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魔法少女めぐ☆める  作者: 荒三水
メルちゃんのお宅訪問
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メルちゃんのお宅訪問 2

「巡、こういうのは普通男のお前が言うもんだぞ?」

「いやこれは違うよ、全然、ただの冗談だから!」

「めぐるちゃんをどうかわたしにっ!!」

「メルちゃんうるさい!」

「え~っと夢留ちゃんだったかな。とりあえず俺のことはパパと呼んでくれ」

「はい! パパ!」

「ふざけないでよ二人とも!」


 巡の嫌な予感は的中した。メルを連れてきた事をいまさら後悔しても、すでに後の祭りだ。

 やっぱりこうなったか……。

 親の同意が必要だっていうんなら別に電話とかでもよかったんじゃ?

 それによく考えたらメルちゃんを連れて来る必要性だってなかったような……。

 なんてバカなんだ僕は。 

 ……どうせこれもみんな僕の家に来る口実であって、全部ウソなんだろうし。

 

「おい巡。どんなあくどい手を使ったのか知らんが、お前みたいなお間抜け男を好きになってくれる子なんてそうはいないぞ? 冗談だとしても今のうちに既成事実を作ってしまえば……」

「大丈夫です! わたしたちもうやりまくりですから!」

「なに大嘘を高らかに宣言してるんだよ! さっきまでの態度はなんだったの!? それにウソだからっていってももうちょっとオブラートに包もうよ!」


 巡はしつこく釘を刺すようにつっこみをいれる。

 急に絶好調になったメルが、どんな爆弾発言をするか気が気でないからだ。


「にしてもこんなに可愛い子が…………、ん? ……お前。お前誰だ!?」


 自分を見上げる顔に違和感を覚えたのか、駈は巡の顔を凝視した。

 巡は実の親に改めてじろじろ見つめられると、気恥ずかしくなって顔をそむける。

 駈はさすがに巡の変化に気が付いたようだ。

 

「パパ、めぐるちゃんは今日から女の子になったんだよ」

「女? ……こらこらパパをからかうのはよしなさい」

「……と、父さん。本当に、そうなんだ……」

「お前まで何を馬鹿な……」

「ダンナ、この際もう脱がしちまいましょう! そいつが手っ取り早いですぜ!」

「ちょっとなに言ってんのメルちゃん!」

「むう……、し、仕方ない。わ、悪ふざけに付き合ってやるとするか。……うむ、なぜか緊張する」


 駈は巡の制服を脱がせにかかる。近づいてブレザーに手をかけたところで、巡は身をよじって激しく抵抗した。

 いっそう華奢になった体格にはやや大きいサイズの衣服がはだけ、すべすべの白い肌に浮き出る鎖骨と肩が半分露出する。


「わあっ、やめて! ほんとに!」

「脱ーがーせっ! 脱ーがーせっ!」メルが周りではやし立てる。 

「おかしいな……。息子に俺のムスコがかすかに反応している。そして妙に色っぽい」

「ちょっと、気持ち悪いこと言わないでよ! だから、なんかよくわからない魔法の力でこうなっちゃったんだよ!」

「……魔法? 魔法だと? …………うーん、そうか、なるほど……」

「えっ! すんなり納得するの!? 魔法だよ、疑わないの!?」 

「うーむ……ついにお前にも話す時がきたか……」


 駈は巡から手を放すと、少し考えるようなそぶりをしたのち真顔で話し出した。

 

「巡。心して聞け。何を隠そうお前の母さんは、その昔魔法少女だったのだ!」

「ええっ!?」


 いきなりの衝撃事実に驚きを隠せない巡。

 

「……この前はキャッツアイだったとか言ってなかった?」

「すまん、あれはウソだ」

「うん、まあ全然信じてなかったから別にいいけど……」


 普通なら今度も冗談で流すところだが、巡は現に魔法少女が実在する事を知っている。

 すぐ隣で「ちっ、もうちょっとだったのに」と悪態をつく変態が、一般的な魔法少女と呼べる代物なのかはさておき。


「わたし知ってるよ。東西南とうざいみなみ。めぐるちゃんのママだよね?」

「えっ? なんで母さんの名前を……」

「だってすっごい有名人だよ? 伝説の魔法使い少女。昔お兄ちゃんがとっても可愛がってたんだけど、どこぞの馬の骨に寝取られたって言ってた」

「馬鹿な。南は処女だったぞ」

「お兄ちゃんは今も童貞だからね。南は子供を孕まされて生まされた後、すっかり魔法力をなくしちゃったって悔しがってたよ」

「……まあ事実ではあるが、ずいぶん悪意のある言い方だな……。ちゃんと恋愛して、同意の上だぞ? ……お兄ちゃんってもしかして道程のことか? 高村道程たかむらみちのり

「え~っと……多分そんな名前だったような気がする」

「やっぱりまだ根に持ってんのかあの人は……。それにお兄ちゃんなんて呼ばせてしょうもない」

 

 ……自分だってパパとか呼ばせてるくせに。

 巡はそう言いたくなったが、黙って二人の会話に聞き入っていた。全てが初耳であったが、どちらもウソを言っている様子はない。

 こうなってはさすがに信じざるを得なくなってきていた。

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