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前編

思いついたまま書いてます。設定も内容もユルユルのガバガバです。

誤字報告ありがとうございます!

突然記憶が甦るって不思議な気分だ。

ベッドから起きようと思ってそのまま頭から地面に落下。床に頭をぶつけた時に脳内にいくつもの場面が出てきた。

昨日のわたくしまでは知らなかったこと。けど今の私は……。

(知っている。これ、過去……、いや、前世の私だ!)

それを知った途端、私は絶望したのであった。


(異世界転生しちゃった。ヤッター!!なんて思う訳ないじゃんよ。どうするの?私が転生しちゃったんだよ?)

私が悪役令嬢なんてできると思う?

(無理だ。無理無理!前世だって人をいじめたり、嫌がらせみたいなことをしたことなんてないもの!)

私がヒロインになれると思う?

(無理だ。無理無理。私、アンチヒロインだから。ヒロインの考え方って好きになれたことないもの。思っていないようなこと言えるか!)

じゃあ、私、何になる?

(私。……私は……)


そうして考え出した答えが……。

「いらっしゃいませ!空いているお席にどうぞ!」

家出して平民になる道を選んだ。

前世を思い出したものの、鏡に映った自分の姿を見てもイマイチ知っているゲームとか小説のキャラクターではないようなんだけど。転生してきてしまったからには何かしらの役割を与えられてしまう可能性があったから逃げることにした。


私、これでも公爵令嬢だからね。父も母も血まなこで私を捜していそう。

私という存在は公爵家には必要だったりする。なんせ王族に嫁ぐ筆頭令嬢となるからだ。

娘の幸せのため。なんて言って本当は自分たちの幸せのために王族にならなくてはならない娘の気持ちを考えたことあるのかよ?

(きっとない。だから逃げた。このままここで最低限の暮らしをしていくんだ)

王子との結婚にも夢なんて見ていないし。したい人がすればいいのよ。

(あ。けど。ヒロインが王妃になるような国に未来はないかもしれないから、その時は国外逃亡する方向でいよう)

そう心に決めた。


「リーナ、そろそろ休憩しなさい。働きすぎよ」

「お母さん」

ひょいっと私からお盆をひったくりドサッと椅子に座らせられた。

「まだ疲れていないわ」

「駄目!朝からいくつ仕事をしたと思っているの!?」

「えっと。洗濯に掃除にご飯の用意に……」

「とにかく!今日はもう仕事をしては駄目!」

「えぇー」

そんな横暴な……。と内心がっかりするも、大好きなオムライスが出てくるとそんな気持ちも吹き飛んだ。


リーナ。それが今の私の名前。

本名はリリアーナ・クロヴィツア。クロヴィツア公爵の一人娘。

もうすぐ15歳になろうとしていた。

(初めて鏡に映る自分の顔を見て驚いたっけ)

そう考えてしまうくらい私……。リリアーナの顔は可愛いかった。

銀髪の長い髪、アメジストのような色の瞳。容姿も端麗でどこからどう見ても公爵令嬢そのものだった。

父はジーク、母はセリア。どちらも社交界では有名である。

とはいえ、私は両親に愛されていたのかと問われると否だと自分では思う。

二人とも何故か家にいないことのほうが多く、仕事と称して二人で旅行をしていることもあった。

娘がいようと新婚ラブラブでいたいのかもしれないが。

(だからって!子供を放っておきすぎでしょう!!)

床に落下して前世の記憶を取り戻した自分が偉そうには言えないけどさ。普通、痛い思いをしてあやしてもらいたいのは両親なの!母親の腕の中なの!

(親失格じゃんよ)

私がいなくなって私の存在が大切だったとか言われても感動などしない。


それに比べて……。今のお母さんは……。

「?どうしたの?人の顔をじっと見て」

お母さん。本名はシルフィさんは不思議そうに私を見ていた。

私は首を振った。

「あの時、拾ってくれたのがお母さんで良かったなぁって思っただけ」

(そして。ずっと嘘をついていてごめんなさい……)


