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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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VS ゴブリンキング その5

 ゴブリンジェネラルも最初と比べると非常にゆっくりな歩みだが着実に私の下に向かってきていることだし最後の仕上げをするか。

 戦うならすべて完璧な状態で挑みたいな、と考えながら次に行使するアーツを選択していく。


「ヘルオーラ......ホーリープリズン」


 アーツ名の宣言と同時にゴブリンキングを中心として魔術陣が広がり、そこから闇が這い出てくる。今のところ唯一の攻撃系の闇魔術が発動し、魔術陣の上に立っていたゴブリンキングたち3体たちのHPを一瞬のうちに削っていく。

 〈白黒〉により強化されたINTのおかげで闇に捕らわれたゴブリンキングたちのHPの減りは異常なものであるがそれでも何とか展開されている魔術陣の外に出ることができたようだ。


 しかし、それを見計らって待機させておいたホーリープリズンを放つ。ヘルオーラの効果範囲から逃げることができたゴブリンキングたちだが、しかし3体とも同じ方向に逃げることは叶わずゴブリンクイーンが左へ、ゴブリンキングとそれに追随したゴブリンパラディンが右へと離れていった。

 3体とも別々に逃げてくれた方がありがたかったが期待通りにはならなかったのでホーリープリズンでゴブリンキングとゴブリンパラディンを一緒に拘束しておく。


 これでゴブリンクイーンを守る者はいなくなった。ここまでくればゴブリンクイーンの脅威などあってないようなものだし、ゴブリンジェネラルたちを倒したら潰すか。その間にリキャストタイムがなくなるようだったらゴブリンキングたちにはもう一度ヘルオーラを行使してHPを削っておくのもありだ。

 だが、もしかしたらそれだけでゴブリンキングたちは死んでしまうかもしれない。さっきのヘルオーラでもゴブリンキング以外は5秒も闇に呑まれていれば死んでいただろうしな。


 今も必死に減少したHPを回復させるためにゴブリンクイーンが必死になって回復を行っているのを見て、『今更回復しても無意味だがな』と心の中でそう呟き、やっと私の所までたどり着いたゴブリンジェネラルに視線を向ける。

 これだったら私が出迎えに出た方が速かったが〈白黒〉の効果を最大まで発揮させることとゴブリンパラディンかゴブリンクイーンのどちらかを拘束しておくために走りながらではなく止まった状態で状況を見ながらアーツを行使したかったという理由もあるので気にすることはないかと思い直し、導魔を握る手に力を込める。


 舞台は整った。最大まで強化された私に最大まで弱体化したゴブリンたち。

 私に近づいてくる最初の威勢などまるで影も見当たらない脆弱そうなゴブリンジェネラル。その後ろで今も深い眠りへと身を委ねているゴブリンジェネラル。そのさらに後ろでは顔色を悪くさせながらも魔導の行使をやめないゴブリンクイーンにいつまでも王を守るために盾を構えるゴブリンパラディンがそして最後にこの状況になっても勝利を疑っていない愚かなゴブリンキング。


 〈白黒〉が最大まで発動してしまえばその恩恵は計り知れない。ざっと計算しただけでも一つのパラメータにつきSPに変換すると362ポイント分、レベル換算だと......72レベル分ってことか?

 え? それって今の私のレベルよりも高いのだが。それが全てのパラメータに適用されているわけだから......多分、434レベル分の強化が入っているってことか。


 何それ!? 実は知らないうちに私は化け物になっていたのか。そう考えると私は約500LVの状態で30LVのゴブリンたちに挑んでいると言うことか? しかもそのゴブリンたちには〈白黒〉の効果によって弱体化もされていると。

 いじめかな? いじめだよなこれ。ここまで本気で〈白黒〉を発動させなくてもよかったかもしれない。ここまで強化する意味もなかっただろうし、そりゃあ、ヘルオーラに少し触れただけでHPが蒸発するわけだ。


 まあ、いいか。ゴブリンクイーンへの攻撃を防がれた時点で本気で殺る(やる)と決めていたのだし、蹂躙することはすでに決まっていることだからな。


「それにしても遅かったな。まるで亀の如き進行速度に逆に調子が狂いそうだ」


 やっと、本当にやっと、私の下にたどり着いたゴブリンジェネラルを見上げながらそう言葉に出す。前衛職に必要だろうパラメータには全てデバフをかけておいたから、速度も遅いし、大剣を持ち上げる腕も震えている。

 それでも瞳だけは憎悪を滾らせ、しっかりと私を見ていた。


 攻之術理 閃撃


 ゴブリンジェネラルが持ち上げた大剣を振り下ろすよりも速く腰に差した導魔を鞘の中で滑らせヤツの首を狙って抜き放つ。

 いつもより研ぎ澄まされた今までよりも速い一撃をヤツは見ることがなかったことだろう。いや、もしかしたら見ることができたかもしれない。視線が宙を舞い、自分の首から漏れる黒い靄を。


 ゴブリンジェネラルを斬った導魔を見つめ、斬りつけた感覚が全くなかったとことに苦笑をこぼす。ここで〈白黒〉を使ったのは間違いだったかもしれない。自分でやっておいてなんだがこれでは全然楽しくないのだ。まあ、もう〈白黒〉は解除する気はないが。

 それはそうとゴブリンジェネラルの首が地面に落ちるより速く思考を中断する。次は地面に伏し、睡眠の状態異常にかかっているゴブリンジェネラルを標的にし、寝ているのならばそのまま永遠に寝かせてやろうと地面を蹴る。さらに、シールドとリフレクトを足場に使いながら空間を駆ける。


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