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シンプル

ランは、モスコミュール。

俺は、ブラッティ・メアリーを飲む。


最近体に気を使って、トマトジュースを積極的に飲むようにしてる。


ランは、水のようにモスコミュールを飲んで行き、来て30分で4杯目に入ろうとしている。


酒の強い女はやっぱりいいな。


わざわざ酔ったフリをするような奴は大概量産型だから、遊んでいてつまらない。

遊び方も量産型で、カラオケ!ダーツ!居酒屋!って感じでレパートリーが全くない。


だからランのような女と遊ぶと、新しい発見ができて最高の1日を送れる。


ランは俺を見ずにずぅーーっと周りの人間観察に夢中だ。

まったく…、なんで俺の事見ないんだ?

そこらにいるジジィより顔も整っていて、しかもそのイケメンがこんなに見つめているのになんでこっち向かないんだよ。


俺は頬杖をつき、ずっとランの横顔を眺める。


絶対外国の血は入ってるよな。

それか南の方の生まれなのか?


どちらにしても、ランを生んでくれたお母様ありがとう。


そんな事を考えていると、つまみを食べた拍子にランの口に髪の毛が一本つく。

グロスに触れてしまったんだろう。


俺はスッと手を近づけて、ウルウルリップから髪の毛を取り、そのままランの頬に手を置く。


「…?」


ランは表情一つ変えずにあのタンザナイトの宝石のような瞳が俺を見た。


俺は自分の顔をランに近づける。

あと指一本分まで近づくが、ランは表情を変えなかった。


今、ランが何を考えているのか分からない。


こんな事すると大抵キスをするか、張り倒されるか、なのにランは状況を理解した上でこの無表情。


俺は顔を離し、椅子を座り直す。


「ごめん。俺、乱視だからたまに距離感おかしくなるんだ。」


「大丈夫です。」


と言って、またテーブル席の客を見始める。

本当に人間観察が目当てでこの夜の街に来たのかよ。


おいおい、もったいねぇ、もったいねぇ!


[カラン…]


と、またランのグラスが空になる。

早いな…。そんなに飲んでも背筋も表情が崩れないなんてすごいな。


俺はバーテンダーを呼んだ。


「何がいい?」


「…ワインはありますか?」


「サングリアならあります。」


「じゃあそれでお願いします。」


と言って、ランは酒を変えた。

流石に飽きたのか。


ランの左手がグラスから離れて寂しそうにしている。

長くて細い中指の腹でコースターをスゥーッといじる手がなんとも色っぽい。

俺はその手がコースターから少し浮く瞬間、自分の手を下に入れてキュッと手を握る。


「いつもハンドクリームなに使ってるの?」


「貰い物です。」


「貰い物…?」


「今持ってるのは、椿油です。」


ランがふわっと笑う。


…くそ、惚れても落ちるな。

落ちるなら惚れさせてから。

これが俺のモットーだ。


「ふーん、オイルって結構いいんだね。ランはネイルしないの?」


「着飾るよりも、まずは自分を磨いてからじゃないとどんな物も似合わないから。」


「だからシンプルな服なんだ。アクセサリーもつけてないし何でかなーって思ってたんだ。」


「ふさわしい場所でふさわしい時に身につけるものだから、その時のために自分を磨いとくんです。」


「へぇー…。」


なんだ、結構芯がしっかりしている子なんだな。

ボッケとちゃんじゃなくて良かった。


俺、思う存分アッタクしまーす!


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