表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/27

6話


                 6


 約20分走ると、二人を乗せた車は、大型ショッピングモールの駐車場に着いた。開店してから10分程しか経ってない店舗は、まだ人が少ない。 


 駐車スペースに車を止め、降りてからすぐに店内に入ろうとすると、由香は助手席のドアガラスで、前髪を弄っていた。 それを待っていると、セット出来たのか、車を挟んで目線が合ったので。

「じゃ、行こうか」

 そう言うと。

「うん」

 と言う、元気な返事が返って来た。


(やっぱ、やさしいな大輔)



            △



 モール内に入り、一番先に行きたいのが衣料コーナーだと、来る道中に言っていたので、レディースコーナーに行く。

 由香の欲しい物は、会社へ着ていくスーツの下に着る、ブラウスだ。


 左右の店舗を抜け、目的のコーナーに向かう途中、何度か。


「わあ! あのカップル凄い」

とか。

「凄くお似合いのカップルだ」

とか。

「いいな~。あんな彼氏欲しい」

「あの男の彼女、可愛い過ぎだ!」

とかいう声が、道中で何度か聞こえた様だが、当の二人は、黙々と目的のコーナーにまっしぐらなので、耳に入って来なかった。と、思う。


            △


「ねえ大輔、このデザインの、可愛くない?」

「え?どれどれ....」

 そんな事を言われても、衣類センスが皆無と言って良いほど、大輔はガッカリ王子である。

「う~~ん......、分かんない」

 思っていた通りの答えが返って来たが、それでも、由香は 改めて ガッカリした。

(ホントに大輔って、容姿はめっきり良いのに、内容の所々がガッカリなんだよな~)

「もういい。 私、自分で選ぶから」



 こんな感じで、モール内でのショッピングが続いた。



            △



「ねえ大輔。 お腹空かない?」


 時刻は大体11時半前。 開店からずっとあっちこっちと、由香に引きずられる様に、歩き回ったので、二人とも空腹になっていた。

「確かに腹減ったな~。由香って、ほっとくと、時間忘れてオレを引きずり回しそうだもんな....」

「そんな事....ない....かも..」

「ま、いいか。 とにかく腹ごしらえだ~」


 二人、そそくさと、フードコートに向かう。 その途中で、お互いが何を食べたいか、話し合いながら移動するのだが、中々意見が合わない。

「俺、ちゃんぽんがいいな」

「えぇ!やだ~!わたし麺なら、パスタがいい」


 こんな些細な事案で、意見が分かれる。


「だったら、寿司はどうだ?」

「あ!」

「確かこのモールって、回転ずしがあったぞ」

「行く~!! お寿司すきぃ!」

「じゃ、決定な」

「うん!」


 何と、日本人の年代を超えた好食物で、この寿司と言う言葉に、キラリ感があるのは、この二人だけでは無いと思う。


「結構遠かったね」

「ココって、デカいからな~」

 そう言って暫く移動していると。

「やっと着いたぁ」


 店舗が意外に遠かったみたいだ。すると.....。


「え?!」


「「えぇ!!??」」


「何であなた達が、カップルで居るの?....、もしかして、あなた達付き合い始めたの?」


「ちが....」


「おい!大輔、言ってくれよ、親友だろ?俺たち」


 まさかの幸宏と美菜との鉢合わせである。


「なぁに? 由香、水臭い。 私たちの仲じゃない、なのにコレは無いよ~」

「だから、違うって美菜。大輔も言ってよ」

「お、おう」

「なんだ大輔、付き合ってるんじゃないのに、由香とデートか?」

「だから違うって」

「でもコレ、傍から見ると、全くカップルよ、由香、大輔さん。訳を話しなさい由香」


 この状況を何とかしなくてはならないと思った大輔は、取りあえず、話を逸らす。


「とにかく、昼食べないか?」

「「あ!」」

「そうだな、食べながら、尋問だな、美菜」

「そうね。じゃ、さっさと座りましょ」


 と言う訳で、回転ずしの店舗に入り、四人掛けテーブルを確保して、レーン側にいる女性陣に注文をし出す。

 どうやら尋問は避けられない様だ。


「まさかこんな所で会うとはな、幸宏たちは何が目的なんだ?」

「おっと!その手は食わないぞ。話を逸らすな」

「ヤッパな....」



 その後、美味しいはずの“すし”が、幸宏と美菜の質問の攻撃で、無味の食物になってしまったのを、大輔と由香は思い知るのだった。

(寿司って、味か無い時もあるんだな....)


