウンスが流れるのと同時にアーマーボアの死体が消えてゆく。

 これでフロアボス戦も終了だ。今日はこのまま解散の流れになるだろうから明日は第41階層の攻略だ。

 40階層台も寄り道なしで進めれば明日はリアクティブスネークだけではなく60階層のフロアボスにも挑戦できるかもしれない。


「お疲れー」

「ラストアタック取れなかったぜ!! だが、眠いから俺は落ちる。じゃあな!!」

「ちょっと待て、レオ。落ちるなら結界石を使うから近くに寄れ」

「助かりますぞ。それじゃあ吾輩も落ちますな」


 予想通り、レオが直ぐにログアウトしていった。その後にロードも続いたので今残っているのは私を含めて四人だ。それも、時間が時間なので皆ログアウトしてゆくだろう。

 それと、私が無理を言って手伝って貰っているから結界石分の金額は後で一刀に払うとしよう。


「僕も今日は落ちるよ。この部屋だと魔物はポップしないだろうからね」

「了解だ。今日は助かった。明日の集合時間なんかはチャットで話し合おう」

「了解―。それじゃあ、お疲れさまー」


 光に包まれて聖がログアウトした。


「一刀と不知火はログアウトしないのか?」

「ん? ああ、すまん。少しドロの確認をしていた」

「ドロップアイテムか。何が落ちた? ちなみに私は毛皮だった」

「俺の方は牙だ。まあ、悪くはない程度のレア度だが、武器を新調するならこいつを使うのもアリかもしれないな、と」


 武器の新調か。私はミサキさんに装備の方は頼んだが武器については導魔と硬魔があるから新調する予定はない。

 流石に大型アップデートが来る前に一段上の希少級がデフォルトになる事態などないだろう。

 必要になるとしたら師匠の所で修行をする時だろうな。それもアップデートで宗教国に行けるようになればの話だが。

 後、希少級のアイテムをドロップする魔物も見つけなければいけないので装備さえ新調すれば当分は問題ない。


「それもいいが、60階層のフロアボスはスパイダー系の魔物だろ? もしかしたら暗器を作るにはそっちの方が良いかもしれないぞ」

「それはそうだがドロップするか分からんからな」

「あいつらなら、交換に応じてくれると思うがな。な、不知火?」

「......」

「不知火?」

「き、きたぁぁぁあ!!」

「うお、ビビった」


 一刀が驚いて武器を構えたが今のは私も驚いたぞ。それにしても不知火がこんなに声を上げるのは久しぶりに見た気がする。何かあったのだろうか。


「お、おい。聞いてくれよ。スキルの書がドロップしたんだけど。しかも、かなりレアそうだ。一刀、鑑定で調べてくれ」


 そう言って不知火がインベントリからスキルの書を取り出すと一刀に渡した。

 これはあれか? 俗にいうダンジョンアイテム。それともゴブリンリーダの時と同じでアーマーボアのレアドロップ枠だろうか。どちらにせよスキルの書がドロップしたのは運がいいな。まあ、そのスキルによるだろうが。


「これはアーマーボアの魔導がスキル化した物みたいだな。かなりのレア枠だと思うぞ」


 そう言って一刀がスキルの書を鑑定した結果を私たちの前に展開した。


〈魔鎧〉

MP量に応じて受けるダメージが僅かに減少する


「これは強いな」

「マジかよ。これ大当たり引いたんじゃね?」

「ああ、当たりだろ。売れば軽く100万は超えるぞ。どうするんだ?」

「流石に売らねえよ。てか、今すぐ使うわ」


 スキルの書を一刀から返してもらった不知火は直ぐに使用したようだ。スキルについて考えていた間にいつの間にか不知火の手からスキルの書が溶けるように消えていった。

 それにしても今のスキルはかなり強力だな。レア度的には私が持っているメタモルフォーゼと同等だろう。

 なにせ、MP量に応じてダメージが減少する。適応される範囲にもよるがアーマーボアからドロップしたことを考えれば物理耐性は確実だろう。それにもしかすると魔術に対しても効果が反映されるかもしれない。

 正直言ってかなり羨ましいが幸いと言うべきか私には不必要なスキルなのでアーマーボアを周回することは無いだろう。

 これが完全にダメージを無効化するなら周回するのは確実なのだがダメージ減少なら優先度は低いな。


「いやー、ダンジョン潜って正解だったわ。とりあえず今日は落ちるからまた明日な」

「了解だ。明日の予定はいつも通りだ」

「俺も今日は寝ることにする。ゼロも早く落ちろよ」


 不知火と一刀が同時にログアウトしていった。私も今日はログアウトするとしよう。

 土曜、日曜と攻略を進めてもまだまだやることは多いからな。体の調子を整えておくのもゲーマーの基本と言ったところか。


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