表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/36

綺麗なお姉さんとオフィスで2人きり

翌朝マンションの自室を出た俺はエレベーターを待っていた。


「さて、どうすっかな」


柚季のことで少しばかり頭を悩ませている。


と言っても、別に困った話ではない。教育係として、次にどんな仕事をさせようか考えているだけだ。


少し待った後、到着したエレベーターのドアが開くと、中には美人なお姉さんが乗っていた。


「あら、カズマ君。おはよう♪」


「おはようございます、水希先輩」


彼女こそタクオタのディレクター、つまり直属の上司である甘妻(あまづま)水希(みずき)先輩だ。


綺麗なお姉さんという言葉がぴったりで、スリムながら出るところの出たモデル級のルックスである。


だからこそ、狭いエレベーターで2人きりというシチュエーションにドキドキしてしまうのは自然なことだ。俺は悪くない。


「そういえばオフィスで会うの久しぶりですね」


「そうなの! 出張とか色々あってね。全部オンラインでいいと思わない?」


「ですよね」と苦笑い。オンライン会議が主流の会社も増える中、大事な話は対面でやるという謎の文化がある会社も少なくない。


正直なところ対面で会議する理由など、その場の雰囲気で相手を丸め込むためか、相手の容姿を堪能するためかのどちらかしかない。


水希先輩は後者の理由で出張させられたのだ。本当にお疲れ様です。


「それにしても、まだ始業まで時間あるわよ。急ぎの仕事?」


「そういうわけでは。ただ柚季に振る仕事の資料をまとめておこうかなと」


そう言った俺を見て、先輩が「ふふっ」っと笑い声を漏らす。


「ごめんごめん。カズマ君は美雪ちゃんのこと大好きなんだなって」


「ぶっ!」


今度は俺が吹き出す番だ。予想外の言葉を投げかけられ慌ててしまう。


「そんなんじゃないっすよ! 教育係としての仕事をしてるだけです!」


「ま、そういうことにしておこうかしら♪」





目的の階に着いた2人はマンションの廊下を進み、部屋の前で立ち止まる。


この部屋こそ、俺たちがオフィスと呼ぶ仕事部屋だ。


俺たちの会社は在宅勤務(リモートワーク)だが、タクオタ運営メンバーの多くが偶然このマンションに住んでいることがわかり、皆で1室を借りて共用の仕事部屋(オフィス)としている。


無論自宅で仕事をしても良いが、この仕事部屋(オフィス)を使うメンバーが多い。


移動のストレスも無く、会社ほど身だしなみに気を使う必要も無く、そして何より気心の知れたメンバーで顔を合わせながら仕事する方が楽しいからだ。


ちなみにタクオタの運営メンバーは俺以外の全員が女性という、もはやハーレムと言っても過言ではない状態となっている。


……言っておくが、俺はハーレム目的で仕事部屋(オフィス)に来てるわけではないからな!





暗証番号で玄関の鍵を開け、水希先輩が先に靴を脱いで部屋に入って行く。


…………綺麗なお姉さんは靴を脱ぐだけでエロく見えるんですね。


「そういえばカズマ君に教えてもらったデッキ、すごく使いやすかったよ。

最近なかなか勝てなかったから助かったわ。ありがとね」


振り向きざまにゲームの話を振られ、俺は急いで視線をずらす。


「そ、それくらいお安い御用ですよ。普段お世話になってるので、先輩のお役に立てて嬉しいです」


「あら、じゃあこれからもお世話しちゃおっかな♪」


〜〜〜〜っっっっ!!! お世話されてええええっっっっっ!!!


「お手柔らかにお願いしますね」


何でもない表情を見せつつ、爆上がりしたテンションのまま早速仕事に取り掛かるのだった。


◆ ◆ ◆


「よし、こんなもんだろ」


まとめ終えた資料を眺めながら一息ついていると、「ん〜〜〜」っと伸びをする声が聞こえてくる。


視線を向けると、水希先輩はスマホを横に持ちながら何やら考えているようだ。


それなら、と俺は席を立ってキッチンに向かった。





「お疲れ様です。コーヒーどうですか?」


両手にマグカップを持ちながら、水希先輩に声をかける。


「ちょうど飲みたかったの! カズマ君ってエスパー?」


「そんなんじゃないですよ。水希先輩、考え事しながらコーヒー飲んでることが多かったなと思い出しただけです」


「カズマ君って、私のことしっかり見てくれてるのね。ありがとう♪」


コツンとマグカップで乾杯し、コーヒーを飲みながら一緒にタクオタをプレイし始めた。


◆ ◆ ◆


しばらくすると、廊下から足音が聞こえて来た。


「おはようございま〜す! あー! 水希先輩! 出張お疲れ様です!」


「おはよう、美雪ちゃん。また会えて嬉しいわ♪」


「私も水希先輩に会えて嬉しいです! もちろん、カズマ先輩にも会えて嬉しいですよ♪」


「う、うるせーな、取って付けたように言うんじゃねーよ」


「あれあれ、もしかして照れてるんですか?」


「そんなわけねーだろ」と席に戻り、照れ隠しのために何食わぬ顔でPCに向かう。


面と向かって「会えて嬉しい」なんて言われたら、たとえお世辞でも世の中の男は嬉しいものなんだよ!


「ところで水希先輩、さっき何のお話ししてたんですか?」


「うーん……内緒♪」


「えー! 気になりますよ〜! まさか私の知らないところでカズマ先輩とイチャイチャしてたんですか……!?」


「さて、どうでしょう〜♪」


「水希先輩のいじわる〜!!」


聞こえてくる話に俺も驚いていた。


俺と水希先輩は雑談しながらタクオタをプレイしてただけだ。


隠すことなんて何一つ無いのに、内緒という響きだけでドキッとしてしまう。


「カズマ君」


「はいっ!?」


先輩に突然呼ばれ、裏返った声で返事してしまう。


「……またしようね♡」


「〜〜〜〜っっっ!!!」


破壊力抜群だ。もはや仕事どころではない。


「ず〜る〜い〜!! ぜったい2人でイチャイチャしてましたよね〜〜〜!?」


元気いっぱいな柚季の声がオフィスに響いていた。

お読みいただきありがとうございます!


高評価やブックマークもお願いします!

(★5いただけると特に嬉しいです!!!)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