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人間。その正体は  作者: 夜霧嘉 由羅羅


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1/1

幼馴染が死んだ。それだけの話。

初めまして、夜霧嘉よぎりか 柚羅羅ゆららです。

初挑戦の小説ですが、気に入っていただけると幸いです。

それでは、どうぞ本編へ。

秋の季節が終わり、冬に入り始めた、ある日のこと。

いつも通り、下校してると、斜め前の幼馴染の家に、パトカーが大量に止まっていた。

真っ先に思い浮かんだのは、誰か死んだのかな、だった。

なんて、気安く考えながら、近づくと、警察の人に止められた。

「ここから、先は入らないでね」

そう言いながら、私の視界をさえぎった。

それでも、私はこの目でしっかりと死体が運ばれていくところを見た。

もちろん、白い布で隠れていたけど、布が血で染まっていた。

寝台車に運ばれていく死体におばさんとおじさんは、泣きながらすがっていた。

長年の家族ぐるみの付き合いで、誰かが死んだら悲しくなるはずなんだろうけど、私は自分でも驚くほど、冷静だった。

どこか、願ってたからかな、あの完璧そうな家族が壊れることを。

冷たい風が、冷たくなくて、コートのぬくもりが暑すぎた。

無意識下にずっとあったその願いを、狂気を、意識すると、鎖から解放された怪獣が解放されるような感覚だった。

死んでるのが七菜香だったらいいなー。

ねえ、神様、もう私に試練をたくさん与えてきたでしょ。

だから、私から私の幸せを奪ったように、あの家にも、どうか、制裁を。

ふふっと、自分でも気味悪い声で笑い声をあげた。

にやけていては、状況的にまずいと思い、顔を手で覆いうつむいた。

こんなに笑ったのは、いつ以来だろう。

すると、警官の人が聞いてきた。

「大丈夫?」

私が泣くのをこらえてるとでも思ったのだろうか。優しそうなまなざしで、こちらを見てきた。

死んだのが誰かもわかんないのに、泣く人なんていないでしょ。

「はい。誰が亡くなったのかは分からないのですが、ここのいえの子とは赤ちゃんころから、仲が良くて。」

嘘はついてない。でも、どこか嘘をついている気がした。

「そうなの。…海鈴七菜香さんが、お亡くなりに。」

どうせいつか、誰が死んだか分かるからか、警察のお姉さんが教えてくれた。

その情報に、泣かずにはいられなかった。

悲しいからじゃない、体面的に。

だって、仲のいい幼馴染が死んで、泣かない人なんていないでしょ?

難しいと思ったウソ泣きは簡単だった。

ポロポロと泣き崩れた。

「七菜香が?そんな…ああ、」

地面にしゃがみこんだ私を警察官はそばに近寄り慰めてくれた。

「大丈夫?立てる?いったん、おうちかえろっか。よかったらパトカーで送ってくよ。」

ああ、誰かに気遣われるのってこんなに気持ちいいんだ。

蔑まれた同情はされたことはあったけど、こんなに優しい同情は初めて。

「いえ…大丈夫です。家はここからすごく近いので」

涙を、乾いた肌に荒く拭きながら、立ち上がった。

「ありがとうございました。」

そう言い、頭を下げて、家へ向かうと、後ろから呼び止められた。

「ここみちゃん!」

家から出てきた、彼女の兄、紫苑君だった。

「紫苑君…!」

振り返って、しおん君の顔を見て、驚きを隠せずにいた。

泣き崩れた顔は、同情心を誘うような無防備さで、かわいそうだった。

「その、本当なの?七菜香が死んだって…?」

声を震わせながら、聞いた。

冷え切った手が、興奮で少し温かくなったのを感じ、心拍がさらに速く脈打った。

「うっ…ああ。」

もう乾くまで泣いたであろう瞳を濡らして、深く紫苑君がうつむいた。

その姿を見て、言いたくなった、「これが”現実”だよ」って。

ヒューっと、冷たい風が私たちの間を通った。


一エピソード目は、楽しんでいただけましたか。

続きを読んでいただけるのなら、とても光栄です。

また次の物語で。

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