夢の世界へようこそ。
科学の発展も虚しく、腐敗したこの世界。
現実で生活すれば30年が寿命となり、人間は地下に避難することを余儀なくされた。
そこでDPCが開発したのが〝ドリームポッド〟
夢の中の世界で生きることが可能になり、安全なカプセルの中で綺麗な空気を吸うことで、人間の寿命問題は8割型解決された。
「遅い」
「遅く無いだろ」
ドリームポッドの中の世界、ドリームアースでの私の仕事は、発見されていない土地〝未承認の土地〟を密かに報告することだ。
「ウィル、何のために私がこんな苦労してると思ってるの」
「そりゃあお前、珍しい生き物見たいからだろ?」
溜息が出る。
ドリームアースでは〝外見の自由〟という権利がある。
今まで正式に承認されたのは人魚、ドワーフ、小人など、様々。
対して承認されていない種族が、エルフなどの魔族と呼ばれる種族だ。
こうした種族は未承認の土地に住んでいる。
この未承認の土地はDPCも未確認のことが多く、管理が行き届いていない。
ドリームポッド管理AIのMARiAも認知していないため、人の力で闇雲に探すしかないのだ。
しかし、初心者が闇雲に探していると、困ったことにサーバーの中で迷子になってしまう。
知識がなければその場所から出ることも出来ず、永遠に彷徨う羽目になってしまう。
まるで、巨大な樹海に迷い込んだかにように。
「で、今日はどこに行くんだっけ?」
ウィルがニコニコしながら言った。
楽しそうに言うけれど、彼もこれが仕事なのだから大変だ。
なにせ未承認の土地は億とも万とも言われているからだ。
「今日はエルフの居住区、ネフェシアの視察でしょ」
「あー、そうだった」
「はあ。」
本当に溜息しか出ない。