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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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大地の塔 その15

 そんなに嗤ったところで無策で突っ込むことなどしないぞ。もし誘っているならそれには応えられそうにない。私はただ暴れる獣とは違うのだから。

 てなわけで作戦を考えるか。まあ、作戦と言えるほどのものではないかもしれないがそれはご愛敬だ。それはさておきゴブリンリーダーにたどり着くまでには二つの関門がある。


 一つ目が前衛を張る大量のゴブリンソードやらゴブリンナイトたち。二つ目がその後ろに佇むゴブリンウィザードなどの後衛職たちだ。

 これまた面倒なことにゴブリンリーダーたちは一番後ろにいるのだ。正直に正面から突っ込めば前衛を倒し、さらに後衛を倒してからでないと相まみえることはできない。それに時間をかければかけるほど仲間を呼ばれさらに遅延を喰らうことになってしまう。


 ピンポイントで敵を攻撃できるスキルが欲しい。光魔術も闇魔術も碌な攻撃手段がないのは考え物だ。やはり神官が魔術のみで戦うのは難しいようだな。そうなれば戦うためには自身の肉体を動かすしかない、そして使うのは導魔と硬魔の二本だ。

 体術で挑むのは殲滅速度が遅いから刀を使って高速殲滅だ。それで前衛を蹴散らし......後衛はどうするか。同じように正面から攻撃するにはやつらは密すぎる。フレンドリーファイア覚悟で魔導を使われたら何発か掠るかもしれない。


 そう考えればゴブリンウィザードたちは遠距離で処理したいのだが遠距離攻撃に使えるアーツはヘルオーラくらいだ。ダメだ。どうしても私には近距離戦法しかとれない。

 攻撃のバリエーションのなさに膝をつきそうになるが何とか踏みとどまりついでに近くにいたゴブリンを斬り飛ばす。虚刀により刀身が伸びているため数体巻き込んで切り裂いていく。


 いや、強すぎるな。なんだこの攻撃。重さが変わらないのに刀身が伸びる刀とか恐ろしいったらありゃしない。やっぱり、魔力が鍵だろう。この魔力の刃をどうにかして飛ばせないものか。もし飛ばせれば立派な遠距離攻撃手段になるのだがな。

 何事も挑戦あるのみだ。ゴブリンリーダーまでの活路を作りながら魔力を飛ばすことを意識し、導魔を一閃。


 眼前のゴブリンマギソードを含め周囲のゴブリン4体を両断する。そして私が想像した通り虚刀により伸びていた刀身分の魔力によってできた刀が導魔から分離し魔刃となって飛んでいく。

 そしてゴブリンナイトに触れた瞬間一切の外傷を与えることなく霧消する。......できたわ。想像よりも簡単にできてしまったのだが。


 だが、もっと改良できる。今のは虚刀で折角作った分を消費して魔刃を飛ばしてしまった。それに飛んだだけでダメージを与えることはできなかったし、ついでに言えばMPを想像以上に消費してしまっている。理想は低コストで三日月状の斬撃を飛ばすことだ。


 グギィィィ!! ググギィィ!!


「チッ、目を離したすきにまた仲間を呼びやがった」


 いつもならサイレントを使って防いでいるのだが思い通りに事が進んでしまい油断していた。そこら中にある通路の一つから広間のようなこの場所へ6体のゴブリンたちが加勢しに来た。

 

「油断大敵だな......サイレント」


 今度こそ忘れずにサイレントを行使したため仲間を呼ぼうとしていたゴブリンリーダーの声が無音になり仲間をいくら呼んでも新しくゴブリンが加勢することはなかった。流石にこれ以上は増えて欲しくない。ゴブリンはこれだけいればお腹いっぱいなのだ。

 

 深呼吸をして再度一閃。今度は想像通り導魔を振るだけで三日月状の斬撃が飛んでいく。しかし、悲しいかな攻撃力は皆無のようだ。もしかすれば消費MPを多くすれば威力が上がるかもしれない。

 思い立ったら吉日。さっきの10倍のMPを込めて導魔を振るう。私の手の動きと連動するように生み出された斬撃は前よりも大きくそして速く目の前のゴブリンたちに襲い掛かる。


 そして奴らが纏う鎧に少しの傷をつけ消失する。


 ......ぶっつけ本番で新しい技を作ろうなんて戦いをなめすぎているか。結果としてはこの技は今は使えない。それに今のでMPを100以上消費してしまった。こんなもの連発などしたら私のMPなど一瞬で枯渇してしまうので今は封印だ。


「ハイエンチャント・ブラックアップ......アブソープ」


 今回は素直に今出せる力だけで切り抜けるか。導魔と硬魔を強く握りしめ構える。


 攻之術理 虚刀


 MPを流していくことで導魔に魔力が行き渡り、硬魔にも徐々に魔力が纏わりついていく。そして二振りの刀がぞれぞれ元の2倍程刀身伸びていき魔刃を形成していく。

 走り出すと共に導魔を振り下ろす。そしてその反動で回転するように硬魔を振る。さらにそこから止まることなく二振りの刀を振ればその間合いも相まってやつらは私に近づくことも叶わず死んでいく。


 それでもやつらの勢いは衰えず絶えず大群を以って攻めてくる。だがそれに押されることなく私も二刀を使ってどんどん一番左端にいるゴブリンリーダー目指し突き進む。

 時折飛来する矢をシールドで防ぎ、右手に持った導魔で多種多様な魔導を斬り裂く。遠距離攻撃による弾幕を抜ければさらに加速し舞うようにゴブリンたちの首を狩る。


 未だ周囲には絶えずゴブリンがいるが目の前は二つ目の関門たるゴブリンウィザードたちの軍勢への活路が開かれつつある。


「保険があるから大丈夫だができればこんな密集地帯に飛び込むことなどしたくはないのだがな!」


 踏み込みと同時に導魔と硬魔を左右逆方向横凪に一閃。これを機に私の前に立つゴブリンは全て斬り裂かれ死んでいく。


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