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6日目
六日目の朝です。
王様の馬の手入れをしていたラティフに、王様が言いました。
「昨夜は楽しかった。今夜もぜひ踊ってもらいたい」
「それは良いですね。ですが王様、踊り子は宮殿にたくさんいるうちの1人。ひいきをしては、ねたまれましょう。それに今宵は、また別の話をするものがおりますよ」
そうして踊り子は、髪に花を挿し、毛皮を羽織った自分に香水をひとふりして手鏡を見てにっこり微笑んでから、本を高らかに朗読しながら宮殿を後にしました。
夜になりました。
王様が案内されたのは、旅商人の青年の部屋でした。
「旅商人ならば、お前はいい馬を持っているだろうに」
王様が言うと、旅商人の青年は
「いい馬は持っておりますが、王様がくださる馬はまた格別。誉れ高いものをいただきたいのです」
そう言って、旅商人の青年はなんでも出てくる革袋を作った錬金術師の話をしてくれました。