二十七話
其処に在ったモノは全てが破壊されていた。
木々は燃やし尽くされ、山は抉れ、川の水など一滴たりとて残っていない。
其処は死だけが残っていた。
狩られたモンスター達の核が大量に散らばっており、生存して居る者は一切居なかった。
そして、絶望が生まれた。
散らばった大量の核達が一ヶ所に集まり……周囲を変化させて行った。
所変わって、勇者達が居る森。
何時もの様に勇者は何かを作っており、女魔族は子狼の世話をしながら家事をしていた。
そんな日常の中、たまにある男魔族の叫びが部屋の中に飛び込んできた。
「てぇへんだてぇへんだ!! 兄貴! 姉さん! 大変だぁぁぁぁぁぁぁ!」
「落ち着きなさい! 一体なにが有ったの?」
「えっと、それがなんと言うか!! 兎に角、化物が暴れて!!」
化物が暴れる。その様な事は魔境と呼ばれる〝還らずの森〟と同じような場所では日常茶飯事だ。特段慌てるような事でもない。
それに、化物と言えば勇者や魔人族も化物染みた力を持っている。
だが、そんな化物クラスの力を持つ男魔族が、化物が出たと言うのだ。それは一体同いう事だ? と勇者は頭を捻った。
「兎に角、もう少し詳細を説明出来ないのか? 何処で、どんな化物が、何をしているのか位は調べてるんだろう?」
「え、あ、はい! 兄貴の言うとおり調べてます!! えっと、場所は此処と同じ魔境の一つで〝憤怒の山〟と言われる場所です。それで、えっと馬鹿みたいにでかい竜? が、山一つを粉砕したとか!」
「……馬鹿みたいにでかいってドレだけでかいんだ?」
「それはもう……一つの山と言って良い大きさっす!」
ありえない。
勇者の頭には先ずソノ言葉が浮んだ。間違いなく竜と言う存在は居るのだが、その大きさも大きくても数十メートルといったサイズ。
それでは山のような大きさ等と言った表現にはならないだろう。
では、山と表現された竜とは何だろうか? と言う話になる。だが、どんなモンスターでも山のような大きさになる存在は居ない。
だからこそ、勇者はありえない。と思ってしまったが、それでもこの男魔族が嘘をつくような真似はしないはずだと思っている。
だからこそ、勇者は話を続ける選択をする。
「先ず。俺はお前が嘘を着くとは思っていない。だが、現実的に山のようなサイズのモンスターは存在しえない……一体何が起きてるんだ?」
「あ……兄貴!! えっと、それが何が起きたかも解ってないみたいで……情報を集めようにも皆怖がってまして……」
「まぁ、そうだろうな。そんなにデカイ何かが破壊活動をしていたら、兎に角逃げるのが先だよな」
「……って、そこ! 〝憤怒の山〟って、兄弟の誰かが送り出されてたわよね!! 大丈夫なの!?」
「そ、それが……行方不明みたいで……」
彼等の兄弟姉妹は父親によって魔境へと修行に出されて居る。
実際に、男魔族は別の魔境でレベリングをしろと送り出されていたし、女魔族もこの〝還らずの森〟に送り出されていた。
彼等の父なる人物が、どのような事を考えているのかは勇者達には解らないが、状況だけ見れば戦力強化なのだろうと判断出来る。
そして、その一ヶ所である〝憤怒の山〟にて、今回問題が起きたのだから彼等にとっては一大事だ。
「えっと……〝憤怒の山〟の担当は誰だっけ!?」
「場所は聞かされてたけど、誰が行くかまでは聞いてないっす!」
「おいおい……兎に角、他の兄弟姉妹でやらかしそうな奴とかは居るのか?」
「えー……あー……うん」
「そりゃ……うん……」
二人の反応からして勇者は察してしまった。やらかす奴等だらけなのだろうと。
とは言え、何をどうすれば魔境たる山を一つ粉砕する様な事になるのか。それが解らなければどうしようもないと勇者は考えた。
「先ずはだ。何が起きているのかが解らないとな。直接見に行くか、それとも周囲から情報を収集するかだが……」
「兄弟の誰かが馬鹿をやっただけなら良いんですが……とりあえず俺が情報を更に手に入れるよう動いて来ます。兄貴達は……最悪何時でも動けるようにして貰って良いですか?」
「それは構わんが……大丈夫か?」
「へい。何か起こる前に逃げますんで!」
より正確な情報を。そう考えた勇者と男魔族は此処で動きを開始する。
とは言え、勇者は男魔族に言われた通りに待機するのだが、ただ待機する訳ではなく、本当に山のようなモンスターが居た際に、それを何とかする為の手段を探す為に動き始めた。
そして、男魔族は〝憤怒の山〟の側にある人里へと移動を開始する。
「さて、お前はあれだ。文献でも調べてくれ。山の様なモンスターについて過去に何か有るかをな」
「了解! ちょっと書物を漁ってくるわね」
女魔族は勇者に言われて、過去の文献を調べる為に本が大量にある場所へと移動をする。
動き出した世界。だが、またしても思わぬ方向で物事が進みだした事により、勇者は思わず溜息をはいてしまう。
とは言え、世界と言うのは得てしてそう言うものだろう。
勇者は思う。この状況だと……全ての国はどう動くのだろうか? と。もし、山のような大きさのモンスターが居たとして、そいつの進行方向が、魔人の領域だったら? 人間の領域だったら? 獣人の領域であればどうだろうか? 恐らく、便乗する者が出てくるのでは無いだろうかと。
とは言え、本当に実在するのであれば事が事だ。早急に対処するしかないだろう。
何故なら、そのような大きさのモンスターともなれば、討伐出来る存在は勇者と魔王ぐらいしか居ないのだから。
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巨大な化物は浪漫かと!




