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いつか巡り会えたその時には、

作者: 夜想

何書けばわかんねぇ。とりあえず初投稿。

この小説は、現役高校生である作者が体験した事実に脚本を加えたものです。

残念ながら作者は告白して振られました。残念。

本当に詳細に書こうとすると、説明から何まで非常に面倒くさいので大まかにしか本文は書けていません。

こんなに青臭い青春が出来たのは幸福ですが、実らない片想いほど辛いものは無い事を、書きながら思い出しました。

小説を書いたのは初めてなので、書き方や言葉の使い方はめちゃくちゃ下手くそです。御了承ください。

あと、小説内に書いた人名や小説名は全て架空のものです。

僕は確かに、あの時彼女に恋をした。彼女の為なら、命だって投げ出せる。そう言えるぐらい、僕は彼女のぬくもりを欲した。


出会いの時の胸の高鳴りは、今でも忘れられない。火にかけられた氷がゆっくりと溶けていくような感覚が、僕の心には感ぜられた。

「君が…佐々木くん?」

「えーと、そうだけど。どちら様ですか?」

「私は4組の加藤結衣。今回、副会長をやる事になったんだ。よろしくね」

「あっ…うん、よろしく」

彼女は初対面の僕に不器用そうな、けれど優しい笑顔を向けた。彼女の話は、彼女と同じ部活の友達から聞いていた。成績はいつも学年上位、物静かで決して派手ではないが、さっぱりした美しさを持つ、穏やかな人。

実際、僕はそんな彼女に一目惚れした。綺麗に光を反射している黒髪はセミロングの長さで切り揃えられており、枝毛一本無さそうなぐらいにサラサラしていた。白く透き通った肌は、周りの女子とは全く違うミステリアスな雰囲気を彼女に纏わせており、細く長い四肢は、僕にとってはとても艶めかしいものに見えた。

「…何だか元気そうな見た目と違って、佐々木くんって女子慣れしてないんだね。」

「あー…女子と話すの、慣れてなくてさ。正直に言うと今、物凄く緊張してる。」

「あはは、実は私も男子が苦手。っていうか、こうやって男子と話すのも久しぶりなの」

そういう彼女は生徒会室の椅子に座ると、カバンから小説を取り出して不意に読み始める。カバーから透けているタイトルは『幸福の不等式』。最近矢鱈と売れているライトノベルとは違う、夫婦と幸せを題材にしたコテコテの長編小説だ。

「幸福の不等式、好きなの?」

「うん。佐々木くんも、小説読んだりするの?」

「そうだなぁ、最近だと八木村榊の『白い鐘が鳴る時』とか、まぁ色々読むね」

「え、ホント?…良かった、私と同じ趣味の人がいて」

「僕も吃驚した。小説を読んでる女子なんて、もうこの学校にはいないかと思ってた」

「そうだね…好き好んで読んでる人は、多分私達二人だけかも」

今度は素直な笑顔で、僕に微笑みかける。彼女のその笑顔は、僕が今まで見た事がないぐらいに綺麗な異性の笑顔で、僕はつい目を逸らした。



生徒会での活動は、結衣さんの活躍で滞りなく進んだ。彼女の仕事の早さはとにかく流麗の一言で、学園祭の開会セレモニーで流すムービーの編集なんかは、本来なら数日かかるものを半日かけずにやってのけた。頭のキレにはそれなりに自信のあった僕だが、彼女と比べられたら僕はきっと、無能の烙印を押されるだろう。

けれど、彼女はそんな僕に心を許してくれた。小説や音楽の趣味が、パズルの最後のピースをはめる時のように、ピッタリと合致したからだろう。それぐらい僕と結衣さんは気が合う友達だったし、お互い人見知りで距離があっても、関係を続ける事ができた。



そんなある時、一つの噂話が僕の耳に入った。僕と結衣さんは、付き合っている仲である、と。絶対に男子と話さない彼女が、僕と話していればそういう噂も立つだろう。それとも、想いを寄せる男子達の僻みから立った噂なのかもしれない。

無論、僕は猛烈に否定した。僕はそう間違われるのがとても嬉しかったし、正直に言えば、その噂話通りの関係を望んでいた。しかしそれと同時に、そんなしょうもない噂に振り回されるのかもしれない彼女に、迷惑をかけるのが嫌だった。けれど噂話は学校中に広まり、ついには誰もいない放課後の教室でしか、彼女と話すのも憚られるようになった。


