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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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大地の塔 その23

 背後から迫る気配を感じ取り横に避けることでファングウルフの攻撃を躱す。しかし、躱した先には5体のファングウルフが待ち構えており、牙をむき出し飛び掛かってくる。それを右手に持った硬魔で受け流し、生じた隙を突くように左手に持った導魔を振りぬく。この時に虚刀を使うことで周囲にいる魔物も巻き込み攻撃をする。


 だが、導魔を振るった際の硬直を狙って上空から複数の鎌鼬が襲ってくる。だが、この連携攻撃は何度か見てきているのですぐさま後方に回避して対処する。すると今度はそれを見計らったかのように樹の影からハイドスネークが数体飛び掛かってくる。

 階層が上がるにつれて魔物の質も高まり、さらに数も増えてきたことで反撃に移るタイミングが取りづらくなってしまっている。今もハイドスネークを全て斬り裂き迎撃すれば今度はラッシュボアが突進を始めると言ったように完全に後手に回っている状況だ。


 しかし、ここで無理やりにも反撃をしようとすると周りにいる魔物から攻撃を喰らいかねない。もし、攻撃を喰らえば、最低2回は防ぐことができるがその後は〈白黒〉が解除されて死に戻り一直線なので無理に攻めることはない。

 なので、今もこうして全ての魔物が私の近くに集合する瞬間を待っている。特に厄介なのは空中を飛び、風の魔導を行使するマギオウルと言う魔物だ。ヤツがとにかく邪魔なので早いところ処理してしまいたいが向こうも近づくと殺されると分かっているのか一定の距離を保ったままでいる。


 既に攻略を始めて8時間ほど経っているのでそろそろ休憩を入れるのが良いかもしれない。かれこれ8時間も動き続けていると身体的疲労はともかく精神的には限界が見えているかもしれないしな。なにせ徐々にパフォーマンスも悪くなっているのだ。このままいけばいずれはミスをしかねない。そう考えながらアーマーボアの攻撃を流衝で受け流し震撃で脳内を破壊する。


 攻之術理 二連


 後続のアーマーボアには瞬時に居合の構えを取り、メタモルフォーゼで導魔を呼び出してからの最速で2回導魔を振るう。逆Vの字を描くように斬りながらも虚刀によって伸びた導魔が剣先でアーマーボアたちを斬り裂きHPを削り切る。だが、それで安心してはいけない。私の周りには常に100以上の魔物が私を囲んでいるので死んだ魔物の穴を埋めるように次々と攻め込んでくる。


 〈白黒〉は既に最大なので火力に不足はない。それどころか少々過剰ともいえる威力を出せている。身体能力もパラメータが上昇している副作用か通常時よりも向上しているので動きにも問題はない。そのおかげでこうして魔物の攻撃を一撃も喰らわずに戦闘を継続できているわけだ。だが、遠距離攻撃手段だけがない。これがどうしても戦闘の遅延に繋がっている。


 とにかく遠距離攻撃を有していない私ではマギオウルを容易く屠ることができず、こうしてファングウルフやハイドスネークなどの近距離戦を得意とする魔物たちとの戦闘に茶々を入れられてしまう。正直な話、かなりウザイ。虚刀なら多少遠くの敵にも攻撃することはできるが力量不足故か離れた位置にいるマギオウルには攻撃を届かせることができない。


「このまま移動しながらマギオウルに近づくか。だが、それだと距離を取られたらまた振り出しに戻るな。やはり、確実に仕留めるには一瞬で接敵するほかないか」


 近づいてくる魔物を潰しながら最善手を模索しているとき急に攻撃に参加する魔物の数が増加した。どうやら今のでトレインの最後尾にいた魔物がここに到着したようだ。これでこれ以上は魔物が増えることはない。そうと分かればそろそろ反撃に移るか。だが、決して無理やり攻撃はしない。着実に、そして確実に一体ずつ魔物を処理していく。


 今までは守りを重点に行動していたのを攻撃に重点に置くようにして行動する。魔物の密度が高くなったおかげもあり少ない移動で攻撃に移れるので相手のモーションを見てから初動に移る前に倒す。周囲の魔物が少なくなれば自ら魔物が多い場所に移動し攻撃を再開する。硬魔で脳天を叩き潰し導魔で首を刎ねていく。一つの行動で止めるのではなく行動による勢いを次に繋げる。


 刀を振るい拳を突き出し蹴りを放つ。全ての動作を連続的に繋げながらも果敢に攻めてくる魔物は時には躱し、時には往なし、そして息の根を止めていく。戦闘も佳境に入ればファングウルフなどの魔物は残りの数を大きく減らし目に映るのは十数体のマギオウル。ここまでくればいよいよもってこの戦いに終止符を打てる。縮地を連続で使い地を駆けすれ違いざまにファングウルフの首を落とし、ラッシュボアの脳を砕き、ハイドスネークの身体を切断する。


「ふぅ、これでやっと一息つける」


 今まで溜まっていた疲労を吐き出すかのように大きく息を吐きマギオウルたちを見つめる。今も風の魔導が飛んでくるがもう私の周囲にはほとんど魔物がいないので余裕をもって回避する。それから息を大きく吸い息を吐きだすと同時に加速。地面を駆けてシールドを足場に空に上がり、導魔を振るってマギオウルを両断すれば今度は空間上に配置したリフレクトや樹を使いマギオウルに近づき次々とその命を刈り取っていく。


 そして、長いようで短かった戦闘は終了を迎えた。


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