プラン
店がラストオーダーの時間になる。
客もまばらになってきた。
新「移動する?」
ラン「眠いから帰ります。」
え!?なんて言ったこの子…。
新「え?」
ラン「眠いから帰ります。」
そう言ってランは財布からお金を出し始めようとする。
新「俺が出すからいいよ。」
ラン「いえ、悪いです。」
新「ランともう一個行きたい所あるから、ここは出したいんだ。」
ラン「…どこですか?」
新「ゆっくりできる所。」
ラン「お酒あります?」
新「うん。あるよ。」
ラン「分かりました。」
ランは財布をカバンにしまい、リップを塗る。
そのリップクリームは小瓶に入っていて、小指でクルクルっと取って唇につける動作がなんとも艶い。
俺はそれを見ながら会計を済ませて外に出る。
ラン「どこに行くんですか?」
新「あっち。」
俺はランの手を掴んで次の場所に向かう。
ついた先は、最近出来たプラネタリウム。
この時間でお泊りコースだと一部屋貸し切れるようになっている。
今日は平日で、CLUBの人の入りも悪かったのですんなり部屋を一室確保できる。
部屋に入り、係の人にある程度機材説明された後、俺は大きなソファにねっ転がる。
ラン「これやってみていいですか?」
ランが興味津々で機材を指差す。
新「いいよー。ランが好きなの見よう。」
ランはピピっとボタンを押して、天井に星空を映写し音声が流れ始める。
なんだか俺も眠くなってきたな。
ランが隣に座り、真っ暗な中星空鑑賞が始まる。
ラン「ここの土地はあんまり星空が見えないですよね。」
新「まぁ、都会はあんまり星が見えないよね。」
土地って…。田舎の出なのかな?
ラン「なぜここの土地は夜でも明るいんですか?」
新「うーん。人がいて、電気もたくさん使ってるから?かな。」
ラン「なるほど。人がいるところは明るいんですね。」
なぜか当たり前のことに納得してる。
よくわからない子だけど、それがまたいい。
新「今日はここで寝よう。」
ラン「いいんですか?」
新「うん。シャワーとかはないけど、トイレはあそこにあって冷蔵庫はそこにあるから。」
ラン「はい。」
ランの体の力が抜ける感じが薄暗い中でもわかる。
今日は これでいっか。
こういう日もあっていいのかもしれない。
俺はランの手を握りながら眠りについた。