BAD END 02:無知の姫君
――助けなきゃ。
目の前に倒れているのは、愛すべき友人。
力なく地面に崩れ落ちたその姿に、思考がほとんど断絶されたままながら、彼女は咄嗟に、反射的に、そう思った。
数時間前までは確かに一緒に笑っていた筈なのに、今や能面のように表情は失われ、血の気がない。
友の顔の前に手をかざそうとして止める。結果を知るのが怖かった。知ってしまえば、今以上にまともな思考が出来ると思えなかった。
顔を上げれば、そこには累々と倒れ伏した人の姿がある。その面々には全て見覚えがあった。
敵も味方もない混ぜになって、あるいは一人で、あるいは折り重なるようにして、まるで屍のようにぴくりとも動かない。
実際のところどうか、という点については。
一切合切、彼女は考えたくなかった。
正気でいるのは、彼女の他に一人だけ。恐怖を押し込めて目の前の人物を見上げれば、彼女以上に虚ろな瞳でそれは見返してくる。
いや。たまたまその方角を向いていただけで、彼女のことなど見てはいないのかもしれない。その瞳には、何も映ってはいないようだった。
彼女はぎりりと拳を握る。
意を決して、というよりは半分以上無意識のうちに、彼女は手を広げ、口を開く。
動きに気づいた誰かが制止する「止めろ」という声を振り切り、彼女は青い光の中で不敵に笑った。
晴れ渡った星空の下、くっと笑みの形に変えた唇で彼女は振り返る。
――待ってて。私が絶対、助けるから。




