デート中
舜一は初デートである。遅れないようになんと30分前にはつこうと思い、早出してきたのだがもう安城はいた。まだ8時25分の時間である。
「ごめん、待った?」
「ううん、たった1時間程度待っただけよ。」
「まじで」
「ごめん、ウソ、いまさっききたところ。」
「そう、ならよかった。」
初デートで彼女を待たせてしまうなんて最悪だと思っていた舜一にとっては一安心だ。
「じゃあ行こうか。」
「うん」
いくといっても町内をただ散歩するだけなのだが、すごくドキドキする。これを街中のカップルは平気でしているなんてすごいと思ってしまう。
何を話そうか迷っていると、安城が
「ねえ、何であのとき助けてくれたの?」
「人がはねられるの見たくなかったからかな。」
「そう、なんだ。でも私幽霊だよ。」
「それでも、いまは思う。安城がはねられるのみたくない。」
「なんだか照れることを言うね?」
「ばーか。」
ふたりのあいだに笑いが起こる。そして安城が言った。
「私とお母さんね。トラックにはねられて死んだの。私が12歳のとき。お父さんは願ったらしいの。俺は死んでもいいから二人は助けてくれって。そしてたぶんお母さんも願ったんだと思う。この子を助けてくれって。だから私は一度死んだけど生き返ったんだと思うの。だから私幸せにならなきゃいけないってずっと思ってきた。でもそうおもい続けることが幸せじゃないってやっと分かった。私、舜一君に邪険にされてても嬉しかった。好きな人の近くにいて好きでいれることが一番なんじゃないかってそう思ったの。」
安城の告白に胸がドキリとする。なんでこの子はこんなに純真なんだろう。俺でいいのか、そう思ってしまう。だから、
「俺でいいのか。」
「君じゃなきゃいやなの。」
安城がそういってくれることが嬉しい。何より嬉しい。だから、
「これからもよろしく」
「こちらこそ。」
そんなこんなで散歩してると、親友である高木と偶然出会い、お互い気まずいままあとにした。