表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第三項 森林の街
119/378

エルダートレントン その4

「何やらPKの連中も何か企んでるみたいじゃねえか。こりゃあ俺たちも負けてられねぇな」


「不知火のいう通りだぜ。俺たちも早いとこ迷宮の街まで行っちまおうぜ!! フィールドボスはアーサーたちが倒していたし定期馬車も出てるんだろ?」


「出てるよ。それに僕の武器もそろそろ完成するしそれもありだね。でも、それだとゼロがさ」


 聖、お前はなんていいやつなんだ。私が一人でこの街に残って修行するのを気遣ってくれるのか。良いのだ、私のことは気にせず楽しんでこいよ。私も修行を終わらせたらすぐ向かうからさ。


「私のことは気にするな。それよりエルダートレントン狩りを始めよう」


「オッケー。なら明日には僕たちも迷宮の街に行くね。みんなには僕の矢の素材を集めてもらってるだけだから今日中には終わりそうだし」


 昼のうちにエルダーの攻撃パターンは把握しているのでこいつらに遅れをとることはないだろう。それに今夜は神官プレイなので前に出て戦うわけではないしな。銀樹刀を使うのは明日からだ。

 

「明日は仕事だから2時にはあがらせてもらうぞ」


 一刀は明日も会社か。他のメンツも聖以外は明日は早いようで一刀と同じ時間帯にはログアウトするようだ。だったらもっと早くログアウトすればいいじゃないかと思ったがそれは愚問だったな。

 一刀たちは生粋のゲーマーだし、睡眠時間削ってまでのめり込むタイプだから今更何を言おうと遅いってわけだ。夏休暇ももちろんAWOをやるために長期でとっているしな。


 魔の森の麓についてからはすぐに樹の背丈が高い、エルダーが生息エリアまで走り抜ける。この中でパラメータ的に一番足が遅いロードに合わせて進んでいるがそれでもかなりハイペースで進んでいる。

 一刀は看破などのスキルがあるのでどの樹がトレントンなのか逐一報告してくれる。私も街で〈看破〉のスキルを習得したがまだレベルが低すぎて全く見分けがつかない。


 だが、擬態には魔力を使っているみたいなので〈魔力視〉にも少し反応がある。これらの補助スキルは意識しないと十分に効果を発揮しないスキルもあるので多すぎると管理できなくなってしまう。スキルは便利だが使いこなせていないようじゃまだまだだな。

 本来なら使えない力が急に使えるようになるわけではないのでゆっくり慣れていけばいいさ。けど、師匠に鍛錬を付けてもらうまでには無意識レベルで使えるようにしておきたい。


 それにはダンジョンが最適だ。ダンジョンなら無限に魔物が生まれるようなので相手に悩む必要もないしいくらでも試行錯誤できるからな。

 先に迷宮の街に着いたアーサーからは『歯ごたえがあって面白いから早く来ることを勧めるよ』っと連絡が来ていた。い~な~、ずるいな~、私もダンジョンに潜りたいな~。


「いたぞ。30メートル先にある樹がトレントンだ」


 一刀が使っている看破のスキルは二次スキルになっているので高確率でトレントンの擬態を見抜くことができるのだろう。私も〈看破〉を習得したがまだ一次スキルなのでほとんど反応が見られない。今日の狩りで実感が持てる程度には成長してくれるとありがたいのだが。


「私は昼の間にエルダートレントンとは戦闘をしたから大体の動きは把握している。なので適当に始めてもらって構わない」


「それでしたらいつも通り吾輩から始めてもよろしいですかな?」


 ロードが詠唱を始めながら私たちに問いかけてきた。どうせダメって言ったところですでにアーツの待機時間が終わりそうなので後数秒もすれば魔術が行使されるだろう。それにトレントンは前衛が先制攻撃を入れるより遠距離攻撃持ちが攻撃した方が安全だしな。


「それでは始めますぞ......ファイヤーアーマー......ハイファイヤーソード」


 ロードが行使した魔術が炎の剣となりエルダーに突き刺さる。炎に焼かれたエルダーは苦しそうにもがき、がむしゃらに枝を振り回すが残念かな、私たちとは少し距離があるのでその攻撃が届くことはない。

 時々聖が矢で攻撃をしているがロードの魔術攻撃に比べると圧倒的にDPSが足りていない。これが一刀が言っていたロードの独壇場か。ロードの攻撃力が高すぎてどんどんエルダーのHPが削られていく。


 一刀たちはどうかと目を向ければ迫りくる攻撃を不知火が盾で跳ね返し、そのすきに一刀とレオが攻撃を加えている。しかし、さすがの不知火と言えど無数に伸びる枝や根の攻撃を完全に防ぐことはできず徐々に一刀たちのHPも削れ始めた。

 まあ、私がいれば問題はない。すぐに不知火を中心にハイエリアヒールを発動する。するとHPが回復して満タンになる。すごい! なんか神官ぽいことしてないか? 最近はソロで動くことが多かったので回復系のアーツを使ったのは久しぶりだ。


「エルダートレントンは火属性に弱いのだな」


「そうなんだよね。でも僕が使えるのは風属性だけだから魔力消費のことも考えて〈属性付与〉とかをできるだけ使わないようにしてるんだ。そのおかげでダメージを稼げてないんだけどね」


 ここでも弓の不遇さが......悲しくなるで。弓ってどこで輝けるのだろうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