幼馴染が死んだ。それだけの話。
初めまして、夜霧嘉 柚羅羅です。
初挑戦の小説ですが、気に入っていただけると幸いです。
それでは、どうぞ本編へ。
秋の季節が終わり、冬に入り始めた、ある日のこと。
いつも通り、下校してると、斜め前の幼馴染の家に、パトカーが大量に止まっていた。
真っ先に思い浮かんだのは、誰か死んだのかな、だった。
なんて、気安く考えながら、近づくと、警察の人に止められた。
「ここから、先は入らないでね」
そう言いながら、私の視界をさえぎった。
それでも、私はこの目でしっかりと死体が運ばれていくところを見た。
もちろん、白い布で隠れていたけど、布が血で染まっていた。
寝台車に運ばれていく死体におばさんとおじさんは、泣きながらすがっていた。
長年の家族ぐるみの付き合いで、誰かが死んだら悲しくなるはずなんだろうけど、私は自分でも驚くほど、冷静だった。
どこか、願ってたからかな、あの完璧そうな家族が壊れることを。
冷たい風が、冷たくなくて、コートのぬくもりが暑すぎた。
無意識下にずっとあったその願いを、狂気を、意識すると、鎖から解放された怪獣が解放されるような感覚だった。
死んでるのが七菜香だったらいいなー。
ねえ、神様、もう私に試練をたくさん与えてきたでしょ。
だから、私から私の幸せを奪ったように、あの家にも、どうか、制裁を。
ふふっと、自分でも気味悪い声で笑い声をあげた。
にやけていては、状況的にまずいと思い、顔を手で覆いうつむいた。
こんなに笑ったのは、いつ以来だろう。
すると、警官の人が聞いてきた。
「大丈夫?」
私が泣くのをこらえてるとでも思ったのだろうか。優しそうなまなざしで、こちらを見てきた。
死んだのが誰かもわかんないのに、泣く人なんていないでしょ。
「はい。誰が亡くなったのかは分からないのですが、ここのいえの子とは赤ちゃんころから、仲が良くて。」
嘘はついてない。でも、どこか嘘をついている気がした。
「そうなの。…海鈴七菜香さんが、お亡くなりに。」
どうせいつか、誰が死んだか分かるからか、警察のお姉さんが教えてくれた。
その情報に、泣かずにはいられなかった。
悲しいからじゃない、体面的に。
だって、仲のいい幼馴染が死んで、泣かない人なんていないでしょ?
難しいと思ったウソ泣きは簡単だった。
ポロポロと泣き崩れた。
「七菜香が?そんな…ああ、」
地面にしゃがみこんだ私を警察官はそばに近寄り慰めてくれた。
「大丈夫?立てる?いったん、おうちかえろっか。よかったらパトカーで送ってくよ。」
ああ、誰かに気遣われるのってこんなに気持ちいいんだ。
蔑まれた同情はされたことはあったけど、こんなに優しい同情は初めて。
「いえ…大丈夫です。家はここからすごく近いので」
涙を、乾いた肌に荒く拭きながら、立ち上がった。
「ありがとうございました。」
そう言い、頭を下げて、家へ向かうと、後ろから呼び止められた。
「ここみちゃん!」
家から出てきた、彼女の兄、紫苑君だった。
「紫苑君…!」
振り返って、しおん君の顔を見て、驚きを隠せずにいた。
泣き崩れた顔は、同情心を誘うような無防備さで、かわいそうだった。
「その、本当なの?七菜香が死んだって…?」
声を震わせながら、聞いた。
冷え切った手が、興奮で少し温かくなったのを感じ、心拍がさらに速く脈打った。
「うっ…ああ。」
もう乾くまで泣いたであろう瞳を濡らして、深く紫苑君がうつむいた。
その姿を見て、言いたくなった、「これが”現実”だよ」って。
ヒューっと、冷たい風が私たちの間を通った。
一エピソード目は、楽しんでいただけましたか。
続きを読んでいただけるのなら、とても光栄です。
また次の物語で。




