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フレーズ3
ズズズズーッと、おばば特性の薬草茶をすすりながら
取り敢えず今夜はここに留まることとなった。
リリアはせっかくだから精霊殿に泊まることを希望し、
念の為おばばが送っていった。
ーそれにしても、相変わらず苦え〜
体にいいとはわかっちゃいるけど、
普通のめたもんじやねえよな、ったく…
おばばってば、やっぱり味オンチじゃねえのか?
そしてまた、ズズズーっとすすっていると、
入り口の掛布が開いて、見知った男が顔を覗かせた。
「長殿…」
「いよぉ、久しいな!クソボーズ。
ちょっといいか?」
返事を待たずに、風の一族の長は
部屋の中に入り込んできた。
鍋がかけられたかまどの火を囲むように
長はよっこらしょと、座り込む。
火に手をかざしながら、ハルフォードの方に視線を
向けることなく、語りだした。
「ちょいと、昔話をしにやってきた。
役に立つか立たねえかはわからんが、
まあ、黙って聞け!
それは、昔のことだー」
そうして、長の話がはじまった。