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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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パーティ VS ゴブリンキング その3

 詠唱と共にロードの背後とゴブリンキングたちの足元に基本属性である火、風、土、雷、水、無属性の魔術陣が出現する。そして詠唱が進むにつれて魔術陣は高速で回転を始める。最初に魔術が発動したのはゴブリンキングたちの足元に展開された魔術陣であり、それは何とも形容しがたい現象であった。あえて言葉にするならば混沌であろうか。


 ロードの類まれなる思考能力と魔術の制御力によって無理やり行使されたとしか思えない現象。火が舞えば突風を受けて炎となる。しかし、数瞬後には全てが土に姿を変えてゴブリンキングたちを飲み込む。土の柱に罅が入ったと思えばその罅の隙間から放電が起こり、さらには放電が凍り付き樹氷となる。そして、最後にその樹氷が全て粉々に砕け散ってしまったのだ。これを混沌と言わずして何と言うのだろうか。


 通常の魔術とはわけが違う。ロードの思考力の補助を受け引き起こされた魔術だ。真似しようと思ってもロードしか同じことはできないだろう。だてに毎日仮面など着けていないと言うわけだ。それから魔術のエフェクトが収まり状況を窺えるようになれば当然の如くゴブリンプリーストとゴブリンパラディンのHPバーが砕けていた。だが、ゴブリンキングはかろうじて膝をつきながらもHPを2割残して生存していた。


 ボスだけあって意外としぶといな。それともロードの魔術が見かけによらず威力が低かったのだろうか。どちらにしてもアイツはこれで終わりだなと思い、ロードを見ればゴブリンキングに対して腕を振り落とした。そして、腕を振り落とす動作に連動してロードの背後に展開されていた魔術陣から出現した6本の槍が順に飛ばされていく。


 最初に飛来した炎の槍がゴブリンキングの腹に刺さる。だが、それでも炎の槍は止まることなくエリアの壁にヤツを突き刺したまま衝突する。次に放たれた嵐の槍がヤツの右手を、岩の槍が左手を、雷の槍が右足を、氷の槍が左足を、そして最後に半透明の槍がゴブリンキングの頭を貫きヤツの息の根を確実に止めた。完全にオーバーキルではあるがゴブリンキングを倒すことには成功しているので問題はない。流石に大規模な魔術の行使でMPが大分削れているがゴブリンの処理くらいなら今のMP残量でも問題ないだろうとみてレオたちに視線を移す。


 最後のゴブリンジェネラルはロードがゴブリンキングを魔術で攻撃しているときに討伐されたので、これで残りは前衛ゴブリンと後衛ゴブリンだけとなっていた。レオは後衛ゴブリンたちの中に突撃してゴブリンウィザードたちの中心で大剣を振るって次々と倒している。それをサポートするようにロードが補助に入ったので私は前衛ゴブリンを相手している一刀たちの補助に入ることにする。


 補助と言ってもパラメータ上昇系のバフは全て掛けてあるのでMP回収のためにアブソープを掛けたり、ゴブリンたちにデバフを掛けたりしながら〈白黒〉の効果を上昇させることだけに意識を割く。その甲斐もあってかゴブリンたちはあっけなく沈んでいき、そして、最後の1体もレオの大剣によって斬り裂かれて力尽きた。


〈戦闘が終了しました〉

〈身体強化のLVが上昇しました〉


「おつかれ~。ロードが派手に魔術を行使してたけどそれ以外は問題なく進んだね」

「そうだな。ここまでスムーズに進むとは思っていなかったがゼロの支援のおかげでゴブリンたちのHPを楽に削れたのが効いたな」


 確かにここのフロアボスにはゴブリンクイーンがいるから支援職がいなければゴブリンたちだけが強化されて苦戦はしないまでも攻略に時間が掛かっていただろうな。一刀の話を聞きながらついでに今回のドロップアイテムの確認を済ましてしまう。リストを見ても新しく追加されたアイテムは無かったので全部被りアイテムだったようだ。


「ドロの方はどうだ? 俺の方は外れだった」

「俺もハズレだ! もうゴブリンのアイテムはいらないぜ!!」


 他の奴らもドロップアイテムは外れだったようだ。ゴブリンのドロップアイテムなど魔石以外どれも外れだと思うので当たりを引く確率などたかが知れているが期待してしまうのは仕方がない。それより、もうここにいる理由はないので31階層に移動しようと提案し、特に反対意見も出なかったので魔法陣に乗り転移する。


「すげぇ!! マジで森の中じゃねえか。キャンプとかしたいな!!」

「こんなとこでキャンプなんかしたら魔物に囲まれるよ」

「そん時はぶっ潰すだけだろ!!」


 キャンプか。確かにこの森の中にいるとバーベキューとかがしたくなる。だが、聖の言う通りここでそんなことを行えば匂いにつられてファングウルフとかが寄ってきそうだ。それだったら現実世界(リアル)でやった方が確実に楽しめる。


「だったら夏休暇にでもどこかにキャンプしに行かないか? いいとこ知っているぞ」


 一刀の提案にレオが激しく同意し始めたので聖たちも参加することにしたようだ。もちろん私もキャンプをしたかったので参加することにした。まあ、今ここで計画を立てるわけにはいかないのでまた後日と言うことになり、探索を開始する。


 今回もレオが羅針盤にMPを込めることで、羅針盤が目的地を示すのでそれに従い進む。しかし、さっきまでのようにスムーズに攻略するのは難しそうだ。森を進むと私たちを見つけたファングウルフがこちらに攻撃を仕掛けてくる。ファングウルフ自体は単体でしか出現しないので討伐は簡単に済むのだがゴブリンたちがいた洞窟エリアよりも見通しが良いので戦闘の頻度が高くなってしまった。


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