女王の娘
「アン!きたのね!」
「リリア、おはよう」
エルフの女王・ミレーナの娘であるリリア、毎回私が来る日にはこうして迎えに来てくれる優しい娘だ。
「今回は一人じゃないのね」
「ええ、視察に来たのよ」
「なるほどね」
ふとウィルの方をみると、初めて見るエルフの美しさに圧倒されたように目を見開いていた。
今まで沢山の種族を目の当たりにしてきたが、エルフの一族は本当に美しい。
私ですら初めてみた時は圧倒されたものだ。
「で、あなた名前は?」
リリアがウィルの顔を覗き込みながらそういう。
少しだけ顔を赤くしながらウィルは自分の名前を答えた。
「さ、自己紹介より視察よ、リリアお願いね」
「任せて」
リリアはそう言うと先頭きって歩き始めた。
エルフの集落までの道のりはエルフにしかわからないようになっている。
これも魔力の一種だとミレーナに聞いた。
滝の下を潜り抜け、その先にある大きな木の幹の間を潜り抜け、そして見えてくる、ここがネフェシアだ。
「お母様も歓迎しているわ、よかったわねウィル」
ニコニコした顔でそういわれたウィルは、少し焦ったようにリリアの母を捜すが、ここに居るはずはない。
エルフの女王であるミレーナは、集落で起こること全てを感知できる。
そしてその娘のリリアは、ミレーナと意識が繋がっているのだ。
「さ、ミレーナのところへいきましょう」