正当防衛は悪くない
他の作品がひと段落してないのに最新作を書いてしまったけど『まぁ、いっか』と軽~く済ませてしまう負人です。
さてさて、今回は一人称視点(?)で書いていこうかと思っているのでタグにもあるように『気まぐれ』=『難産作品』になりそうです。
では、第1話ご覧あれ。
皆様、初めまして。
現在高校二年生、華の学生青春街道まっしぐらの自由人【秋瀬一鶴】と申します、以後お見知りおきを。
さてさて、今は自分の心の中で独白、モノローグだったけな?多分それをしております、や別にこれが小説の第1巻で第1話で第1章だったら別に何ら問題は無いんだけどね?けどまぁねぇ……憧れるんだよね、こう『自分は物語の主人公なんだ!』ってやりたいじゃん?皆の前や公衆の面前で言ってますけど、そのたんびに変な目を向けられる……解せぬな。
……………………。
ダメだ!都合よく現実逃避しようとしたけどダメだ!!
独白してても時間は進むし、心の中で駄弁っていても目の前の出来事は流れるように進んでいくし!余裕こいてモノローグしてても、
『目の前の男がいかにも通り魔ですよって感じで攻撃してくるしィ!!!』
フォン!!
「……!!」
目の前に伸びてきた右抜き手を左へ危なっかしく避け、全身黒ずくめの男の背後にまわりその勢いのまま相手のリーチの外、目測で5~6m程タッタッタと用心して離れる。
「こぇぇ……」
「……ちっ」
こわっ!何この人!?ブラブラと人通りの少ない所を選んでノンビリ帰ったのが間違いだったか?くそ、セーブポイントはどこだ!?いますぐリセットしてそこから違う選択肢を選びなおすぞ!!
……はぁ、もうやだよ……家帰りたい、もう……泣いてもいいよね……?
そんなこと考えている最中もブォンブォンと相手の手刀が俺めがけて放たれる、右から左へ、抜き手から右へ振り抜き、手を返し右手刀をブンブンと何度も執拗に振るってくる。
それら全てを本っ当に危なっかしく、紙一重でふらりふらりと躱していく。
「くそがぁ!!当たれよ!!殺すぞ!!」
「えぇぇ……」
いやいやいや、当たれば死ぬよ?あーたの攻撃はさ、だって手に風がグルグル渦巻いてますもん、殺傷能力めちゃ高そうですやん。
そのあともまた風を纏った手刀が来れば避けて、抜き手が来たら回避してそれをずっと繰り返すこと多分5分、逃げ続けて酸欠で頭がフラフラする、吐き気もしてきた……やっば、詰んでね?これ。
そして、ついに
「ウラァ!!」
ヒュン、スパッ
「あ、っつぁぁぁ!!!」
右腕の二の腕がスパリと切られた。
骨までは達してはいなかったが、血がだくだくと流れる、叫び声をあげたかったがそれを飲み込んで我慢した……誰か俺を褒めてくれ。
「へ、へへ、へへへ……どうだ、俺の能力『風切刀』の、切れ味は、よぉ……」
「切れ味も……っ、何も、痛みで……わかりゃせんわ」
こんな時でもふざけていられるとは……我ながら結構狂ってる気がする、多分ね。
それよりもこいつバカか?自分の能力名をばらすってよぉ……
普通は『隠すもんだよ』名前ってのはさ。
それを指摘してみると、
「なにふざけたことぬかしやがる!!今お前の立場解って言ってんのか!!」
「いや、全然そんなこと、これっぽちも……理解しないし、これからも……あー、理解しないぜ」
「てめぇみてぇな『無能力者』ごときが『能力者』にナマ言ってんじゃあ……ねぇ!!!」
右手に自慢の能力『風切刀』を発動し上段に構えて襲いかかってくる。
一つ言いたいことがある、
相手がただ逃げ回るだけの何もしてこない無能力者だと、
「勝手に決めつけんじゃあねぇよ」
ふらりと相手の手刀を躱し、横を通り抜ける瞬間、『右手』で通り魔の『左わき腹』を『そっと撫でる』。
服の上からなので通り魔さんは触られたことに気づいていないだろう、だがしかし……『触られたことを認識していない』それが俺の『能力』はちょうどいい、何せ俺の能力は、
『触れれば発動する凶悪極まりないもの』なのだから。
「くそっ!よけんじゃねぇっつてんだろ!!クソガk……ア゛ギャァァァァァァァ!!!!」
大成功、相手は腹部を押さえるが触った時に激痛でも走ったのか一度離してもう一回割れ物を触るような手で腹部に触れる。
「な、なんだ?この激痛は……」
恐る恐る服をめくり上げていく……さぁ驚いてくれよ?
