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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第三項 森林の街
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エルダートレントン その1

「そうだよね。でも私のレベル低いし足手まといになっちゃうよ」


 レベルが低いことを気にしているようでアルがシュンとなってしまった。まったく、いつもの調子はどこへいったのやら。こんなにも弱気なアルは久しぶりに見たぞ。


「気にするなと言っているだろ。それにアルは後ろで私のアシストをしてくれれば問題ない」


「せっかく連れてきてくれたのに弱気になっちゃだめだよね。よし、やるぞー」


 気を入れ直して、やる気になっているアルを見ながら目的のエルダーを探す。にしてもトレントン系の魔物が見つからない。いや、トレントンは私たちの周りに確実にいるのだろう。ただ、完璧に樹に擬態しているせいで見つけられていないだけだ。

 思った以上に擬態能力が高い。とりあえず石でも投げて反応したやつを攻撃するか。どうせだったらスキルを買う時に〈看破〉も買えばよかった。ここまで擬態能力が高いとは想定外だ。


 適当に石を樹に向かって投げると生えていた樹がわずかに揺れた。どうやら今の樹がトレントンだったらしい。幹の部分に顔のようなものが模られ枝を揺らし私たちを威嚇してくる。

 ついでに今の樹が魔物だと理解したからか気配察知が強く反応している。だが、こいつは私が求めていたエルダーではない。葉と一緒に小さな果実が付いているのであのトレントンはプルルトレントンだ。プルルトレントンはここにいるトレントンのなかでも最弱なので相手にする必要はない。


「トレントンを探すのはかなり面倒だな」


「そうだね。擬態されてるとどれが本物の樹でどれが魔物なのか分からないよね。だからゼロが今やっていたように遠距離からの攻撃で区別してるんだよ」


 まったく面倒な仕様だ。だが、困ったな。トレントンの擬態でここまで苦労していたら修行相手であるウッドアニマルなど見つけられないのではないだろうか。やはりこれは〈看破〉などのスキルを買う必要がある。

 修行が2日で終わるとか調子こいていたがウッドアニマルを全く見つけられないと言う最悪の可能性も考えられるし、修行を始める前に擬態のレベルを知れるいい機会だったかもな。


「あのトレントンは動かないのか?」


「多分動かないよ。トレントンは生えている位置から少ししか移動しないからね。根っこが地面に埋まっているし動くのが大変なのかも。あと、エルダートレントンはもっと奥に行かないと出てこないからここら辺のトレントンは無視しても大丈夫だよ」


 先ほどから枝を振るうばかりで私たちに攻撃をしてこないプルルトレントンを見ていて疑問に思ったことをアルに伝えたらまさかの事実が発覚した。トレントンって動かないのか。そりゃあ後衛職の的と呼ばれるわけだ。

 攻撃範囲も根っこを合わせれば10メートル届くか届かないかの境目なので遠距離から攻撃し放題だぞ。その分前衛職はトレントンの攻撃手数が多いから大変なのだろうが。


「だったらもっと奥に進むぞ」


「りょーかーい。あ、でもエルダートレントンはここにいるトレントンと違って結構強いみたいだからゼロも気を付けてね」


 アルの忠告を受けさらに気を引き締めながら森の奥に進む。奥に進むにつれ樹と樹の間隔は広くなっているが逆に樹の幹は太くなり背丈も10メートルを軽く超えるようになってきた。この中にエルダーがいると考えると相当デカいな。

 これだけデカいと根がどれ程長いのか想像もつかないので戦闘中は地中にも意識を割いておこう。


「ここらへんならエルダートレントンもいると思うよ。私が矢で一本ずつ攻撃していくからゼロはいつでも戦える準備をしといてよ」


「了解だ。

【聖光が我らを照らし冥府が仇を呼びつける 極楽浄土 魑魅魍魎 天門に上りて獄門を睥睨す〈連続詠唱 速奪守付呪速麻〉】」


 アルが矢でエルダーを探している間に私も連続詠唱を何度も使いアルと私にバフをかけていく。闇系統魔術は対象がいないと意味をなさないので私も適当な樹にデバフをかけてエルダーをあぶりだす。

 今の感じならエルダーは一体ずつしか出てこないだろう。速くは動けないし戦っていても他のトレントンにはリンクしそうにないので〈白黒〉での継続戦闘も難しそうだ。今回は魔石集めじゃなくて本当に良かった。


「見つけた! ゼロ、来るよ!!」


 アルが放った矢が20メートルくらい離れた樹に当たる。すると枝が大きく揺れだし葉がざわざわと音を鳴らす。あのエルダーは15メートルを超えており、見上げるほどの大きさだ。かなり距離があるのにデカく見えるので近くで見たらその大きさはシャレにならんだろう。


「ほいっと。アル、私は前に出てコイツと戦うのでお前は後ろから好きなように矢でも撃っておけ。お前に攻撃がいかないようにはするが初見の相手なので万が一があるかもしれない。それは頭に入れとけよ」


 枝による薙ぎ払い攻撃をかがむことで避けヤツに向かって走る。エルダーを見つける前にかけられるバフはすべてかけておいたので少しはパラメータが上がっている。だが、〈白黒〉は発動されていないのでアルに攻撃が当たった時HPが全損しないかが気がかりだ。

 生産職の彼女はSPのほとんどをDEXに割り振っているとのことなのでMPは多いがHPはかなり低くなっていると言っていたからな。


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