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最弱職業は知識と発想で最強職業(仮)  作者: 余は猫である。
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プロローグ

皆さんの投稿を読んでいたら自分でも書いてみたくなりました!

拙い文章かとは思いますが読んでいただけると嬉しいです。

人間の心は醜い。


基本的に自分の利になるかならないかで判断し、弱者を切り捨て、強者に縋る。

その強者が、自分の利にならなくなった場合、いくらお世話になっていようが容赦なく見捨てる。

あるいは、弱者を貶めて、自分が有意に立っているかのような優越感に浸ろうとする。


人間の心など、所詮己自身のことしか考えていないのだ。


俺の異世界初日はそんな感情で埋め尽くされた。




短かった春休みも終わり、憂うつな朝を迎えた。

今日から高校2年生の1学期が始まる。


カタカタと小気味よいリズムでタイピングの音が鳴り響く。

神薙真桜(かんなぎまお)は既に昨晩の内に準備をしていたため、コーヒーを飲みながらPCへ向かう。

今朝方完成した新作のVRMMOをサーバーにアップするためだ。


神薙真桜は16歳にして、“鬼才”と称されるほどのプログラミングセンスを有しており、何本もの大ヒットゲームを世に送り出している。さらに、あと20年はVRゲームの発展がしないだろうと言われていたが、神薙真桜の送り出したVRMMO“GENESIS”により飛躍的に成長していった。


ただし、神薙真桜は自分の正体を明かさずに製作を続けているため、ごく一部しか神薙真桜が製作者であることを知らない。


製作者として名乗りを上げないのはいくつか理由があった。


神薙真桜は小学校低学年の時に両親を交通事故で亡くしていた。

父親は凄腕のプログラマーであり、母親は医学部の教授をしていた。

両親ともに才能に恵まれていたため、その業界を牽引する存在であり、多くの人に両親の死は惜しまれた。

そんな中でも悪い事を考える輩はたくさんいるわけで、神薙真桜の親戚に始まりたくさんの人が神薙真桜を養子にしたいと声を上げた。これだけ聞くと、両親を失った可哀想な子に寂しい思いをさせてはいけないと言った人たちの美談に聞こえるかもしれない。しかし、現実はそう甘くなかった。要は両親の財産狙いの輩だったのだ。葬式の後に、何組もの親戚、両親の友人と名乗る人たちから家に来ないかと声をかけられたが、その目は神薙真桜を見ていなかった。その先の財産を見ていたのだ。それに気づいた神崎真桜はどの誘いも断り、孤児院に行くことを決めた。

こういった経緯があり、他人を信じる事ができなくなった神薙真桜は製作者不詳とし、他人の介入を拒み自身のみでの製作を続けている。

他の理由としては神薙真桜の性格に由来する。神薙真桜は極度のめんどくさがりであり、製作者として名乗りを上げた時の他者からの介入などの面倒くささを考慮しての結果であった。


ふと時計を見やると、8時を示していた。


「おっと、もうこんな時間か。そろそろ学校に行かないとだ。」


真桜は昨晩の内に用意していた制服に着がえ、カバンを持ち上げた。


「じゃぁ、テミス、後のことは頼んだよ。後1時間くらいでアップ終わるから、リリース前に動作確認ともしバグがあったらデバックしておいてね。リリースしてからはサーバーの監視と分析を頼んだよ。」


