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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第三項 森林の街
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1回目は断りましたから

「神官さま、僕にはオリジナルスキルがあるんですか!」


「私が使った鑑定によると少年にはオリジナルスキルがあるようだな。だが、今のスキルレベルでは詳細を視ることができなかったが」


 少年は自分にオリジナルスキルが宿っているとは信じられないといった様子で自分の両手を眺めている。アリアさんたちも流石にこれは想定外だったようで口を開けて少年を見ていた。


「僕にも戦う力が......」


「少年、オリジナルスキルの恩恵を預かっている私が言うのも説得力がないがその力は過信しない方がいいぞ。戦闘においては結局最後まで信じられるのは自分が磨き上げた技だけだからな」


 その言葉に少年は深く頷く。少年にオリジナルスキルの存在を伝えたのはいいがこれで努力せずに成り上がろうなどと思わないように一応釘を刺しておいた。


「ゼロ様、本当にレイにはオリジナルスキルがあるのでしょうか?」


「ええ、ありますよ。ですがさっきも言ったように私の鑑定では完全には視ることができなかったので専門の鑑定士などに頼んでみるのがいいと思います」


 そんな人がいるのかは知らないが、王城に仕えている人間なら居そうだな。その人に視てもらえるかは別問題がな。まあ、そこまでは私が知る由もない。


「そう言うことだ、少年。強くなりたいんだったら私に師事を頼むのではなく、数多の知識や技術を学べる冒険者になる方がいいと思うぞ」


 そう言い残し私は今度こそこの屋敷を出るために歩き出す。途中、アリアさんに止められるがそれを「私の用は終わったので」と言い振り切る。

 そろそろ門に到着しようとしたとき背後から少年の『ありがとうございました』と言う声が聞こえてきたので私は無言で右手を挙げてそれに返答する。

 

 今のは個人的には中二心をくすぐる別れ方だと思うのだがどうだろうか? 結構強キャラ感が出ていたんじゃないかな。

 少年とはまたどこかで出会いそうな気がする。なんて言えばもっと完璧になるのだがさすがに少年が活躍するまでにはAWOのサービスも終了しているだろう。もし、それまで続いているなら成長した少年がどうなるのか気になるところだな。


「ゼロ様、今回は誠にありがとうございました」


 屋敷を出るといつの間にか外で待っていたジェスタさんにお辞儀をされる。私も軽く礼を返し『大したことはしてないですよ』と返す。

 本当に大したことはしてないんだよな。私が使ったのは時間とMPだけで失ったものは何もない。


「これは奥様からゼロ様に渡すように言われた謝礼です。どうか受け取ってくださいませ」


 そう言ってジェスタさんが小包を渡してくる。報酬か! 報酬なのか! 欲しいぞ。だが、ここでもらうわけにはいかない。耐えるんだ、私。なんのために今まで報酬を断ってきたと思っているんだ。


「いえ、それをもらうは訳にはいきませんよ」


「そうおっしゃらずに受け取ってください」


「そこまで言われては仕方ありませんね。ありがたく受け取らせていただきます」


 よっしゃあ!! 報酬ゲットだぜ。これ以上断り続けたら堂々巡りになるので仕方がなく、本当に仕方がなく私が先に折れたのだ。

 一回目は断ったので外聞についても問題ないだろうし、何が入っているか楽しみだ。だが、開封は一度ログアウトしてからにしよう。


「それとこちらは奥様のお父様が運営しております商会への紹介状でございます。もし、連合国に行く御用がありましたら是非有効活用して欲しいと奥様からの伝言でございます」


 連合国の商会か。それは随分と先の話になりそうだが、その時は寄らせてもらおう。あの国にはオークションに参加するという目的があるからな。

 それからもう一度ジェスタさんたちにお礼を言いその場を離れる。無事にアリアさんにかかった呪いを解くことができたし楽しい模擬戦もできたので良い昼になった。これでウッドアニマルが見つからなかった鬱憤も晴らせたというもの。


 また、機会があればあの二人には相手をしてもらいたいがもうここに来ることはないかもしれない。それに二人には門を出るときに会ったがかなり怯えられてしまっていた。

 あれだけボコボコにしてしまったので門番としての自信に傷をつけたかもしれないが上には上がいるっとことを再確認するいい機会だったと思って諦めてくれ。


 アリアさんたちの屋敷を出てから住宅街を抜けてラピを預けている宿まで戻ってくる。既に部屋を取っているので店主に会釈をして階段を上がり自室に入ってログアウトのボタンを押す。

 徐々に意識が薄くなり私の感覚が現実世界に引き戻されていくのを感じる。もっと戦いたいと体が疼いてしょうがないがひとまずは休息だ。


 次にインしたらやっと師匠が課した修行に手を付けることができる。擬態能力が異常に高いせいで午前中は無駄にしたが今なら勘が冴えているし確実に見つけ出せる気がする。

 おっと、時間のようだ。ついに私の意識は完全になくなり、次に目を覚ました時には自室のベッドの上だ。昼飯も早く済ましてちゃっちゃとAWOの世界に戻ってこよう。


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