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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

死ぬまで

誰が救ってくれるの

作者: 蛹繭

生きるのが辛い。


心は生き続けてる

生きてる以上、心の鮮度は落ち続けている。

生命維持のために、心を引きずりながら活動する。

人と仲良くなるから傷つく。

人とぶつかるから傷つく。

だから痛むんだ。


心の鮮度は、人に好かれる指針になる。

笑顔で、天真爛漫な人ほど、好かれる。


生命の輝きが、表情に出てる。

私も、あれほど素敵な笑顔ができていれば。


でも、こんな私でも求めてくれる人はいるんだ。


肌の温もりを感じて、安心する。

厚い肉の向こう側から、手の平に鼓動を感じる。

私も、それに合わせて鼓動する。


生きているんだって実感する。

いろんな鼓動に合わせて、私は生きてきたんだ。


私の初潮が来る前、私の両親は別れた。


私のお父さんは酒癖が悪くて、競馬が好き。

私のお母さんは男癖が悪くて、パチンコが好き。


家に入るお金は無くて、いつも玄関を叩く音と、

電話が鳴り響いていた。


最初は怖かったけど、慣れちゃうことの方が早かった。

お父さんとお母さんがいることが嬉しかったから。

それに、扉を叩く音が続いている間は、喧嘩もしないから。


でも、扉を叩く音がなくなると、怒鳴り声が私を震わせる。

物が飛び交って、甲高い声と低い声が混じって、

獣同士が縄張り争い、してるみたい。


私はそれをみて、なんとかしなくちゃって、思うんだ。

だから、転んでみたり、階段から落ちた。


結論からいうと、だいせいこうだった。

おとうさんも、おかあさんも心配してくれた。

喧嘩を止められたの。


でもね、だんだん、小さい怪我じゃあ見向きもされなくなったの。


私は、足骨を折って、手首を斬りつけて、頭を打ち付けた。

だんだん、酷くなった。


悪いことをしてる自覚はあった。

でも、お父さんとお母さんの為だって、考えた。


いつしか、学校での居場所は無くなった。

私は悪い子だから、一緒にいたらだめだって。

お友達から言われた。


悲しかった。

でも、それでもいいんだ。

私の目には、お父さんとお母さんがみえてる。

私には、お父さんとお母さんしかいない。


学校から呼び出された。

おじさんと一緒に遊んでいただけなのに。


悪いことじゃないでしょ?

お父さんもお母さんも喜んでくれた。


お礼にもらった紙を持って、

タバコ臭いお店に行った。

そこはうるさくて、臭かったけど、

綺麗な服を着たおにいさんが遊んでくれた。

楽しかった。

少し痛かったけど、でもいつものことだもん。


お父さんとお母さんが喜んでくれるなら、

私はなんでもやった。

言われるとおりに。


そしたらみんな幸せだった。

たぶん、わたしも。


でも、もうそんなこと、しなくてもいいのに。

笑ってる。

ああ、ダサいな私。


へらへらわらって。


でもね、私の生命の輝きは。

今が最高なんだ。

だから、心の鮮度も高く保てる。

眩しいから、私に惹かれるの。

みんな私に盗られちゃう。

あんまり笑いすぎと、面倒になっちゃう。


好きとかわかんないし。


暖かい人影が動く。

咄嗟に笑顔になる。


上目遣いで見つめる。

よろこぶから。


笑い返してくるから、手を這わせる。

よろこぶから。


手が腰に伸びてくるから、抱きつく。

よろこぶから。


ああ、カンタン。

これだけでよろこんでくれる。

しあわせ。


きっとこれが、わたしがいきてるいみ。

だれかにひつようとされて。

もとめられて。


わたしのそんざいかち。

わたしのすべて。

わたしのいのちのかがやき。

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