『承知いたしました、真桜様。』


「アテナは地下にあるサーバー1:アポロンのメンテナンスしといてね。」


『畏まりました、真桜様』


「じゃぁ行ってくるね。」


『『いってらっしゃいませ。』』


テミスとアテナは俺が中学時代に作ったAIで、今はリリースしたサーバーの管理から、ゲームの製作まで、様々な手伝いをしてもらっている。

アポロンは自宅の地下にある父親が仕事をしていた時に使っていたサーバーの呼称だ。

そう、真桜は高校に上がると同時に、自宅に帰ってきていたのだ。


仏壇の前に行き、手を合わせる。


「父さん、母さん。行ってきます。」


心なしか、両親が微笑んでいるように見えた。



学校に着き、クラスの扉を開けると、クラスメイトの嫌そうな視線を一身に浴びた。

そんなことを全く気にせず、真桜は自席へと赴いた。


ホームルームも終わり、授業が始まった。

授業が始まると、真桜はA4サイズの紙を取り出し、次作ろうと考えているアプリの仕様を書き始めた。


真桜は幼少の頃、両親が喜ぶのが嬉しくて、必死に勉強した。

小学生に上がるころには小学生の基本的な勉強は修めており、両親が不慮の事故に合うまでには中学生の内容もほぼ修めていた。両親が亡くなってからというもの、頭のどこかではもう両親に褒められることは出来ないと理解しつつも、勉強を続けることで、どこかで褒めてもらえるのではないかという思いで勉強を続けた。その結果小学校を卒業するまでには大学の基本的な内容はすべて理解していた。中学校に入学してからは、父さんの影響で、幼少期から触れていたPCに没頭するようになった。その結果テミスやアテナなどのAIの製作などに繋がった。ちなみに、AI製作の成功は世に発表していない。AIを使った犯罪などを防ぐためだ。


真桜にとって高校の内容とは既に修めたもので、聞くに必要のない物であった。真桜は両親の母校に進学するつもりで、高卒認定が欲しいだけで学校に通っていた。


そんな授業態度が気に食わない先生もいるわけで、わざと高校以上の問題を真桜に投げかけることがあった。


「神薙!これについて意見を述べろ。」


3限目の英語の授業中、いつも通り仕様書を書いていたら、いきなり問題を投げかけられた。

黒板の方を見やると、一枚の英語論文が掲示されたい。普通はこんな問題は出さない。論文の英語は特殊であり、大学入試のそれとは少し異なるからだ。しかし、私立天賦学園は、いわゆる進学校の中でも優秀な部類の進学校にあたり、教師の裁量で授業の内容を変えることが出来るのであった。


「時間は10分だけやる。その間に意見を述べろ。俺が納得できたら、俺の授業での内職を認めてやる。だが、答えられなかったら、次から俺の授業を聞け。」


英語教師はニヤニヤしながら言った。

絶対に答えられないという自信があるのだろう。


ふむ。内容は熱変換効率の内容みたいだな。

それなら、この間少し本を読んでいたな。


「分かりました。」


2分程時間をかけて斜め読みし、内容を理解した。


「先生。」


「なんだ。もう諦めるのか。まぁしょうが「英語で答えればいいんですよね?」・・・は?」

「だから英語で答えればいいんですよね。英語の授業ですし。」

「この短時間で理解出来るわけないだろう!」

『まずこの概要を説明すると・・・・・・。上述したように、従来の熱機関にはこのような欠点があるため、そこの改善に取り組むべきであると考えます。』

「・・・・」

『あなたの意見はどうでしょうか。』


顔を羞恥で真っ赤にさせ、チョークを持つ手を震わせながらポツリと呟いた。


「・・・席に戻れ。」


真桜は何もなかったように席へと戻る。

特にその後は面白い事もなく、放課後まで時間が過ぎる。

普段であれば、部活も特に入部しているわけではないので、ホームルームが終わったら直ぐに家に帰宅するのだが、今日書き始めたアプリの仕様書が、キリのいい所まで行かなかったので、キリのいい所まで書き上げてしまおうと、放課後も自席でカリカリと鉛筆を動かしていた。


机に影が差したので顔を上げてみるとクラスメイト4人に囲まれていた。


「神薙、てめーまだ学校来てんのかよ。この前来んなって言っただろうが!また殴られてーんか!」


声をかけてきたのはクラスメイトの中でも中心的な人物である陣内王我(じんないおうが)であった。その周りでニヤニヤしているのは、王我の取り巻きの三上一生(みかみいっせい)西園寺弥園(さいおんじみその)東條莉子(とうじょうりこ)であった。


顔を一瞥した後、特に興味がそそられなかったため、視線を仕様書に戻し、続きを書き始めた。


「てめー!!シカトこいてんじゃねー!」


ガッシャーン。


胸倉を掴まれ、筆記用具や紙などが床に散乱した。


「きゃー!!私先生呼んでくるー!」


たまたま教室内に残っていた菊入桃花(きくいりももか)だった。


「ちっ!菊入まて!」


王我の取り巻きの一人である西園寺弥園が追いかけようとした。

だが、菊入桃花の方が出入り口に近く、彼女の右手が扉に触れた。


その瞬間、周囲の音が消え、目も明けていられないような眩しい光に包まれた。

その光が落ち着いた頃、教室には散乱した筆記用具を残し高校生6人の姿が忽然と消えた。




誤字等あったらすみません。

これからゆっくりと更新していきます。

評価等頂けると嬉しいです。

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