仕事がうまくいった日の酒は美味い
「皆さんお酒持ちましたかー?」
柚季が皆の様子を伺い、準備できていることを確認した。
「それでは!」
「「「「「カンパーイ!!!」」」」」
仕事を終えた俺らは缶ビールやらチューハイやらを持ち、ピザやおつまみを囲んでいる。
今回の定期イベントの売上が好調なため、こうして小さな打ち上げを開いているところだ。
「ぷはぁぁ〜〜〜っ! 仕事がうまく行ってる時のお酒おいしいですね〜〜〜!」
「私もそう思うわ♪ でも、一気に飲んじゃダメよ」
気持ちの良い飲みっぷりを見せる柚季をたしなめつつ、水希先輩も飲み進めている。
普段あまり飲まない水希先輩だが、こういう時は付き合う程度に飲むようだ。
ちなみに胡桃はお酒より料理に手をつけており、逆にアリスはハイペースで飲み続けていた。
少し経った頃、柚季と水希先輩の顔が赤くなり始める。
胡桃の顔も薄く色づいているが、それほど飲んではいないのか、まだ酔ってはいないようだ。
そして大量に飲んでいたアリスはというと、様子が微塵も変わらなかった。
本物の幼女と勘違いされそうな見た目してんのに、アリスが一番お酒強いのかよ!
「カズマ、失礼なこと考えてないか?」
「そ、そんなわけねーだろ?」
……コイツ、妖怪か?
「カズマく〜ん♪ 飲んでる〜?」
「みっ、水希先輩!?」
頬を赤らめながら俺の肩に腕を回してくる。
ーーちょっ、肩に柔らかいモノがっ!!!
酔っ払ったおっさんは勘弁だが、酔っ払ったお姉さんなら大歓迎だな。
「かじゅませんぱ〜い、私もぎゅってしてくださ〜い♪」
「うおぃ、柚季!?」
水希先輩と反対の肩から抱きついてくる。
お前も酔っ払ってんのかよ! しかも、また柔らかいモノがーーっ!!
「カズマ、お前も顔真っ赤だぞ」
「うう、うるせーな! この状況なら仕方ねーだろ!」
そういえば、胡桃の姿が見えない。テーブルの方を見ると、1人でお酒をぐびぐび飲んでいた。
「………………」
無言のまま半分口を開き、ぽけーーーーーーっとした表情で宙を眺めている。こりゃ胡桃もダメだな。
ふとこちらを見た胡桃と目が合った。
ぽやっとした表情で微笑み、こちらに歩いて来る。
「………………ぎゅ」
「っ!?」
正面から腹のあたりに抱きついてきた。
両腕には水希先輩と柚季、正面からは胡桃に抱きつかれ、ハーレムといえる見た目になっている。
「良かったなカズマ。今のうちに堪能しとけよ」
「……お前、時々おっさんみたいなこと言うよな」
そりゃ嬉しいけどな!
「はへ? そろそろ帰らなきゃ〜」
水希先輩が時計を見てそんなことを言い出すが、
「ちょっ、先輩! フラフラじゃないですか!」
「ふぇっ?」
足取りがおぼつかず転びそうになる水希先輩の肩をつかみ、なんとか支えることに成功した。
「この状態の先輩を1人で帰せません。俺が家まで送りますよ」
「カズマくんが送ってくれるのー? やった〜♪」
はい、かわいい。
言動が幼くなった先輩をずっと見ていたい気もするが、今は先輩を無事送り届けることが最優先だ。
「っつーことでアリス、柚季と胡桃のこと任せて良いか?」
「はいはーい、ここ置いてっていーぞー」
「悪いな」と、俺にくっついていた柚季と胡桃を引き剥がし、アリスの元に置いていく。
「先輩、一緒に帰りますよ」
「えへへ〜、一緒に帰るなんて新婚さんみたいだね〜♡」
この人はぁぁぁ!!!
ギリギリ理性を保ちつつ、オフィスを出てエレベーターに乗り、先輩の家の前まで到着した。
「ほら、先輩。着きましたよ」
「いえ〜い、とうちゃく〜!」
タッチパネルを操作して部屋の鍵を開けたことを確認し、オフィスに戻ろうとするが水希先輩に腕を掴まれた。
「カズマくん、少し上がっていかない?」
「………………へ?」
次の瞬間には、俺は腕を引っ張られ玄関に入っていた。
こうして先輩の家に初めてお邪魔することになったのだが……色々大丈夫だろうか。
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