表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
弟なヤツ  作者: ふじたま
4/6

第四話 照れるヤツ

続きすぐ書くつもりが やっぱり間が開いてしまいました。

ほんとこんなんですいませんι

―カラン コロン カラン―



「姉さん…。そんなに走ると転びますよ…。」



「だって楽しいんだも〜ん♪」



動きにくい浴衣を着ているにも関わらず 自然と早足になってしまう。


シュウと一緒ってのもあるけど お祭り好きな私は浮かれながら歩いていた。

主に屋台が目当てなんだけどね



私の心は 既に祭りの会場である神社にトリップ中。



「なに食べようかなぁ〜」



―カランコロン



ガッ



「きゃっ」



「姉さんてほんと予想通りの行動してくれますよね。だから先程注意したんじゃないですか…。」



排水溝の蓋に開いた穴につまづいた私の手を寸での所で掴んでくれたシュウのおかげで倒れずにすんだ…。



「すみません…ι」


呆れながら 説教をしてくるシュウ



うぅ これじゃあどっちが 年上だか分からないよ…




「大体ですね…。せっかく浴衣を着てるんですからもっとお淑やかに行動した方が…。その……せっかく似合っているのに…。」



ん? 今 最後にぼそっと何か言わなかった?


そう思って シュウの顔を見ると いつものポーカーフェイスが何処となく赤くなってる気が…



…って事は 今のは聞きまちがいじゃないよね?




「ふふっ…ありがと」


私がそう言うと シュウの顔が更に赤くなる。


普段 あんまり女の子と接しないシュウは 例え姉であっても女性を褒めるっていう行為は照れるらしい。




うわっ 可愛い…。



もっとからかってやりたい気もしたけど 丁度祭りのある神社へ到着した。



鳥居を潜ると参道の両端にはたくさんの屋台が並んでおり その上に飾られた提灯が祭りの雰囲気を盛り上げていた。



「シュウ〜 見て見てっ!綿菓子あるよっ!あっ!リンゴ飴もっ!わ〜いバナナチョコ発見っ!」



「食べ物ばかりですね…。先程夕飯食べたじゃないですか…ι」



「こういうのは別腹なのっ」



「…お腹壊さないで下さいね。」


呆れながらも笑うシュウ。

シュウの笑顔を身近で独り占め出来るなんてやっぱり姉で良かったと思う。


ほんとは恋愛対象になれたら一番だけど…。




「満足満足っ♪」

両手に リンゴ飴と綿飴を持って、さっきバナナチョコと杏子飴と焼きとうもろこしを食べ終えた私はにこにこしながら言った。



「それは あれだけ食べれば満足ですよね…。」


苦笑するシュウ。

手にはさっき二人でやった金魚掬いの金魚を持っている。



私は全然掬え無かったのに、シュウはひょいひょいと5匹も掬っていた。


昔から器用になんでもそつなくこなすんだよね…コイツ




「疲れたぁ〜」


そう言って神社の石段の脇に座った私は そこで屋台に目を向けあるものを発見した。



「あっ!そう言えばまだジャガバタ食べて無い〜」



「まだ食べる気ですか…?」



「だって〜せっかくお祭りなんだから食べておきたいじゃん?!」



「だってじゃありません。そろそろ止めて置いた方が…。」



あれ?顔が引きつってるよ…シュウ



「シュウの意地悪〜」


「意地悪って…ι僕は姉さんの為を思ってですね…。

………。

…あ〜 分かりました。僕が買ったのを一口あげますから…そんな目で見ないで下さい…。」



私のじぃ〜っという視線に耐え兼ねてシュウが折れた。



食べ物の恨みは恐ろしいのだよっ シュウくん(笑



「じゃあ買ってきますからそこに居て下さいね。」

「は〜い」


我ながらいい返事だと思う。




「あれ?倉橋じゃん…一人か?」



「ん?あぁ、田崎かぁ…。一人じゃないよ。弟と一緒」



いきなり 私に話かけてきたこの人は…


田崎(たざき) 春人(はるひと)

私と同じクラスで席も後だからたまに話たりする男の子。

茶色の肩まで伸ばした髪は軽くウェーブがかっていて、私服を見たのは初めてだったけど 今風な格好をしていた。



ポロシャツにジーンズな姿のシュウとは対象的な感じがする。



「あぁ…。あの『堅物くん』な…。

そういや姉弟なんだよな…。」


「義理だけどね…」



「大変だなぁ…お前も…」



「へ?」


私の頭の上に?マークが浮かぶ



「アイツ口うるさくね?家でもああなんか?」



「う〜ん。まぁ…」


私にとっては ヤツと関われる事は嬉しい事なんだけど…



田崎は その外見と生活態度から 風紀委員に目を付けられているらしく どうやら シュウの事が苦手みたいだった。



「ところで、田崎は何してたの?一人?」



「俺をそんな淋しいヤツみたいに言うなよ…ι。一人じゃ祭り来ねえし。ダチと一緒に来たんだけどはぐれちまって…。」



「迷子?」


私がぷっと笑うと 田崎が慌てた。



「ちげっ!アイツらが勝手に居なくなったんだって…」




「姉さん?」



声に気付いて振り向くと ジャガバタを手にしたシュウが立っていた。



「あっ!シュウおかえり〜」


言って私はジャガバタに飛び付く



「お知り合いですか?」



「うん。同じクラスの…」



「あぁ…田崎さんですね。お久し振りです。いつも姉さんがお世話になっております。」


私の紹介を遮り ぺこっと頭を下げながら シュウが田崎に挨拶する。




「お世話って…ι俺別に何もしてねえケド…」


田崎が苦笑する。



「あっ!そろそろ行かなくては…。」



腕時計を見ながら いきなりシュウが慌てだした。



え?もう時間?


そう思って 携帯で時間を確認したら…


19時30分…


確か 見回りって20時からじゃ…?


相変わらず 時間に律義なヤツ…ι

もっと一緒に居たかったのに…。



「ところで田崎さん今お時間ありますか…?」


がっかりしながも まだジャガバタを食べ続ける私をよそに シュウが田崎に話かける。


「ん?まぁ仲間とぶらぶらしてただけだから暇っちゃ暇だな…」



「そうですか。ではお願いがあるのですが…」



「…な なんだよ…。」


シュウからの頼みと聞いて ちょっと警戒してるらしい。

どもりながらも 田崎が答えた。



「実は僕これから風紀委員で見回りをする事になっていまして…。よろしければ姉さんを家まで送って行って頂けると嬉しいのですが…。

家までは10分くらいの距離ですので…」



「おぅ 別にいいけど…。ところで見回りって?」



「祭りで生徒がハメを外して飲酒や夜間徘徊を行わない様に指導して回るんです。10時以降出歩いていると指導対象になりますよ」


「…マジでか?」


一瞬田崎がやばって感じの顔になる。



「えぇ…。ですから姉さんを早めに連れて帰ってくれると助かります。

本当は僕が一度送って帰るつもりだったのですが予想外に時間が経ってしまいましたので…。」



「…そうか…ι分かった任せとけ」



「ありがとうございます。助かります。

このお礼はいつかしますので…。」



「なら、こないだの遅刻見逃してくれよ。」


「それとこれとは話が別です。」



「…だよな」




「では僕はこれで失礼します。

姉さん、僕の分のジャガバターは家に持っていっておいて下さい。

あんまり食べ過ぎちゃ駄目ですよ。

後、家には早めに帰る様に…。」



「は〜い。分かりました。」



私が返事すると シュウは 「では」

と田崎に一礼して去っていった。

読んで下さってる皆様いつもありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