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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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虚刀

 十分に魔力が行き渡ったのを確認し、今出せる全力を持って導魔を振り下ろす。最上段から振り下ろされた導魔は重力の力も借り受け高速でゴブリンジェネラルへと迫るが導魔の刀身が足りず剣先からゴブリンジェネラルの首まで1メートル離れたところで空を斬る。

 そして空気を斬り裂く音が鳴った直後、ゴトンっと重い何かが地面に落ちる音が鳴る。


〈戦闘が終了しました〉


 やはり魔力とは便利なものだな。ついでに首も落とされ即死判定になり勝負も決まった。導魔を腰に差せば召喚獣に囲まれた護がこちらに近づいてくる。


「お疲れ様です。ところでゼロさん? 俺が何を言いたいか分かっていますよね?」


 はて? 何のことだろうか? ......とぼけるのはやめるか。護の目が怖い。


「さっきの攻撃と言い最初の攻撃と言い俺の目がおかしくなければゼロさんの攻撃はゴブリンジェネラルに当たっていないように見えました。なのにどういう訳かゼロさんの攻撃はしっかりゴブリンジェネラルに当たっていた。普通はそんなことはできないですよね? もしかしなくても今のがゼロさんの2つ目のオリジナルスキルですか?」


 おや? どうやら護は勘違いしているようだな。今の攻撃が私の2つ目のオリジナルスキルだと思っているようだ。護には悪いがこのままオリジナルスキルと言うことで勘違いしてもらうか。

 鑑定系統のオリジナルスキルでなければどうせ私が持っているオリジナルスキルを覗き視ることなどできないからな。


「まあ、そんなところだ。フロアボス戦と言うことで使ったが本来は切り札的に運用していくつもりなので内密にな」


「了解です。それにしてもそのオリジナルスキルはすごいですね。参考までにどんな効果か教えてもらえたりって?」


「簡単に言えば不可視の刃を創ると言ったところだ。それ以上は言えないがな」


 本当にオリジナルスキルと言うことで納得してもらえたようだ。実際のところは違うのだが今の護にはそれを知るすべはないので諦めてもらおうか。いずれ本当のことが分かるだろうがそれまでは騙されていて欲しいものだ。

 せめてイベントが始まるまでは隠し通せれば問題ないだろう。〈万象夢幻〉は効果が強力な代わりに制約も重いので効果から制約を推測されると面倒なのだ。


 特に〈白黒〉の効果の延長線上に〈万象夢幻〉があり、召喚される十字架の数が減少すれば制約の方も簡単に看破されてしまう可能性がある。イベントがPVPと言うこともありオリジナルスキルの露見は辛いものがあるからな。

 さて、護がアイテムの確認を始めたのでゴブリンジェネラル戦で実際に私が行ったことの説明をするか。と、言ってもやったことは単純明快、導魔に魔力を纏わせその魔力を導魔の延長線上に伸ばし、いわゆる大太刀と呼ばれる形状になるまで刀身を伸ばしただけだ。


 なぜ刀身を伸ばしたのかと言えば、そうしなければ今の私の技量ではゴブリンジェネラルの部位の切断などできなかったからだ。導魔の刀身は90センチメートルでよく使われている刀と大体同じ長さであるがその刀身ではきっと魔の森の時と同様ゴブリンジェネラルの半ばで導魔は止まっていたことだろう。

 しかし、導魔の刀身を魔力で創造した刀で伸ばしてやればヤツの部位切断も可能になるわけだ。そして私が魔力で創った刀の刀身を合わせれば導魔の刀身は2メートルを優に超える。


 刀身が2メートルを超えるのだ。つまり本来の導魔の2倍以上の刀身になり私の身長よりも長くなる。もちろん、刀身が長い分取り回しについても難があるがこれだけ長い刀による攻撃、しかも剣先での攻撃は如何に強靭な身体を持つゴブリンジェネラルの足首や首と言えども、いとも簡単に切断してのけたのだ。

 私がしたのはたったこれだけ。極大の太刀を扱う技術は必要だが刀身さえ伸ばしてしまえば技術だけでは抗うことができなかったことも可能になってしまうとは物理法則とは恐ろしいものだ。


 私とて細かいことは分からないが伸びた刀身の先端は円運動によりその速さが増している。つまりだ、刀の威力は鍔よりも剣先の方が高いのだ。これが私がゴブリンジェネラルに対して取った行動。

 護は魔力視のスキルを持っていないので導魔から魔力でできた刀が伸びていると分からずに私が導魔を振っただけでヤツの首などを切断したように見えたのだろう。そんなあまりにも不可解の行動を見せられては魔術以外ありえないとも思ったのだろうな。


 しかし、私はあくまでも神官なので基本属性魔術を所持しているとは考えにくくあり得るとすればそれは魔術よりも優れ、自身が思うがままに効果を発揮するオリジナルスキルへと疑いをかけたに違いない。

 私としては助かる誤解なので訂正はしないが護のおかげで魔力視のスキルを持っていない者には何が起きたのか分からないと言うことを知れたので魔力を隠蔽できるスキルでも見つけられればこの技も本当に切り札となりえる。


 魔力により見えない刀を創る。これは得物があってもなくても使えるようだし勝手に双心流の術理の中に入れてしまうか。名付けてーーー


 攻之術理 虚刀(虚ろ刀)


 この世界でしか使えないが私たち天道家の門下生でもいれば伝授してやるのも面白そうだ。まあ、私ができたのだから他の訪問者ができていても何もおかしくないのだがな。


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