プロローグ
初投稿なのでお手柔らかにお願いします。
とある森の中。
そこに一瞬光が走りすぐさま消える。
そしてそこには、1人の少年が立っていた。
少年は白髪短髪で目は黒く、青を基調とした動きやすい服装をしており、顔立ちは幼いながらも少年が見た目通りではない強者特有の雰囲気を纏っていた。
「次はこの世界か……」
辺りは見渡す限り鬱蒼とした森の中。
陽は落ちているし、曇っているのか月の光さえ見えない。
だが少年には光が無くてもまるで問題は無かった。
「視えているとはいえ、だいぶ深そうな森でしかも静かと来たもんだ。これは中々に不気味だな……まぁ、肝試しにはもってこいだろうけど」
どこかのんびりとした感想を抱きつつ、周囲の確認を済ませる。
(さて、これからどうしたもんかね? っていうかあいつは?)
一緒に来たはずの同行者が見あたらずに周りを見回す。
すると突然、少年の隣にほのかな光の珠が現れる。
手の平にすっぽり収まる程度のそれは、周りを確認するかのような雰囲気を出しつつ少年に話しかけて来た。
『無事に次の世界に辿り着いたようだな。毎度同じこととはいえ、これ程までに安定して世界を渡るなど、こっちは自信を無くしてしまうな』
その光はどこか呆れたような、それでも誇らしいような様子だった。
「お前も渡ってるくせに何を言ってんだよ。っていうかここは何処なんだよ、まさかジャングルの中とかじゃないだろうな?」
(こいつのせいで一苦労する場所に出た時が何回もあるからな……)
普通なら死ぬような場所でもこの少年には大したことはないのだが、いきなり真下にマグマや海の中に放り出された事があり、それを思い出しながら話す少年はジト目で光の珠を見ていた。
『今回はオヌシの通り道を辿って来たのだから、おかしな場所に出ても我のせいではないぞ。ひとまずここは街に一番近い森の中だが、実際にはそんなに広くないし半日もあれば街に着くだろう。しかし、それくらいはオヌシにも能力で分かるだろうに』
「……大丈夫ならいいが。能力は念の為に隠蔽系以外は切ってあるんだよ、この世界の神に察知されたくないからな」
『流石に用心深いな。とりあえずオヌシの記憶にこの世界の情報を入れておいたぞ。何か質問はあるか?』
「いや、問題ない。あとはこっちでどうにかするさ。そっちもちゃんと準備しておけよな」
『分かっているさ。さて、我はこれにて一旦休ませてもらうとしよう。ではこの世界の事を頼むぞ、狭間 迅よ』
「はいよ、いつも通りにこの世界を見極めて、平穏な日常を守ってやるさ。一仕事お疲れ様だ、テオトル」
会話を終えるとすぐに光の珠が消え、それを確認した迅は街に向かうために歩き始めた。