「…ねえ、佐々木くん。」

「ん、どしたの?」

放課後のいつもの帰り道で、僕達は並んで歩いていた。部活を引退した三年生の僕達は下校が早く、二人で誰にも見られないように帰るには都合が良かった。坂道をゆっくりと下っている時、結衣さんは突然、僕の方を向いてこう言った。

「…私の事、どう思ってる?」

「え?」

「言葉通り、だよ」

夕日で彼女の白い肌がオレンジ色に輝く。それに紛れた恥じらいの痕跡が彼女の頰に隠れており、彼女は平静を装いながら、僕の顔色を伺っていた。今さら言ったとしても遅いが、彼女はあの時、僕を好いてくれていた。

貴方のことが、大好きです。今の僕なら、きっとすぐにでも言えた。けれどあの時の僕は、吐き出したい気持ちに蓋をする何か(きっと思春期特有の、ちっぽけなプライドだとか恥じらいだっただろう)が、僕の心を塞ぎ込み、暗闇へと突き落とした。

「ごめん、僕は…」

「…そっか」

ほんの少しだけ、結衣さんの歩調が速くなる。違う。本当の僕は君の事が好きなのに。心の底から、愛しているのに。そう言おうとすればするほど、僕の口は言う事を聞かなくなった。

あっという間に、教室一つぶんぐらいの距離が開く。それは彼女と僕の心を表しているかのようで、彼女がもう遠くにいってしまった事を悟った。

「あの、結衣さん…っ!」

「ごめんなさい。私、もう帰るね。一緒に帰ると…君の邪魔になるから。」



あれから、彼女とは話もしなくなった。目を合わせてもくれなくなったし、彼女は小説を読むのも辞めてしまった。それから程なくして、僕達は高校を卒業した。頭脳明晰だった彼女は無事に有名大学に合格。僕もそれなりの大学に進学し、別々の土地に住む事になった。

別れの時も、あまり覚えていない。ただ一つ覚えているのは、校門前の桜並木の下で、彼女は確かに僕に笑った。彼女の笑顔は咲き誇る桜の花々よりもやっぱり綺麗で、散りゆく桜の様な儚さを、瞳の奥に孕んでいた。



僕は今、小さな喫茶店を地元に開いている。喫茶店と言っても普通のものではなく、半ば図書館と言っていいような、沢山の小説を置いてあるものだ。そうすれば、もしかしたら彼女が来てくれるかもしれないと。あの日伝えられなかった気持ちを届けられるかもしれないと。それだけの理由で学歴を捨てて店を開いている自分は、まぎれもない馬鹿なのだろう。

けれど、僕はどうしても諦められなかった。彼女の笑顔を、今度こそ自分のものにしたかった。そのためなら、何だってしようって思えるぐらい、別れ際の笑顔は僕の脳裏に焼き付いて、忘れられなかった。

辺りが夕暮れで赤くなり始めた閉店間際の午後5時半。今日も会えなかったか、と肩を落としながら店を閉めようとすると、奥深い色合いの扉のベルは鳴った。長い髪をさらさらと靡かせた懐かしい人はやっぱり変わらず、僕の心を掴んで離さないぐらいに、何よりも美しかった。彼女は日の差す窓際の席に座り、こちらに目線を合わせた。

僕は店の中に他の客がいないのを確認すると、営業中の看板を準備中に変えた。そしてこの日の為にとっておいた特注のコーヒーカップを準備した後、彼女の席にメニュー表を置き、僕は澄ました声でこう言った。

「お客様、御注文は何に致しましょうか」

「…ふふっ、コーヒーとサンドイッチで」

美しい女性は屈託なく微笑む。彼女の頰は外の夕暮れに照らされ、あの時のように紅くなっていた

実際は、教室で告白して普通に振られました。ただ普通に嫌いとかそういう感じで振られたのではなく、異性に対してトラウマを抱えていたらしく、それまでの経緯を教えてもらった後に、貴方を好きになるのが怖いから。と言われました。


正直今も諦めきれません。彼女の事が大好きです。

もし、この小説をご覧になった方の中に片想いをしている人がいたのなら。少しでも共感して下ったなら、嬉しいです。

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