0 プロローグ
春の暖かな日差しが制服姿の彼女たちに当たって、彼女たちはより一層綺麗に見えてくる。それはきっと春の魔法。それがあるからこそ、彼女たちはこうやって美しい姿でい続けることができるのだ。
そしてまた、新入生が入ってくる季節。桜の出迎えを過ぎた先には新しい世界が待っている。それこそが新入生である彼ら彼女らの憧れであり、楽しみである。
そんな春には、在校生にも楽しみがある。それはクラス替え。クラス替えをすることで新たな友達を作ることができる。特にここ、花園学園は幼小中高一貫校であるとともに、生徒数がとても多い。
幼児だけで256人、小学生が971人、中学生が1054人、そして高校生が1270人という総勢3551人という数である。それに教師などが加わるとさらに大きな数字が出ることになる。
このように大人数の生徒がいる幼小中高一貫校の花園学園には、一人の活発でよく目立つ赤茶色の髪をした少女が通っていた。その少女の名は――――
「なんだその服、小等部じゃん。小学生が何の用?」
「あたしたち、中3だよ~? ケンカ売りにでも来たわけ? ばっかじゃないの!」
中学3年生のギャルらしき2人組に囲まれている小学生の女子が1人。彼女は腰に手を当てて、澄まして2人を見上げた。
「この腕章が目に入らないのですか?」
落ち着きを身に纏ったままそう言うと、彼女はにっこりと笑った。
「その腕章……って」
「まさか、こいつ……」
驚きを隠せない様子で呆然と立ち尽くす。彼女は勝ち誇ったようににやりと笑顔になって宣言した。
「4年F組花園ふれあ、生徒会長です」