あふたぁ! その三
「姫! そろそろ婚姻をですな……」
「あーあーあー。聞きたくなーい」
姫騎士はやさぐれている!
それも仕方ないだろう。勇者が姿を消して数年。彼女はこの世界、国において立派に行き遅れである。
しかし、彼女は勇者を望んで止まない。他の男との婚姻など言語道断である。
ただ……それだけで姫騎士がやさぐれると言うのはあり得ない。
では、何故彼女がこういう態度を取っているかと言うと……。
「姫のパーティーメンバーだったお二人は既に結婚をしたと言うのに……」
「それは! あなた達が! 嫌がる二人を無理やりに嫁がせたんでしょう!!」
そう、三人揃ったままだと、この三人は結託し、生涯独身を貫きかねないと王達は判断した。
その結果。女戦士と女賢者は……王の命令により、姫騎士の兄に無理やり嫁がされる事となった。
勇者を逃した上に勇者を求めて長い時間費やしている。とは言え、元々三人とも勇者に着いて行けなかったとは言え、この国において優秀な人間である事に代わりは無い。
当然、そんな彼女達を遊ばせておくなど国の損失だ。
「陛下が国の事を考えての事です。勇者はもう……戻らないでしょう。であれば、次代の為にも皆様には子を生してもらわねば」
「気持ちの問題よ!」
説得も無く、突然に嫁げと言われた方の身にもなってみろ! と姫は言う。だが、そもそも勇者に対するハニートラップとも言うべき行動も、突然だったはずなのだが……。
それはさておき、国として考えれば別におかしい事は何もない。
政略結婚など当たり前の世界だ。それこそ、生まれる前から婚約者なんて話もある。
そして、大抵の者は其れを受け入れているのだが。
「私から二人を取り上げて! 話すらもさせて貰えない! これで、納得しろは無いわよ!」
今日も今日とて、姫の気分は最低値である。
これでは、何時、姫のお相手を見つける事が出来るか……そう悩む姫付きのメイド。
彼女は今日も、姫の愚痴につき合い……自らの婚姻がどうなるかを悩んでいた。何故なら、姫が結婚してくれなければ、自分の事は後回しにされてしまうのだから。
因みに他の二人はと言うと……。
「で……殿下。お戯れを」
「そ……その、流石にコレは恥ずかしいです」
「いやいや、気にするな! 皆で楽しんだ方が良いだろう?」
聞けば怪しい会話に聞こえる。だが、なんて事はない。三人がやっているのは……下着のような服を着用しながら。
「これが、美しく見えるポーズだ!! サイドチェストォォォォ!」
ふん! と、鼻息を荒々しく出しながら、姫騎士の兄である殿下は筋肉を美しく見せるポーズをとる。
ただ、彼のみがやっているのであればマシと言えるのだが。彼は、事も有ろうか陛下である父にお前の嫁だと言われた女戦士と女賢者にも、同じようにポーズをさせている。
「ハハハ! 流石は戦士だな! 素晴らしい筋肉じゃないか!」
「いえ……その……恥ずかしいのですがぁ!」
「賢者は、まぁ、頭脳職だから仕方ないとは言え、無駄な脂肪は着いてないと見える。流石レベルが高いだけはあるな」
「えっと……その、ありがとうございます?」
などと、彼は実に楽しそうにしている。
そして、女戦士は恥ずかしいと言いながら、筋肉自体は自慢なので照れながらもどことなく喜んでいるようにも見える。
「次は……フロント・ダブル・バイセップスゥゥゥゥゥ!」
何はともあれ、彼女達は殿下のテンションが凄い為か……悩み枕を濡らすなどと言った時間は余り無さそうである。
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という事で今回のピックアップは三人娘。
因みに、裏設定を言うとですね。
この殿下……本来ならば、勇者のパーティーに選ばれるべき人でした。
パーティーが結成された頃だけでいうならば、彼は妹の姫騎士よりもレベルが高かったのです。
ですが、ハニトラを企んだ王により強制的に妹へとメンバー入りが変更。
まぁ、真面目な性格なのです。筋肉! とか言ってますが、民を守るにはパワーが必要と常に自己鍛錬をするような人物だったり。
因みに、妹たちの事はイラっとはしたけど恨んではいません。国の事情と言う物を理解しているので。ただ、勇者を逃したことに関しては……といった感じです。




