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四十話

 液体の中に浮ぶ、魔石を埋められた人々の姿。

 この状況だけを見れば、間違いなくマッドな科学者が非道な実験をした。そう言っても過言では無い。

 そして、ソレは間違ってないと判断出来る証拠を勇者達は回収する事が出来た。


「研究日記……なんともまぁ、嫌なタイトルだな」

「気分の良いモノじゃないっすよね……内容はっと」


 日記のはじめは、この研究に着手した理由が書かれていた。

 切っ掛けは単純で、化物を見た事でその力に魅せられ、勇者が居なくても戦う戦力という物を考えたのが切っ掛け。

 そして、魔石を使う事で化物を作り出せるはずと言う事が書かれていた。


「……やはりアノ化物からヒントを手にしたといった感じか」

「魔石がヒントだ! って書いてありますね。一体何処で確認したのかしら」

「うーん……化物だったら、魔石の存在を確認するのは難しいはずっすよ? 何せ、化物が出る前も倒した後も魔石が落ちたりしませんでしたし」


 どこでヒントを手にしたのか。その事が書かれていないために頭を悩ませる勇者達だが、その件はまだ最初の内容なので問題ないだろう。

 問題があるページと言えば……。


「生きている人に無理矢理魔石を埋めた……か」

「こっちには、妊婦の胎にってのも書いて有るっすよ……」

「これ、いきなり人間で実験してるみたいね」


 次々と明らかになる非道な手段に、三人の表情はどんどん曇って行く。


 そもそも、人間に魔石を埋めるなど正気の沙汰では無い。何せ魔石とは、モンスターが体内で作り上げた魔力の塊だ。当然だが、人間が持つ魔力とは異質のものである。

 そんな異質の魔力の塊を取り込むとどうなるか……異変が起こるのは当たり前の話だ。

 単純な話、違う血液型の血を体内に入れる。それと同じような行為。いや、寧ろもっと性質が悪い話かもしれない。


「たしか、魔族の禁書に書かれてたはずっすよ。モンスターの魔石を埋め込むと、死ぬか化物になると」

「ふむ……昔同じような事をした奴が居たのか」

「みたいっす。結果が結果だったみたいで……禁断の技術として、研究は全面的に禁止。万が一の為と言う事で、特定の人物だけが読める禁書にのみ書かれたって技術っす」


 その時のマッドな研究者がどんな手法で研究したのかは別として、そのような非道な実験を日々普通に過している人を対象に実験した者が居る。

 これは実に由々しき自体である。


「とは言え……これはこれで処理が難しいな」

「何故っすか? 普通にやった奴の首を落せば良いじゃないっすか」

「まぁ、問題は此処が領主により造られた建物って事だ」


 領主と言う事は、この国の貴族と言う事だ。ともなれば、その者を断罪するにしても色々と手順が居る。いきなり殺してしまえば良いかもしれないが、それはそれで様々な問題が残るだろう。例えば、陰謀論を作り上げ戦争の名目にされたり。

 とは言え、この非道な実験を表に出来るかといえば、ソレも無理な話。真似をする輩が出て来る可能性もある。

 更に、多種族である女魔族や男魔族が手にかけるのも問題だ。


「勇者である俺が表に出るのも……現状だと難しいからな」


 今や、勇者の評価は二分化されて居る。勇者は魔王と組んだ! と騒いでいる者と、勇者は世界を救うために魔王を利用した! と言った者たちだ。

 故に、此処でこの領主の首を勇者が取ったとすれば……前者である、魔王と組んと言っている輩が、更に騒ぎ出すに違い無い。


「国に匿名でリークするってなんて手もあるが……」


 それで国が隠蔽工作などしてしまえば、それはそれで問題だ。


「一番良いのは……国が見せしめに処分してくれる事だが、難しいだろうなぁ」


 結構大きな領地の領主ともなれば、地下で色々と工作しているだろう。


「もう、匿名で首を取って見せしめだ! と宣言すれば良いじゃないっすか」

「確かに、それが一番楽なんだけどな」


 男魔族が言う方法が一番楽ではある。だが、世界はそんなに単純では無い。


「まぁ、それに関しては追々考えるとして、今はこの村人だった者たちを眠らせてやるのが先だろうな」


 ゾンビ事件も、元はと言えばこの村人達が原因だったようだ。

 日記には、実験初期の頃に魔石を生めた人々がゾンビのように徘徊したと書かれていた。


 魔石を埋められ、意識が奪われていく中、村の中をかすかな思い出を元に彷徨ったのだろう。その姿が、まるでゾンビのように見えてしまったのかもしれない。

 何せ、意識は朦朧とした状態で動いていたのだから。


「液体に使っている者は……生命反応もないからな。開放してやるしかあるまい」

「……なんというか、嫌な事件ね」

「魔石を外して、火葬っすかね」


 放置をすれば、その内本当にアンデットとして動き出す可能性もある。

 故に、勇者達は手分けをして村人達を屋敷から運び出し、静かに眠りにつけるように祈りながら作業をして行った。


 この様な事を仕出かした者にしっかりと後悔させると、返事をしない村人達に約束しながら。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。


マッドな扱いって難しいですよね。

技術の向上と言った面で、そういった行為を行った歴史があるのもまた事実です。

とは言え、普通に暮らしている人々にその手の行為をするのは……と。

今回、勇者達が切れたのも、そう言った事が日記に書かれていたからとなります。


語るには足りませんが、そこら辺はご了承ください。

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