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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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大地の塔 その2

 既にダンジョンに入ってから数時間が経過している。今はどうにか5階層目まで到達することができた。この階層も今までの階層と同じで洞窟のようになっており、また階層の中央にある広間を探すために探索をしている。上の階層に向かうごとに魔物の出現率も増加するようで今ではそれなりの頻度でゴブリンと戦闘になっている。だが、ここらのゴブリンに負ける要素など微塵もないので苦戦などなく一瞬でケリがついてしまう。


 ゴブリンと言えど流石に階層も上がっているので1階層目よりは強くなっている。中には剣を持ったゴブリンソードマンや素手で戦うゴブリンファイターなどがいた。しかし、ドロップアイテムはほとんど変わらないため単にゴミがインベントリに貯まっていくだけだ。おかげで〈汚い布〉が60個以上もあるのだが。本当に要らないものを寄こしやがる。このアイテムの処分を考えるだけで頭が痛くなると言うのにな。


 だが、逆に良いこともあった。事前に知ってはいたのだがゴブリンを倒したとき通常のドロップアイテムだけではなくHP回復ポーションもドロップしたのだ。効果だけをみると露店で売られている物の方が高いが、ダンジョン内で魔物を倒すとたまにアイテムがドロップすると言うのが重要だ。これはダンジョンアイテムとも言い、稀にオークションにかけられるような強力なアイテムもドロップするとの話なので上位種っぽいゴブリンは見つけ次第退場してもらっている。


 ゴブリンからは強力なアイテムが出ることは少ないだろうが落ちる可能性があるなら見過ごすわけにはいかないのだ。冒険者ギルドで盗み聞きした話だとあるパーティーが4階層の魔物を倒したときに転移石がドロップしたらしい。あの転移石だぞ。確率的には小数点以下の話だろうが一攫千金とかロマンがあるじゃないか。


 それとダンジョンには宝箱もしっかりと準備されていた。これもダンジョン探索の醍醐味なので欠かせない。だが、困ったことにこの宝箱が通路の行き止まりとかにあるので狙って取りに行くのは難しいし、時間がかかってしまう。私は何回か行き止まりにぶつかっているがその中でもまだ1回しか宝箱に出会っていない。それで宝箱の中身が〈ボロボロの首飾り〉とか言うゴブリンファイターからもドロップするアイテムだったときはピッキとなってしまった。


 そう簡単にはレアなものは寄こさないということだろがせめて宝箱の中身くらいはもう少し良いものを入れてほしかった。


〈戦闘が終了しました〉


 そんなことを考えながら目の前を歩いていたゴブリンの首を刎ねる。ステータスの恩恵って凄いよな。私が使っているのは木刀だというの首を切断できるとかどれだけの力で振るっているのやら。魔物が血を出す設定じゃなくてよかったよ。それだと今頃はダンジョンが血しぶきでおぞましいことになっていただろう。


「お、見つけた。今回はすぐに見つかったな。毎回これくらいで見つかってくれれば探す手間が省けるのだがな」


 ゴブリンがいた近くの通路を通るとわずかに光が漏れている横穴を見つけた。まだ5階層目に跳んで20分程しかたっていないのにもう中央に近づいているのは朗報だ。すぐに横穴に入り光が出ている所を目指す。この通路にはゴブリンが数体いたようで私を見つけてすぐに向かってくる。


 気のせいかもしれないが中央に向かうほどに出現する魔物の数が多くなっているような気がする。もしかしたら魔物の数で階層の中央に向かっているか判断できるかもしれない。


「斬ッ!」


 導魔を振り抜き一閃することで同時にゴブリンの首を落とす。ゴブリン相手の戦闘もだいぶ慣れてきた。子供と同じ身長くらいなので首に向けて刀を振りやすいのが良い。まあ、強引に切断しているから断面はお察しの通りだがそこは気にしてはいけない。

 

〈戦闘が終了しました〉


 魔物を倒しても勝手に消えるから後処理をしなくて良いって言うのは楽だよな。流石に首がない奴の後処理など閲覧注意どころの話ではないだろうが。無惨にも屍となったゴブリンを跨いで先に進む。その後も10体以上のゴブリンと戦闘になりながらも光の下に向かって行くとついに広間に到着した。階層が上がるごとにこの空間で休憩をするプレイヤーの数が多くなってきている。


 しかし、ほとんどのプレイヤーはパーティーを組んで挑んでいるようだな。他のプレイヤーもソロのものは片手で足りるほどしかいない。ソロだと厳しいのかね。パーティーを組んだ方が攻略が早く進むし、フロアボスもソロで相手取るのは大変だからパーティーを組んだ方が効率がいいのは確か、か。


「あれ? ゼロさんじゃないですか」

「ん? お前は......(まもる)か。お前もこの街にも来ていたのか」


 プレイヤーの観察をしていたら黒髪の青年が声をかけてきた。私に声をかけてくるプレイヤーなどβテストの知り合いしかいないので記憶の海からこの男について探し出すとβテストの時にフレンドになった護だった。βテストのときは茶髪だったのですぐには分からなかった。髪の色が変わるだけで人って印象がかなり変わるもんだな。仕様上の問題で声や身長などは変えられないから護だと分かったがあいつは私のことをすぐに見抜いたな。これって単に私が見抜けていないだけか?


「そうなんですよ。俺はこっちでも召喚士にしたので他の街で召喚獣の召喚に必要な魔石を集めてたら結構時間取られちゃって、昨日やっとこの街に着きました」


 今回も召喚士にしたのか。ソロ御用達と言われる職業で、しかもマイナー職と言われているものをよく選んだな。まあ、一人の方が気楽と言うのはあるだろうが。


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