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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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最後の修行

今回から迷宮の街の話になります

 歩いて教会に向かう。この街もそれなりの数のプレイヤーが流れ込んでいるようで度々プレイヤーの姿を見ることがある。鉱山の街では前衛職、森林の街では後衛職しか見ていなかったのでこうして本来のパーティーとして活動しているのを見ると今まではチュートリアルのようなものだったのだと思えてしまう。ここに来るまでに装備を整え、難攻不落のダンジョンに挑戦する。良いね。こういうのを私は望んでいたんだ。


 街は中央に聳える塔のダンジョンを中心に広がるようにしてできているがダンジョンの近くにはギルドがあり、そこから離れるごとに居住区になっている。今までの街とは造りが全く違うが私が世話になる冒険者ギルドや教会と言った施設はダンジョンの出入り口のすぐそばにあるので移動時間がかからない設計になっている。いつも教会からギルドに行くのに時間がかかっていたのでどうにか短縮できないかと思っていたのだが、この配置は完璧だと思うぞ。全部の街でもこのスタイルで設計して欲しい。まあ、無理だろうが。




 やっとの思いで教会に着き中に入る。教会の内装はどこも同じようで今更語ることもないので近くにいたシスターにこの教会の神父を呼んで来てもらうように頼むとしよう。今のところ全ての教会に寄っているがシスターだけにとどまらず神官でもヒューマン以外の種族、例えばエルフなんかがいた。最初はエルフの神官がいることに驚いたがこれは普通のことらしい。この世界では偏った先入観は仇となるようなので変な先入観を持たないようにしていこうと誓った。そう、猫人の語尾が『ニャ』じゃなくても私は受け入れて生きていくのだ。


「すみません。私はゼロというものですがここの神父様を呼んで来てもらってもよろしいですか?」

「その必要はありませんぞ、ゼロ様」


 私の問いに対して答えを返したのはシスターではなく神官服を纏い、伸びた髭を触りながらこちらに向かってくる老人だった。

 

「あなたは......確か師匠と一緒にいた方ですよね?」


 誰だこのじいさんと、一瞬思ったがよく見たら始まりの街で師匠に会いに行ったときに師匠の傍に立っていた神官の人だった。まさか、私に会うためにここでずっと待っていたのだろうか。それだったら随分と待たせたしまっただろうし、申し訳ない。


「覚えてくださっていたのですか。改めてワシの紹介をしておきますかな。ワシはリジョル宗教国で大司教を務めておるナップ=メイルと申します。今日はリーン様の伝言をゼロ様に伝えるためにここまで跳ばされて来たのですぞ」

 

 まさかの大司教ですか。結構上の地位の人だよな。そんな人を簡単に動かせるとは聖魔典管理神官恐るべし。で、そんな人を使って私に伝言か。さてさて、どんな内容かね。あるとすれば修行の内容の変更とかだと思うがここにきて難しくなるとかかな。まあ、冒険者ランクの昇格試験まではまだ時間に余裕があるので別に構わないが。


「それで師匠からの伝言とは何ですか?」


「リーン様からの伝言は主に二つですぞ。まず、一つは修行内容を変えるとのことですな。もともと、この街で課す予定だった修行は『大地の塔の第50階層の階層守護者であるリアクティブスネークの討伐を単独でこなす』だったのですが冒険者ギルドの方から本国にゼロ様が一人でマーキュリーゴーレムの変異種の一種を倒したとの報告が上がってきたのです。そこで、リーン様が言うには一人での修業は完遂とみなしこの街では最低でも70階層の階層守護者をパーティーを組んだ状態で討伐しろとのことですな」


 いつの間に私の情報が宗教国に伝わっていたのか。電話などはこの世界になかったので遠距離通信ができる魔道具でもあるのかもしれない。それはさておき、やはり修行内容の変更だったか。もとは50階のボスを単独で倒すだけだったようだが私がマーキュリー・ホプリゾーンを倒してしまったせいで今度はパーティーを組んで最低でも70階層のボスを討伐することになるのか。


 パーティーを組んでいいのはあいつらと行動ができるようになるのでありがたいが逆にパーティーを組まなければ70階層のボスはきついと言うことか。まだ、ダンジョンに入っていないので魔物がどれ程の強さかは想像できないが推定500階層というのを信じればまだ浅いと言っても良い範囲なのだがそれでも今の私では難しいと師匠は判断したようだ。これは逆に燃えてくる。一度討伐したら今度はソロで挑戦してやろうじゃないか。強敵なら大歓迎だ。


「そして、二つ目ですが黒の月の中頃に定例会議を行うので参加して欲しいとのことです。詳細については後日詳しく説明が届くと思いますが、そのころにはゼロ様も本国に来ている頃でしょうし、そこでお聞きになってもらえればよろしいかと思いますぞ」


「その黒の月とはいつのことですか?」


 黒の月って何さ。初耳なんですけど。私は教授じゃないんだからこの世界の暦なんて流石に調べてないから分からない。


「これは失敬。ゼロ様は訪問者でしたな。黒の月とはこの世界の暦のことでして月初めが赤の月、そこから十二月あり今月は第七月の、白の月で来月が黒の月ですぞ。他にも気になることがあるようでしたら一度この世界について調べてみるのもいいかもしれませんな」


 なるほど。7月が白の月で8月が黒の月なのか。別に覚える必要性は少なそうだが一刀辺りにこの世界の暦について教えてもらうのもありだな。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 出された課題に苦労しながらも、軽くこなしていくところは格好いいです。 [気になる点] 師匠さんは、ゼロが課題を達成するスピードなどについては、予想の範囲内なのですか? [一言] 更新お疲れ…
2021/07/26 12:32 通りすがりの人A
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