第五話 出番なしなヤツ
また 間が…ι
しかも 今回 シュウ君出て来ないし…
こんなんですが もうしばらくお付き合い頂けると嬉しいです
「うしっ んじゃ帰るかっ!
それとも、もうちょい見てくか?」
田崎が振り向きながら声をかけてきた
「う〜ん もうちょっと見たいかも…」
まだかき氷食べてないし♪
でもこれ以上食べたらシュウに怒られそうだなぁ…
一緒に居れないのは淋しいけど 行ってくれてよかったかも…
「おぅ! んじゃ行こうぜっ」
田崎が にこにこしながら言う
いつも学校で見る田崎と違って今は無邪気な子供みたいな感じ…
こんな顔もするんだぁ…
「なんか楽しそうだね〜?お祭り好きなの?」
「おぅ めっちゃ好き♪
なんか意味なくワクワクしねえ?
それに…」
「それに?」
「あっ いや… なんでもねえ…」
顔を逸らしながら 田崎が慌てる
暗いから表情は見えないんだけど…
どうしたんだろ?
「なぁ〜に?途中で止めないでよ〜。
気になんじゃん」
「気にすんなって…ι」
「まぁいいや。あれ?そうだ…
ねぇ田崎 一緒に来てる友達はいいの?」
「やべっ 忘れてたっ ちょっと待っててな」
そう言うと 田崎はポケットから携帯を取り出し何処かに電話し始めた
「俺……わりぃちょっとな……
あぁ?!迷子だぁ?!おめえらが勝手に居なくなったんだろ?
………それより今日の飲み中止にした方がよさそうだぜ…なんか風紀の見回りはいるらしい………おぅ……んで悪いんだけど俺用事出来たからもう帰るわ……おぅ…んじゃな」
…パタン
電話を切ると 田崎が振り返って
「スマン。待たせたな」
って謝りながら携帯をしまう
「ううん。それよりほんとにいいの?友達…」
「いいんだって…どうせ今日は酒飲めねえし…それに俺 あんなムサい奴等より可愛い女の子といた方がいいしっ」
「あははは」
「あ…そこ笑うとこなんだ…」
「…ん?」
「いや…何でもねえι
それよりどこ行く?」
「私かき氷食べたいな〜
あっ!見て見て田崎っあれ可愛い〜♪」
そう言って 私が指差したのは 射的の屋台に並んでるくまのぬいぐるみ
「…ん?オッケー!んじゃ取ってやるよ」
「田崎 射的出来んの?」
「任せとけって♪」
田崎は 全弾命中させてじわじわとぬいぐるみを後に動かしていき 最後の一発で見事に落として
「やったぁ〜♪すご〜い」
飛び跳ねて喜んでた私に
「ほら…」
って くまを手渡してくれた
「ありがと〜」
私が大喜びで受け取ったら
「どういたしまして」
田崎がにっこり笑いながら言った
…うわ
思わず見とれてしまっていた
だって屈託なく笑った田崎の顔は格好良くてまぶしくて…
…って 何やってんだろ私…
シュウ以外の人にドキドキするなんて…
「んじゃあ次行くか〜?かき氷食いたいんだろ?」
「う…うん」
うわぁ…どもちゃったよ…
田崎変に思ってないかな?
「おっ あったぞ〜何食う?ブルーハワイとか口ん中真っ青になんだよな〜」
無邪気にはしゃいでる田崎
良かった…あんまり気にしてないみたい
―*―*―
「そろそろ帰るか?
あんま遅くなると堅物くんに怒られちまうしな…」
「うん。そだね」
そう言って 私達は 神社を後に歩き出す
―カラン コロン
………
なんだろ?この沈黙…
田崎さっきまで騒いでたのに…
なんかしゃべってよ…
「…あのさ 倉橋…」
「ん?」
「俺さ…」
「なあに?」
「好きだ…」
へっ?
「何を?」
「だから倉橋の事…」
はっ?え?何?
「…え?」
「あ〜だから…
…俺…倉橋が好きだ」
「…へ?…わ…私?」
「お前以外に誰が居るんだよ…」
照れてちょっと赤くなりながら ガシガシ頭を掻いてる田崎を見ると…
冗談じゃない…よね?
どうしよう…
「あ…う…え?」
自慢じゃないけど生まれてこのかた告白なんてされた事なんかなくて…
いきなりな状況に頭パニックな私
頭が真っ白になって何て言っていいのか分からない
でも 私が好きなのは シュウだし…
きちんと田崎に言わなきゃ…
そう思って思い切って口を開いた
「あの…」
「あっ ちょっ 待てっ まだ返事しないで…」
「…え?なん…で?」
「ごめんな…ちょっと考えてから返事くれると嬉しいんだけど…
そうすりゃその間は、俺…ちょっとでも倉橋の心の中に居れるだろ?
……なんてな…ただ今返事聞くのが怖いだけ…俺 カッコ悪いよな…」
「…たざき…」
「あっ!お前んちここだろ?
んじゃ 俺もう行くな」
「えっ?なんで私んち知ってんの?」
確か田崎 ウチには来た事ないハズ…
「ん?えっ?あぁ…
あの…な
倉橋ちょっと前に風邪で学校休んだ事あったじゃん?」
「うん」
確か… 2ヵ月くらい前に私は風邪をこじらせて一週間くらい学校を休んだ
「その時に…さ 心配になってな…で、クラスの女子にお前の家聞いて見舞いに行こうとしたんだ…」
…あれ?でも田崎 見舞いに来てないよね…
「…けどな いざ家の前まで来たら…チャイムが押せなくってさ…」
「…」
「家の前ウロウロした挙句逃げ帰った…。
ストーカーかよって感じだよな…
ごめん…キモいよな…ははっ」
自嘲気味に笑う田崎
…知らなかった
田崎が私の事そんなに心配してくれてたなんて…
「ううん…ありがと」
私の事を思ってくれてた田崎の気持ちが嬉しくて 私はにっこり笑ってそう言った。
「じゃ…じゃあ俺帰るから…返事はいつでもいいからな…
じゃあ…またな」
そう言いながら 走って帰って行く田崎の後姿を見送りながら 私は知らないうちに真っ赤になっていたほっぺたを押さえた。
読んで頂きありがとうございました。