シルフィさんは私のことを記憶喪失になっている子供だと思っている。

家出を決めた私は頭の傷もそのままにすぐ屋敷から飛び出した。

何も持たずにすぐ家出がしたかった。

けど。まだ子供(中身はへっぽこ大人)だった私の体力はすぐに底をつきた。

大人たちにバレないような場所で休みながらひたすら歩いた。何日も何日も。お腹も減ったし、ぶつけたり転んだりして傷つけた箇所に痛みはあるし。それでも逃げたかった。


いい匂いがする。と思った家の前で倒れて。シルフィさんに助けられた。

体が痛くなくて、温かい感じがして。ぐうぅぅぅってお腹の音は正直者で。

ハッと目が覚めると。シルフィさんが優しげな顔で言葉がわかるかとかどこから来たのかと聞いてきた。

私はリリアーナと言いかけて。リーナと咄嗟に言った。どこから来たのかはわからないと首を振った。

けど。シルフィさんはそれ以上は何も聞かなかった。それどころか。

「家にいる?名前はわかってもリーナはどこから来たのか覚えていないなら、記憶喪失かもしれないから」

「いる!!」

その問いに間髪なく即答した。家に帰れないからどこでもいいから居たかった。

私の返事にシルフィさんは楽しそうに笑って。

「なら好きなだけいればいいさ」

そう言ってくれたのだった。

それでこんにちに至っている訳なのだけど。


「うーん。そろそろ切らないとなぁ」

シルフィさんのところに居候させてもらった次の日に銀髪の長い髪をばっさりと切った私なのだけど、このところまた髪が伸びてきているのが気になっていた。

「リーナ。その髪、切るのは止めたほうがいいんじゃない?」

「なんで?髪長いの苦手なんだけど」

「だって。見事な銀髪じゃない!銀髪や金髪、たまにダークブラウンは貴族の証と言われているのよ」

貴族と言うキーワードを言われて内心ドキリとするけど聞かなかったことにする。

「そんなもの珍しいものじゃないよ」

「え?」

「なんでもない!少し外の空気吸ってくる!」

私はそう言って飛び出した。


飛び出して行った私を見ながらシルフィさんは……。

「そろそろ年頃の娘になるのに。早く本来の貴女に戻らないと駄目よ。リリィ」

とても聞き覚えのある声音でそう言っていたことを私は知らない。


「いっそ、染める?」

私は自問自答していた。

(いや。染めるって。前世のようにカラートリートメントなんてモノはこの国にはないのよ!?)

私は生まれた時から銀髪だった。シルフィさんが言っていたように金髪や銀髪は貴族の証だったりする。

(忘れてたー。この髪色だと色々言われるに決まってるし、いつかシルフィさんにバレる!)

と、そこまで考えて、私ははたっと思った。

(もしかして。実はシルフィさん、気づいている?)

私が記憶喪失じゃないことも。私が誰なのかも。


(もし、そうなら、逃げなきゃ!)

私はもうすぐ15歳になる。貴族世界では社交界デビューする年齢である。

(そうなると。家のため、王族か貴族の誰かと絶対結婚しないといけない。そんなのイヤだ!!)

逃げて逃げて足掻きまくってやる!!と決意を新たにした。


(そうと決まれば。早速逃げよう)

恩を仇で返すようだけど。私は貴族には戻りたくないから。

(さようなら。シルフィさん)

私はまた逃げ出した。貴族にならない普通の人間になるために!


(それより、この髪、どうするよ!?)

銀髪であるため、どこに逃げても貴族の証がまとわりつくわ!

(不吉でもいいから、日本人にはめずらしくない黒髪になって!!)

私は強く願った。貴族の証が消えれば全然オッケイだから!!

すると。私の願いが届いたのか、銀髪が黒髪になっていた。

これは実は私が無意識に使っていた魔法の一種なのだが、そのことに気づくことはまだなかった。


「あれ?」

(髪が黒髪になってる!?やった!銀髪じゃない!!)

これで心置きなく逃げられる!

(よーし!行くか!!)

私はルンルン気分で駆け出した。

銀髪でなく黒髪になった私だけど、黒髪が不吉の髪色となることはなかった。むしろ……。


「聖女さま!?」

「黒髪の聖女さまが来たぞ!!」

(ひえッ!?!?)

黒髪は異世界人の証として人々に認識されていた髪色だったのだ。

(黒髪を望んだ私のアホー!!)

私は身を隠しつつ、黒髪ではない髪色にすることにした。

(ブラウン系の髪色にして!!)

するとそれに答えるように髪色がブラウン系の髪色になった。


(これで大丈夫、かな)

ブラウン系の髪色になった私は普通に歩けるようになって安心した。

私は賑やかな町を歩いていた。

(平和だなぁ。と思っているんだけど)

私はまたしても、嫌な予感がした。

(ちょっと待って。この町って。ま、まさか……)

私がいるここはクロヴィツア公爵家が治めている公爵領じゃないかーい!!

(ってことはシルフィさんがいた場所もだ!!)

のおぉぉぉ!!と私はまたしても絶望していた。


(逃げよう。この領から。あの家から。私はもうリリアーナ・クロヴィツア公爵令嬢ではないから)

捨てたんだから!その名前は!!


私は祈った。

(公爵領から出たい!!)

強く願ったら強い突風が吹いてきた。

「あ〜れ〜!」

その風に乗せられるように私は公爵領から抜け出した。抜け出した途端、パチンッと静電気のようなものを感じたけど、気にはしなかった。


「やった!自由だ!」


リリアーナ・クロヴィツア公爵令嬢。中身はへっぽこ残念大人の前世持ち。自分の幸せのために家出成功!!

しかし。両親は諦めてはいなかった。自分たちの可愛い娘に何かあっては困るのだ。

そう。実は両親は娘が大大大大好きだったのだ。

それはもう、嫁になどやらん!!と言わんばかりの親バカっぷりなのだが、それは別の話である。


ここまで読んでくれてありがとうございました

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