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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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VS ゴブリンジェネラル その2

 魔力によって想像、いや創造された鞘の中をすべるようにして放たれた導魔はその刀身に極薄の魔力を纏いさらに鋭さを増していた。これでゴブリンジェネラルでさえも斬り裂くことができるだろう。

 ......刀身さえ長ければ。そう、如何にバフをかけていようが私は感じてしまったのだ。今の力量ではヤツを斬り裂くことはできないと。今、どれだけ最高な刀を用意しようがヤツの強靭な肉体を前にしては半ばまでしか私の刃は到達しないだろう。


 それでも私は刀を振るう。


 居合の要領で刀を振りながらスライディングをしゴブリンジェネラルを正面に右側に抜ける。20メートルという距離を全力で疾走したのだ。その勢いはそう簡単に止まることはなくスライディングした後も砂埃を立てながら地面を削るように進む。

 だが、思いっきり地面を蹴ることで滑る勢いを消しもう一度ゴブリンジェネラルに向かう。次に狙うのはゴブリンジェネラルの右足首。


 低い体勢を維持したまま今度は全身をねじる勢いを乗せた一撃を放つ。しかし、未だ気絶中のゴブリンジェネラルは反応できずに二回目の一太刀を浴びる。

 振り切った刀の感覚は軽かった。それもそのはず、初撃も今の攻撃も導魔の刀身がゴブリンジェネラルに当たっていないのだから。


 だが、悲観はしていない。力のままに刀を振った態勢を立て直し、バックステップすることでその場から離れる。それから一拍置いてクロウとアンブがゴブリンジェネラルに襲い掛かった。

 クロウたちは青白く光る爪で左右からクロスになるようにゴブリンジェネラルを斬り裂いていく。そして、前方からの攻撃を受け、ゴブリンジェネラルはたたらを踏むことなく(・・・・・・・・・・)後ろに倒れていく。


 そう、ゴブリンジェネラルは気絶しているとはいえたたらを踏むことなく後ろに倒れていったのだ。自身の両足だけを残して。


 グギャァァァァァ!!


 それから数秒後、気絶状態から解放されたゴブリンジェネラルは自身の出せる声の限り叫びだす。それでも足を斬られた痛みは治まらないのだろう。握っていた大剣などほっぽりだし切断された足を手で押さえ始める。

 

 魔物が何をやっているのだか。ゴブリンなどには血液が流れていないのは今までの戦闘からも分りきっている。いや、血などは出なくても痛みはあるのか。痛みがあったとしても私には預かり知らぬことだがな。この光景を見れば可哀そうと思う者がいるかもしれないが所詮、人類と魔物はこんな関係だ。

 魔物に同情心を持てばそれは人類に対する敵対と同じ。人と魔物は相容れない関係なのだ。と、言うのは教会の言葉である。


 まあ、魔物の中には村を守護し続けている変わり者もいるようだがな。さて、戦闘に戻るとしよう。今もなお痛みに悶えるゴブリンジェネラルだが護の命令により空中に待機していたハイドの急降下による攻撃で今度は目を潰されてしまったようだ。

 片手で目を押さえもう片方を無造作に振るう。ヤツの周りには誰もいないので当たることはないのだがフロアボスがこうも簡単に地面に腰をつけるとは実に滑稽だ。


 このまま護の召喚獣に任せても良いのだが今のうちにもう一度感覚を掴んでおきたいものがある。ゴブリンジェネラルはガルクを筆頭にクロウとアンブが隙を突くように攻撃を再開しており段々とHPが減り始めているがまだHPは7割を下回っていないのでゴブリンジェネラルを殺すのはもう少し時間がかかりそうだ。

 足を切断した割にはHPの減りが悪いようだが何故かそれ以上に精神ダメージと言うかゴブリンジェネラルに苦痛を与えている。やはり即死や大ダメージを与えるにはそれ相応の攻撃をしないといけないと言うことか。


 てなわけでやるか! 何をって? もちろんゴブリンジェネラルのHPを一撃で砕くことをだよ。さっきの攻撃でも大きなダメージを与えることをできなかったので今度は首を落とす。

 足首を切るだけでは死なないと言えど流石に首を切られてはゴブリン系の魔物なら生き続けることはできまい。道中に出現したゴブリンも両断すれば流石に一撃で死んでいたし、ゴブリンジェネラルも首を斬られては即死だろうと思ったわけだ。


 導魔を掲げ上段の構えを取る。私がヤツから離れていたおかげでヤツとの距離は大体3メートルは離れてしまっている。流石にこれだと距離が開いていてヤツの身体を攻撃するのは難しいのでにじり寄りながらゴブリンジェネラルとの距離を近づけていく。

 ヤツとの距離が2メートルほどになるまで近づけば十分だろう。ヤツはガルクたちによって集中攻撃を仕掛けられており、足を失って歩けず、武器も自ら投げ飛ばし使えず、視界も奪われ盲目になりとそれはもう残念な状態なわけだがそれに拍車をかけるようにガルクたちがスキルらしき攻撃も放っている。


 先ほどよりはHPの減りが早くなっているので早い所私もケリをつけてしまおうか。上段に構えた導魔に魔力を纏わせていく。そしてそれがさらに鋭くなるように魔力を操作する。操作と言っても感覚的なもので魔力に薄く伸びろと意識すると魔力が流動するように移動していくのだ。

 だが、その速度はそれなりに遅い。まあ、強く意識すればするほどに流動する速度は速くなるがな。


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