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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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パーティ VS アーマーボア その4

 殆どエリア内を駆け回るばかりで停止することが珍しかったアーマーボアが不知火と一刀の連携によりその足を止めた。

 まさに千載一遇のチャンス。そして、そのチャンスを逃すことなくレオが動いた。

 レオは戦闘前に教えたアーマーボアの弱点である腹まで移動すると次々とアーツを発動していく。地面に転倒し、腹をさらけ出したアーマーボアにはその攻撃を止めることもできず、ただただ黙って攻撃を受けるだけ。


「最後にこれでも喰らっときな!! ハイクロススラッシュ!!」


 最後の力を振り絞らんばかりにレオが大剣を2回振るう。

 青色の軌跡を残すその剣筋はアーマーボアの鎧にぶつかると金属を削る様にして魔導によって作られたヤツの外装を破壊した。

 しかし、残念ながらレオはヤツの装甲を剥がすのに殆どのアーツを使用してしまいリキャストタイムによりアーツを放てない。通常攻撃でもダメージを与えることは出来るだろうがそれでは大ダメージを期待することは出来ず、レオは物足り気にその場を離れ、アーマーボアの顔面に対して攻撃をするために移動した。


「今日はこれで最後だし、出し惜しみは無しでやらせてもらうよ」


 だが、レオではダメージが期待できないだけで他のメンツならば話は別だ。

 レオがヤツのさらけ出された腹から移動すると同時に的確な位置へと移動していた聖が矢をつがえながらそう言った。

 二本一緒にセットされた矢には三種の魔力が凝縮され、魔力がエリアの天井に向かって立ち昇っている。少し白に近い透明と翡翠の如き緑、トパーズのように輝かしい黄色。この三色が一つの矢に込められていた。


「MP消費無視の僕のとっておきさ。瞬間火力ならレオにだって劣らないよ!! 瞬間装填、属性付与・雷・風・無、属性解放」


 アーマーボアが纏う砕けた鎧から露出した腹に向かって矢が放たれた。

 それは1回だけに止まらず2回、3回と続き5回目の矢が放たれた時点で聖が矢を弓の弦に当てることを止めた。計10本にもなる属性魔力を蓄えた矢は狂いなくヤツの腹目掛けて飛来する。

 まず最初に2本の矢が同時に突き刺さる。

 今までは鎧により弾かれることが殆どであった矢はアーマーボアの肉を抉り内部に侵入した。それによるヤツのHP変動はほんの僅かだ。

 ずっとHPバーの減少を確認していた私だから気づけた程度だろう。


 だが、聖のオリジナルスキル、アビリティボウの属性解放が発動されれば話は変わってくる。

 ちなみにアビリティボウは瞬間装填がLV5になった時に内容の微調整と同時にスキル名も変えたため今はアビリティボウになっているようだ。

 MPを僅かだけ残して発動された矢は一つの矢につき50以上のMPは注ぎ込まれているだろう。それは武器種、魔術のアーツにおいても余程強力なアーツでなければ消費しないMP量だ。


 それが一度に解放されればどうなるか。今、私たちの前で証明される。

 最初に突き刺さった矢が雷属性の魔力を解放して周囲に放電を引き起こす。それだけに終わらず次に焼け焦げた部位を切り刻むかのように風属性の魔力が解放された。それにより放電により燃やされ、一部炭化した肉体は旋風によって削られヤツの肉体を抉る。

 そして、最後に無属性の魔力が解放されて衝撃波を伴いながら焼き焦げた肉体を吹き飛ばし、さらには矢が突き刺さった傷口を拡張させる。

 これが僅か1秒にも満たない間に行われた。もちろん、これは聖の思考が反映された結果、起こったものであるため事前に知らされていた私は攻撃の過程が分かったわけだ。


 最初に教えてもらわなければ私の目には矢が突き刺さった瞬間、稲妻のように黄色く輝き爆発したとしか理解できなかっただろう。

 まあ、そんなことはさておき、聖が放った矢は2本だけではない。そう、全部で10本放っているのだ。それが意味するのはこの攻撃は最低でも後4波はあると言うこと。

 さらに聖のエイム力とその演算能力が合わさればその攻撃はより凶悪になることは間違いない。

 そして、それはまたもや証明されることとなった。

 第一射目から少し時間を空けて放たれた2射目の矢がアーマーボアの腹に突き刺さる。それはレオが砕いた鎧の下にある肉体ではなく、先ほどの属性解放によって抉られた穴に突き刺さり、瞬間的に属性解放が引き起こされる。


 それにより傷口は広く深く広がった。

 アーマーボアは激痛が走ったからだろうか、横たわりながら咆哮を上げ立ち上がろうとする。だが、それは叶わなかった。

 続いて3射目となる矢が飛来したからだ。そして、ヤツが痛みに悶えている間にも4、5射目と矢が放たれてHPを削り肉体をも抉った。

 しかし、それでもヤツを倒しきることは出来なかった。

 それは属性が付与された純粋な魔力だったからだろう。アーツによる攻撃よりもダメージ量は劣っていた。言うなれば私が威力面で四苦八苦している三日月と同じプロセスを辿っていると考えられる。

 それでもヤツのHPが既に1割を切って勝利も揺るがないものとなっている状況を見ればやはりオリジナルスキルは強力であると思い知らされることだろう。


「最後は吾輩がやらせてもらいましょうかな」


 アーマーボアが激昂状態に入りレオが砕いた鎧が徐々に修復され始めた時、満を持してロードが杖を掲げた。


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