パーティ VS アーマーボア その3
気づけばフロアボス戦が始まって30分が経過していた。なんだかんだ、あの後に不知火はアーマーボアの突進攻撃をパリィすることに成功した。だが、私の想定通りヤツのHPが3割を切った時点で怒り状態に入りモーションが変わったため、パリィのタイミングがズレてしまい結局今も吹き飛ばされている。
それでも怒り状態になる前の感覚は生きるようで最初に比べれば対応するまで早い。それでも残りHPが1割になればさらにモーションが変わるのだがな。
「このまま行けば無事に勝てそうですな。ですが、吾輩はこの戦闘が始まって派手な魔術は使っていないのですよ。故に最後くらいは派手にやりましょうか」
「良いの? レオが怒るんじゃないかな」
「気にすることはないだろ。激昂状態に入れば今のレオでも与えられるダメージは少ないだろうし、ロードがやらなければぐだる予感がするからな」
アーマーボアのレベルは40と私たちの中で誰よりも低いがボス補正がはいっているので一人で勝つことが難しい。さらにヤツは魔導によって防御力も上がっており、激昂状態になれば鎧が強化されて物理攻撃が効きにくくなる。
そうなればレオや一刀といった物理職では大したダメージを与えることが出来ず、聖だとオリジナルスキルを使ってやっと対処できるか否かといったところだ。なので、物理耐性よりも魔術耐性が乏しいことを利用してロードによる波状攻撃をお見舞いしてもらった方が簡単に倒せるわけだ。
それによってレオがラストアタックを決められなかったと喚くかもしれないがいつもの事なので問題ない。それよりも、見た感じ大分疲れているようだし、文句も言わずにログアウトする確率の方が高いな。
「なんか違うんだよな。多段判定ではないから確実にパリィ出来るはずなんだが」
「俺はアーツのパリィしかできないから上手いアドバイスは無理だがパリィをしてみた感じだと敢えてアーマーボアの攻撃を下に往なしている感じだったぞ」
「下にか? それだとパリィ後の隙がデカくならないか。ま、少しやってみるわ」
どうやら一刀が不知火にアドバイスをしたようだ。一刀は剣術スキルを持っているがそのアーツの一つにパリィも入っていた。その使用した感覚を不知火に伝えたのだろう。
あのアーツもまあまあ判定がシビアだから好んで使うやつは少ないが一刀はよく使っている。あれを使えばパリィ成功後に相手の態勢を崩せるからその後の反撃に有利になる。
ただし、それはアーツの効果であって不知火がやろうとしているテクニックのみで起こすパリィは単にダメージの無効化だ。なので、下手をすれば自分の隙を作るだけとなってしまう。
ただ、パリィの感覚を掴むだけだったら良いアドバイスだろう。いくらダメージを喰らおうと死ななければ私が回復させることが出来るわけだからな。
アーマーボアが不知火に対して牙を振るう。それを盾で弾きながら対処すればアーマーボアは不知火の右を抜けていき、一度私たちから距離を取る。しかし、それは突進攻撃へ繋げるためでしかなく、エリアの端から大きく旋回してヤツは不知火に対して突撃を始めた。
不知火は盾を両手で押さえながら構えを取り、ヤツとの接触を待った。それから数秒でアーマーボアが不知火が構えた盾にぶつかる。だが、アーマーボアがぶつかった瞬間、不知火が盾をヤツの攻撃の軌道をなぞるかのように動かすとアーマーボアが不知火を避けたかのように通過していった。
「どうやら成功みたいだね」
「成功なのか? 私からすると攻撃の無効化よりは往なしただけのように見えるが」
「往なすことでダメージが喰らわなければ、それは攻撃の無効化と同意義ではないですかな?」
ロードが行ったことも確かに一理あるが私が想像していたパリィと少し違ったのでつっこんでしまった。それよりも当の本人はと言えば、何か納得を得たようでひっ切りなしに頷いていた。
「大体わかったから続けてもらっても構わないぞ」
本当に今のでコツを掴んだようだ。これでもう私は用済みかもしれない。と、そんな冗談はさておき、不知火から戦闘を続行しても構わないと許可が出たので、レオがやる気は十分だと大剣を振り回している。いよいよ戦闘も終盤に差し掛かって来た。
アーマーボアが不知火に向かって突進をかます。しかし、その攻撃を盾で捌き往なせば不知火は全くの無傷のままヤツの攻撃をやり過ごす。そして、自身の横を通り過ぎようとしたアーマーボア目掛けてアーツを発動させた。
アーツ特有のエフェクトをばら撒きながら行使されたパワースタンはヤツの顔面にぶつかり激しい音を立てる。だが、不知火の攻撃はそれだけに止まらず再度エフェクトが飛び交えば手に持った盾で思いっきりアーマーボアを殴りつけた。
今の攻撃ではアーマーボアのHPには変動が殆どない。しかし、ノックバック効果があるアーツを真横から受けたため巨大なヤツの身体はバランスを崩す。そこに待機していた一刀が駆け寄り前足に対してアーツを発動させれば光の軌跡を残して剣が振るわれ、ヤツは足をもつれさせて地面にその身を擦りながら転倒した。




