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美人な上司と一夜を共に……!?

「1部屋って、同じ部屋に泊まるってことですか……?」


水希先輩が部屋の予約に失敗してしまったようで、2人で1部屋しか予約できていなかったらしい。


「そうなの。本当にごめんね……」


「大丈夫ですよ。俺は別のホテルとか探すので、予約してもらった部屋は水希先輩1人で広々と使ってください」


ポケットからスマホを取り出し、この辺りのホテルを調べようとしたが、横から水希先輩に腕を掴まれた。


「……い……じょ……ぶだから……」


「先輩……?」


「私は大丈夫だから、一緒に部屋使いましょう?」


ーーーーっ!?


俺が良からぬ妄想をする前に、水希先輩が慌てて補足する。


「こっ、これは経費の節約で、別に変な意味はないの!」


「そ、そうですよね!? わかってますよ!」


互いに不自然なテンションになりつつ、その流れでいつの間にか部屋に向かっていた。



◯ ◯ ◯ ◯ ◯



「狭いな……」

「狭いわね……」


部屋に着いた俺たちは同じ感想を口にした。


2人部屋のはずだが明らかに1人用の広さしかなく、申し訳程度にベッドがセミダブルとなっているだけだった。


「先輩、とりあえず何か買って来ましょうか」


「そ、そうね。買うもの見られるのも恥ずかしいから、私が先に行ってくるね」


そう言い残し、水希先輩はすぐに部屋を後にした。


女性は何かと入り用なのだろうが、先輩が恥ずかしがりながら何かを買っているところを想像すると変にドキドキしてしまう。



これはマズい。一緒にいるわけでもないのに意識してしまう。


このまま一晩なんて精神がもたない……!!!


アルコールの力で乗り切ろうと考えた矢先、お酒を大量に買い込んだ水希先輩が帰って来た。


同じ考えだったことに安心しつつ、交代で俺もコンビニに向かった。



◯ ◯ ◯ ◯ ◯



夜のコンビニにて、俺はあるコーナー付近をウロウロしていた。


「何かあった時に備えて買っておいた方が……。

いや、そういうことをしたいと思われるのは避けた方が……。

いやいや、備えておくのは男として当然のこと……。

いやいやいや……」


ブツブツと独り言を唱えながら店内をウロウロする男。


目の前にいたら明らかに怪しい。現に店員も様子を伺っているようだが、俺の頭はそんなことに注意を割けるほど冷静ではなかった。


「〜〜〜っ! 買う!」


視線の先にあった薄いゴム製品(・・・・・・)の箱を素早く手に取り、大量の酒と共にカゴに入れてレジへ向かった。



◯ ◯ ◯ ◯ ◯



「ただいま戻りました〜」


買った物が買った物なので、変な緊張感を持ちつつ恐る恐るドアを開けた。


何としても袋の中身だけは見られるわけにいかない……!!


どう隠そうか頭をフル回転させながら部屋に入ったが、そんな心配は不要だったようだ。


なぜなら、


「あ〜、カズマくんだ〜。おかえり〜♪」


水希先輩はすっかり出来上がっていたのだ。


机の上には空き缶が無造作に置かれ、ベッドに腰掛けた先輩は顔を赤らめながら手招きしている。


「早くおいでよ〜。一緒に飲もうよ♪」


くっ、かわいい……。


ここまで酔っ払うほど飲んでいるのは、俺と2人きりでも気まずくならないための配慮なのだろうが、さすがにそろそろ止めておいた方が良さそうだ。


「先輩、そろそろ水も飲みましょう。それ以上飲むのはさすがに体に悪いですよ」


「大丈夫よぅ、私だってカズマくんと一緒に飲みたいんだもん」


「〜〜〜っっ!! ならこれで我慢してください!」


買い物袋からノンアルのビールやチューハイを取り出して机に並べていく。


俺自身それほど酒に強くないので念のため買っておいたが、まさかこんな風に役立つとは思っていなかった。


「それじゃあ、乾杯しよっか。今日もお疲れさま♪」


「お疲れ様です」


隣に座って他愛もない話をしながら、2人きりの晩酌は進んで行くのだった。



◯ ◯ ◯ ◯ ◯



しばらく飲み進めた後、ふとした拍子に水希先輩が話題を変えた。


「ねえ、カズマくん。私って魅力無いのかな?」


「ブフッ!?」


突然刺激の強い話題を振られ、口に含んだ酒を吹き出しかけた。


「タクオタチームって、かわいい子が多いでしょ? それに若葉だってすっごくかわいいし……」


「確かにそうですけど、水希先輩も魅力的ですよ」


「…………でもあの時、何もしなかったじゃない」


そう言われて、水希先輩を介抱した日を思い出した。


「いや、そりゃ俺だって……その……手を出しそうになるのを堪えてたというか……」


酔ってるな、俺。

絶対言わなくて良いことを口走っている。


「……ふーーーん。そーなんだ」


それを聞いて少しだけ機嫌が戻る水希先輩。


「それじゃあさ……」


「えっ」


次の瞬間、俺はベッドで仰向けに押し倒されていた。


そこに覆い被さるような体勢で、水希先輩が俺の顔を覗き込んでくる。


「我慢しなくて良いって言ったら、どうする……?」


「ちょっーーー!? 水希先輩!?」


とろんとした目で、先輩が俺を見つめている。


これは……良いのか……!?

流れに身を任せてしまって良いのか……!?


恐る恐る先輩の背中に手を回すと、先輩が一気に距離を詰めてきた。

というより、俺に抱きつくように密着して来た。


「〜〜〜〜っっっ!!!」


心臓が爆発しそうだ。


もう理性が保たないーーーっっっ!!!



「………………ぅ」


「……先輩?」




呼びかけてみても返事はない。




耳を澄ますと、すぅすぅと寝息が聞こえてきた。



「………………そりゃないぜぇぇぇぇぇぇ」


ガッッッッッカリして肩を落とす。



だが寝込みを襲うつもりは無いので、ひとまず俺に抱きついている水希先輩から離れようとするが、


「ん〜〜〜」


水希先輩の腕に力が入り、俺をガッチリ抱きしめてくる。


「これワザとやってんだろぉぉぉ!!!」


ここまでされて生殺し。

興奮で目が冴えきり、こんな状態で眠れるわけないと思い続けていたが、数時間後には仕事の疲れとアルコールにより夢の世界に旅立っていた。

◯ あとがき ◯


こんにちは。甘妻若葉です。

私たちのお話を読んでいただき、ありがとうございます。


お姉ちゃんとカズさん、今ごろご飯でも食べてるのかな?

いっそ同じ部屋に泊まるとか、カズさんを押し倒すとかしちゃえばいいのに。

でも、その様子を思い浮かべると胸が苦しいのは何でだろう……?


また私たちに会いに来てくれるという人は、ぜひブックマークをお願いします。

……少し怖いですが、ついでに私たちのことも評価してくれると嬉しいです。


それでは、また次のお話でお会いしましょう。




……ふぅ、緊張したぁ。

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