「何だかな~、何かはっきりしないな~。お前たちってホントに付き合って無いのか?」

「「うん」」

「もうヤダ! 付き合っても無いのに、息ぴったりなんだから....」

「ホントのホントに、的を得ない話だな」


 食べながら、色々な話をする。


「.....で、ホントに大輔さんの方から、何となく今日どっか行こうって言い出したのね?」

「そうだが」


 これ以上尋問しても、事の進展が無いと理不尽的納得をした幸宏と美菜は、それ以上追及はしなかった。

 


「腹いっぱいだ~」

「オレもだ」


 結構皿を山の様に積んでしまったテーブルに向かって、満腹度を公表した男子二人。 それを見た女子二人は。


「ホントにもう、食べ過ぎよ。 午後の事も考えなさい、二人とも!」

 美菜の言葉に、言い返す男子。


「でも、女子達だって、後半は殆どスイーツだったよな~、な、大輔」

「由香がすし食べてるとこ、見て無いぞ~」

 コレに少し頬を膨らませて、由香が反論する。


「大輔が見てないだけで、食べてましたぁ~」

 ここで大輔が気が付いた。


「由香、もしかして、スイーツが食べたくて、回転ずしにOK出したのか?」

「........」

「どうやら図星だったみたいだな」

「大輔さん、もう勘弁してやって。由香泣きそうよ」


 シュンとする由香を見て、気が咎める大輔。....しかし....。


「嘘で~す」

 由香から べ~ が出て、クシャ顔をしたので、大輔は コノヤロー顔になり、人差し指で頭をコツンと叩いた。

「えへへ~」

 と、由香がフニャけると、正面席の二人が。


「ホントに付き合って無いんだよな?」

「この際、付き合っちゃえば?」

 と、また聞いてきたが、大輔と由香は、お互い顔を見合わせて、大笑いしてしまった。



 高校3年の後半の時、由香も結構馴れ馴れしくなってきたが、大学の4年間と、社会人になってからのプラス1年の合計5年間は、時々にしか会わなかったのに、同じ会社に入社してからは、こんな短時間で一気に高校時代に戻った様な感じになり、何処か何となくだが、大人っぽくなった由香の容姿に、大輔は心の中に何かしらの感情が芽生え始めた感じがした。


「でも実際こうやって4年ぶりに由香に会って、何だか以前の“女の子”と言う感覚よりも、うまく言えないけど、社会人になって、“女性”って言う言葉が相応ふさわしくなって来た様に思うな」 


 この大輔の言葉に、他の三人が、呆気にとられた。

 特に、当の由香が、ポカ~ン、では無く、ポッカ~ン、と言う状態だ。


「大輔さん、それ告白前兆のつもり?」

「?」

「なに呆気に取られているの?、自分で言った事でしょ?」


「オレって今、なに言った?」

 自分の口から出た言動に、いまいち理解が出来ていない大輔。


「なにって、由香の事を“女ぽく”なったって、しっかりと言ってたぞ」

「あ、言ったな、言っちゃったな、オレ、今」

「大丈夫か? 大輔」

「多分....」


 全員が黙り込んでしまったところで。



「あれ~? こんな所にダッサイ残念イケメンがいる~」

「あ~らら、ホントだ。残念ボーイだ、何でこんな所に?....、しかも、女連れ?....、って言うか、そっちは新入社員の長田さんじゃないの」

「あれれ~、ホントだ。 社内の男どもを良いようにフリまくって、お高く留まっている、あの な・が・た・さん、と一緒だ。ダサ男と高飛車女が、一緒に居る~、コレは良い所見つけた。 写メ撮っとこ」


 この人物二人は、社内の 谷川 奈緒 の取り巻きの例の二人だった。


 こんなところで、面倒くさい人物と、まさかの鉢合わせてしまったと、大輔は思った。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