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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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大地の塔 その5

 攻之術理 閃撃


 私とゴブリンとの間合いが2メートルを切ったとき必殺の一撃が放たれる。ただでさえ圧倒的格下であるゴブリンにこれでもかと〈白黒〉によるバフがかかっている私の攻撃は触れるだけでゴブリンのHPを全損させる。

 そして、それだけでなく高速の一閃はゴブリンの頭と胴体を切り離す。息絶えたゴブリンに囲まれる中、刀を強く握りしめ己に宿る殺意を〈導魔〉に込める。


 攻之術理 羅刹


 殺気に当てられたゴブリンたちはその場に立ち止まり、硬直する。自ら首を差し出してくるなどおかしなやつらだ。まあ、私がそうなるように仕組んだのだが。

 立ち止まっているゴブリンたちは容赦なくその首を落としていく。これで最初に突撃してきたゴブリンたちは全ていなくなった。残りは殺気に当てられ少し離れたところで私の様子を伺っているゴブリンナイトとさらに遠方から私に隙ができるのを待っているゴブリンウィザードやゴブリンアーチャーだけだ。


 ここで処理に時間がかかってしまえばクロウたちがまだまだゴブリンを引き連れてくるためこの通路がゴブリンで溢れかえってしまう。戦闘を継続させるためにゴブリンアーチャーくらいは残して残りは殲滅してしまうか。


「護、残りのゴブリンたちは後どれくらいでこっちに来る?」


「バフが強力なのは知っていますがこの感覚にはなれませんよ。あ、そうですね。もう誘導を始めてるので後1分ってとこですかね。それにしてもゴブリンの頭を跳ばすとかどんだけですか。それ木刀ですよね?」


「確かに現実世界だとできない芸当ではある。だが、ステータスの恩恵とは凄まじいものだからな」


 パラメータが上がるごとに私の身体能力も向上しているのが分かる。〈白黒〉レベルまでくるとパラメータの上昇値も尋常ではないので護は今の感覚に違和感を覚えているようだ。

 一気に約300もパラメータが上昇すれば動体視力や初速と言ったものが通常時と比べて格段に優れたものとなる。これに対応できなければバフも逆に足かせとなってしまう。ちなみにこれは余り知られていないが意識しなければ一定のラインまで力をセーブされた状態になる。


 まあ、それだとバフの効果を十全に発揮できているとは言えない。そんなことはどうでもいいのだ。残り1分で追加のゴブリンが来てしまうので処理を優先しよう。硬直から解放されこちらにゴブリンナイトが向かってきているしな。

 羅刹により滲み出ている殺気を収め、〈導魔〉を腰に差す。最近はその攻撃範囲から銀樹刀を使った攻撃ばかりしていたが次は体術を使って相手をすることにした。


 私から殺気が消えたことで弱くなったとでも勘違いしたのだろう。嗜虐的な笑みを浮かべゴブリンナイトが剣を突き出し、私を串刺しにしようと攻撃してくる。

 それに対し私も片手を突き出し剣と手が触れた直後ベクトルの向きをわずかに右に変える。

 

 守之術理 流水


 攻撃の軌道を変えられたゴブリンナイトは虚しくも立ち止まっている私の横を体勢を崩しながらたたらを踏むように通り過ぎようとする。

 すまないな。背中を見せる敵には衝動的に攻撃したくなってしまうのだ。


 攻之術理 地落(ちおとし)


 右足を起点とし、腰をねじることで回転運動を加えた左拳をゴブリンナイトの背中に叩きつける。硬質的な音が鳴り拳と鎧がぶつかる。ちなみにメタモルフォーゼによって銀樹刀がアイアンナックルに変換されているおかげで私にダメージが入ることなくゴブリンナイトを攻撃できている。

 私の攻撃を受けたゴブリンナイトはなんとか踏みとどまろうとするが体勢を崩されたうえでの上段からの攻撃に抵抗などできるはずもなく錆が入っている鎧に拳の痕をつけ地面に叩きつけられ、そのままダンジョンに溶けて消えていく。


 次に飛び掛かって来たゴブリンも同じ要領で受け流し、背後から攻撃を当てる。1体、2体と処理するごとに私に飛び掛かってくるゴブリンの数が増えていき一体ずつの処理では間に合わなくなる。

 カウンターでの処理は終了だ。ここからは攻めに転じる。


 また、ゴブリンナイトが剣を振り下ろしながら斬りかかってくる。今度は往なすのではなく半身をズラすことで避ける。そして、通りざまに一撃を加える。もちろん、この攻撃に耐えれるはずもなく地に伏す。

 死んだゴブリンナイトをしり目に次の獲物を標的に定め接敵する。強化されたパラメータを余すことなく発揮した移動はゴブリンの目にも止まらず近づき反応もできぬまま私の攻撃を許す。


 攻之術理 死突


 右手で刀を模り、ゴブリンナイトの喉に手刀を突き刺す。鎧を着ていても兜はかぶっておらず楽に喉を突くことができた。肉を裂き、筋肉の収縮による圧縮を感じながら手を抜く。

 そしてゴブリンナイトが崩れ落ちていくのも一瞥(いちべつ)せずに近くにいたゴブリンナイトに掌底を放つ。


 攻之術理 震撃


 直後、鎧の内側から何かが破裂する音が木霊する。鎧に包まれていようが衝撃を浸透させる震撃をもってすれば絶対必中の攻撃となる。

 そこから、さらに留まらず近くのゴブリンナイトを処理していく。


 本来なら術理を使わなくてもこの程度の相手などただの攻撃で簡単に倒すことはできるのだが術理を使うことによって私の中でリズムが取れる。そしてこのリズムに乗ることで相手を私の土俵に強制的に連れ込むことができるのだ。


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