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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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VS アーマーボア その3

 行動が停止しているほんのわずかな隙にヤツの胴体と右前足の隙間を縫って移動し、前に移動した重心を利用してその場で腰を捻り一回転。


 攻之術理 廻脚


 拳による攻撃より威力が高い蹴りによる攻撃がアーマーボアの腹に命中する。それでもヤツは腹の下に分厚い装甲を纏っていて攻撃が容易く通るとは思えない。しかし、鎧砕きが反応したと言うことはそこが弱点であることは確定だ。

 それを証明するかのようにアーマーボアのHPバーが削れ、装甲にも大きな罅が入った。だが、その罅も徐々に修復し始める。さらに間が悪いことにアーマーボアも意識を取り戻し、こちらを強大な牙で攻撃しようとし始めた。


 そうはさせないとヤツが行動に移る前に膝による追撃を与え、今度こそ確実に腹の装甲を破壊する。すると、今まで鎧砕きによって弱点判定となっていた腹の下のマークが消え、体内、それも腹の中に弱点反応が現れた。


「そう言うことか。それだったら」


 万全を期すため今にも動き出す直前のアーマーボアの腹に拳を添える。ヤツが動き出したら狙いがずれる。そうすると、またヤツの動きを拘束しなければいけなくなり、同じ工程を繰り返さないといけないので面倒だ。

 意識をさらに研ぎ澄ませると同時に鎧砕きの強度も上昇させる。より深く意識するほどにアーマーボアの弱点の位置が鮮明になっていく。


 何度も、何度もゴーレムたち相手に使ってきた術理なので失敗をすることはない。だが、今までとは違いアーマーボアの弱点は遠く、体の中にある。

 それにゴーレムたちと違い本体が金属ではなく人間同様しっかりとした肉体なので衝撃が吸収されないように気をつけないといけない。まあ、人間相手に作られた術理なのでその辺は基礎の基礎として叩き込まれたがな!!


 攻之術理 震撃


 アーマーボアに触れている拳を無動作で突き出す。打ち出された拳による衝撃はその場で発散することはなく一点、鎧砕きにより弱点とされる箇所まで浸透する。そして、弱点の位置に到達したところで衝撃波が生まれる。

 その効果は絶大であった。通常でも人間の内臓を傷つけることができる術理だ。それが〈白黒〉により超強化されている。その威力は想像を遙かに超え、体の真ん中で破裂したのにも関わらずアーマーボアの傍らにいた私にまで衝撃波が襲ってきた。


 もちろんアーマーボアはこの攻撃に耐えられるはずもなく断末魔を残しながら地面に崩れ落ちていく。


〈戦闘が終了しました〉

〈鎧砕きⅡのLVが上昇しました〉

〈解体ⅡのLVが上昇しました〉

〈危機感知ⅡのLVが上昇しました〉

〈魔力視ⅡのLVが上昇しました〉

〈視覚強化ⅡのLVが上昇しました〉

〈聴覚強化ⅡのLVが上昇しました〉

〈嗅覚強化ⅡのLVが上昇しました〉

〈感覚強化ⅡのLVが上昇しました〉

〈打撃強化ⅡのLVが上昇しました〉

〈身体強化のLVが上昇しました〉


「ふぅ、あと少し遅れていたら失敗していたな。それにしても......旨そうな肉だ」


 横たわるアーマーボアを見ているとそんな感想が漏れる。今日の昼に食った焼肉丼がまだ頭から離れていないようだ。なんだか腹が減ってきてしまった。コイツは......持って帰るのは無理そうだな。

 インベントリに収納できないかと試してみたが当然のごとく弾かれ、しまいには黒い靄となって完全に消失してしまった。アーマーボアの肉で串焼きが食べたかった。それも、始まりの街で出会ったルドルフさんがやっている露店のヤツだ。あのジャンキーな味が忘れられん。


 食べ物の話は置いといてルドルフさんは今、何をしているのだろうか。今思えば師匠が所属していたクランのクランマスターだったという話だったがそんな人がなんで始まりの街で露店などを開いているのだ?

 (かね)が足りなくて働いているわけでもないだろうし、もしかして趣味か? 趣味であのレベルの食べ物を作っているとしたら相当のめり込んでいるな。まあ、今度会うことがあれば聞いてみるか。


 今はそれより毎度恒例ドロップアイテムの確認だ。......まあ、当たりか。アーマーボアから落ちたアイテムは〈魔縮片〉というものだった。

 アイテムの詳細についてだがここが40階層と言うことでフロアボスのドロップアイテムの中では初めての上等級であり、さらにこの魔縮片はアーマーボアの装甲の欠片みたいだ。説明欄には『全て魔力によって構成されている』と書かれているからもしかしたらミスリルよりも魔術媒体として有能なのかもしれない。


 ただ、欠片と称されるだけあって小指の爪位の大きさしかない。なので、これで武器を作ろうとしたら相当な労力がかかることだろう。これは売却だな。確かギルドの依頼表だと2万バース以上の報酬が出ていた気がする。

 これだけ小さな素材で2万も稼げるのは驚きだがこれも一応魔石の次にレアなアイテムなので排出率は低い方だろう。


 それにしてもだ。運営に物申したいことがある。なんで〈アーマーボアの肉〉がドロップしない! しっかりとギルドの依頼表にアイテム名が載っているのだからこいつのドロップアイテムであるのは間違いない。

 あれだけ『コイツの肉は旨そうだ』とか頭の中で言っていたのになぜ運営は私の思考に反応しないのだ。いつもはあれだけゴミ乱数で私を苦しめるくせにこういう時だけ〈アーマーボアの肉〉よりも希少な〈魔縮片〉をドロップさせるとかたちが悪い。そこはアーマーボアの肉でもいいだろうが。


 今度クレームでもつけるか。いや、もちろん嘘だけど。まあ、いい。それより早く41階層も攻略してしまおう。アーマーボアとの戦闘は事前情報もあったおかげで10分もかからず終わったからな。やはり、弱点を完璧についたのがデカかったのだろう。あれのおかげでアーマーボアはHPが5割以上残っていたのに即死だった。


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