「な!なんじゃこりゃぁぁぁ!!!!」
腹部、へその辺りから背中へとぐるりと一周するようにとてつもない大火傷が通り魔の身体に刻み付けられていた。
それも水膨れした程度の火傷なんて甘ちょっろいもんじゃあない、ガスバーナーの火を直接当てられたような、ズルズルに皮がめくれて中から焦げて黒く変色した肉が見え、ダラダラと血が流れ焼けた肉特有のお腹の減るいい匂いがフワッとかおる。
「相手が……」
ざっと一歩踏み出す。
通り魔は「く、来るな……くるんじゃねぇ!!」と尻餅をつきながらズリズリと後退していく、逃がすかよここで逃がして怪我の治療をした後で、報復に来られたら困るじゃあないか。
「無能力者だと……」
ゆっくりと近づく、あいては何をされたのか分からずパニック状態で泣きながら「だずげでぐれぇ!!おでがいだぁ!!だのぶぅ!!!」とかなんとか叫んでいるが……正直言ってあまり叫ばないでほしい……誰かが来られたら面倒だ。
「思って油断しないでかかってこいよ……」
手を伸ばせば触れる位置までもう少し、とうとう相手はもはや言語にはならない叫びをあげる始末、ほんまやめて、誰か来そうだから。
「じゃないと……」
壁際に追い詰められて泣きじゃくり、さらに失禁までし始めた……やめてくれや、俺ノンケだから男の失禁プレイとか吐き気もんだから……美幼女の聖水は別だがな、あぶねズボンから漏れてきた液体が危うく靴に触れるところだった。
相手の顔の前に手を翳し、死刑宣告ともとれる言葉を放つ。
「死ぬよ?」
スゥゥっと手を伸ばす、通り魔は目をギュッと閉じ、来るであろう衝撃に耐える姿勢になった。
「なぁ~んてね?冗談冗談!!あっはは」
最近の若者がイラついたときに『殺す』だの『消すぞ』とか言うけど実際にやったら人生終わっちゃうから絶対しないよね、俺も使うけどゲームで相手の攻撃にイラッと来た時に使うぐらいであんまり使ってない、あとはその言葉が一番効果を発揮する時だけだ使うのは。
「……へ?」
「なに、呆けた面しちゃってんのさ?どしたんさ、かかっ」
ケラケラと今までの事がなかったように笑うと通り魔さんも徐々にではあるが「ハ、ハハッ」と笑う様になる。
「あははははは!!!」
「ははははは!!!」
「やっぱいいよね自分が生きてるって実感するとさ!!」
「あぁ、そうだな!!ははっ」
「だよなぁ!!ハハハッ」
「なぁ!はははっ!!」
あはは、いひひ、うふふ、えへへ、おほほとさっきまでの事が嘘のようになかったことのように通り魔と一緒に笑う。
俺は笑顔のまま手を差し出し『俺の手につかまって立てよ』というボディランゲージをとる、相手もその意味が分かったのか笑顔で右手を差し出し互いにぐっと力を込め握った。
「まぁそれはそれでまだ俺の腕を切ったことへの『正当防衛』が終わってないんだわ」
「は?それってどういう……」
「こゆこと」
俺の手を握った相手の手がボシュゥン!!という音を立てて血痕一つ残さずきれいさっぱり消し飛んだ。
「へ?あれ、俺の右手……あれ?どうして感覚が無いの?あれなんで、右手首から煙が出てんの?」
「あんたの能力……なんだっけ?えっと。あーそうそう『風切刀』だっけ?俺の予想だけど、属性は「風」効果は「手に風を纏わせて、カッターみたいに相手を切る」そんな能力でしょ?だけど欠点は「右手」にしか出せないと言う事……違う?」
相手の能力の効果をなんとなくだが予想してみた、まず第一の理由として能力の属性が「風」であるならば遠距離から手を銃の形にして、風を弾丸にして打てば楽に殺せるのにそれをしなかったこと、実際そんな能力もある。
第二の理由に左を使わず右手だけを使っていたこと……相手が「右しか使って来ないと相手に思い込ませ、隙をついて左で殺してやるぜへっへっへ」みたいな感じだったら違っていたかもしれないが、右手しか振るわなかったので「右手だけ展開可能」と判断した。
だから、
相手を油断させて生きてると実感させたうえで自身の能力の要である「右手」を爆破してみた。
どうやら、作戦ともいえないずさん計画は成功したらしく、相手はブツブツとうわごとのように「俺の手が……俺の能力が…………」と絶望した顔で呟いている。
「ま、これであんたはもう通り魔なんてできないし、俺以降のありえたかもしれない被害者を救えたんだから良しとしよう、うん!良かった良かった……にしても右腕いてぇwww」
ついニヤニヤしちまう、やっぱりさ
生きてるっていいよね!
通り魔を放置し道の隅に置いておいた学校用のリュックを右手は使えないので左手でよいしょっと持ち上げ肩を通す、ずしっと赤いリュックに物が詰め込まれているのを重さで確認すると、P〇Pにイヤホンを差し込みアニソンを聞きながら、今度こそ家に帰ることにした。
後書きって何書こうかなぁ~とかよく思ってるんですよね。
あんまり長く書きすぎてもウザったいだけですし、短すぎても作者が納得できないし……まぁこんな感じで後書きは進めようかと思います。
記念すべき第1話は主人公のバトルシーンっぽいものから、彼の能力についてはまだ内緒です、ヒントは卵。
そんなこんなで後書きはおしまいです、ありがとうございました。
ではまた次回、お会いしましょう。