第一話 プレーンゴーレム
うちの軍は弱い。
そう、それが現実。
僕は、いつのまにか、異世界転生というのをしていた。
そして、残念なことに最高の力を与えられた、というわけではなく、モンスターに転生してしまったのだ。
ただし、スライムとかゴブリンとかそういう、初心者用のモンスターではなく、幹部のモンスターになってしまったようだった。
「おい、今回の、ゴーレムはなんだ!!一瞬で勇者たちにやられたぞ!!」
僕の上司であるモンスターが僕に対してそう言う。
凄い剣幕だ。
それなりに権威のあるモンスターだから迫力がある。
「ああ、やっぱりやられちゃいましたか・・・」
僕はその上司に返答する。
今の勇者の強さからするにそうだろうな、とは思っていた。
「やられちゃいましたかとはなんだ、やられちゃいましたか!!とは、わかってたってことか!!」
上司はお怒りの様子で僕に言う。
「それはわかりますよ、だってプレーンなままで出したし・・・」
僕はつぶやく。
そう、この世界のゴーレムは、幹部達が、命令を与えることができる。
そして、そのゴーレムを使って、勇者たちと戦うのだ。
そして、うちの軍は弱い・・・。
僕は転生して、なぜかこの群の幹部になっていた。
しかし、幹部とは言っても、魔王とかではなく、まぁ、そこそこの数のモンスターを束ねる程度の幹部。
そして、このように上司がいる。
なので、ただの中間管理職なのだ。
だからこんな感じの不条理な事で怒られる。
「プレーンなままと言ったな、じゃあどうすればいいかわかっているのか」
と、上司は言った。
そして、この上司モンスターの風貌をしているけど、そんなに頭が悪くない。僕の言い方から、大事な何かがあると推測して質問したのだ。
「そうですねー。いまのままだと無理でしょう。データが足りない、だからプレーンなままで出すしかない」
僕はつぶやく。
もともとのプログラムがたまたま勇者たちより強かったら勝つし、弱かったら負ける。
それだけだ。そして今回はたまたま負けた。
「どういうことだ、どうすればいい?」
上司がさらに聞く。
「データがたりない以上はチューニングしようもないから、まぁ、そのまま出すしかないですよね」
と、僕は言う。
「じゃぁ、どうすれば良いんだ?」
上司は聞く。
「それは、データをちゃんと収集して、最適なアルゴリズムの選択をすればいい」
僕はつぶやく。
「それにはどうすれば良いんだ?」
上司が聞く。
「いままでの、古いやり方は捨てて、しっかりとデータ主体の戦い方、組織に変える必要がありますね」
僕は言う。
そう、そういうものだ。
だいたいは、古い組織システムが新しいやり方の妨げになることが多い。
「そのやり方なら・・・お前なら・・・強いゴーレムを作れるってことなのか?」
上司が言う。
「もちろんできますよ!」
そう、僕には出来る。
なぜなら現実世界で、不可能と言われた、100戦100勝を誇るAI将棋プログラムを世界で初めて作ったのは僕だからだ。