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一話

 男が闇の中を一心不乱に駆け抜ける。まるで何かに追われ恐怖し逃げるような走りだ。

 だが、この男。世間では勇者と呼ばれ、その実力は人種一である。そんな男が何故この様な逃走劇を行なっているのか。


「はぁはぁ……ここまで来たら……安心だな」


 勇者が息を整えながら周囲を見渡し、追っ手が居ないかの確認をしている。

 一体何に追われているのか、彼を勇者を知っている者が見ればそう思うだろう。なにせ彼は勇者だ、多少の追っ手なら反撃による撃退が出来るはずだ。

 だが、彼は逃げている。それは何からか? それは、彼のパーティーメンバーに問題があった。


 パーティーメンバーその一。姫騎士ちゃん。

 彼女は王が勇者に付いて行く様に命じた自分の娘だ。剣の腕もあり、また魔法も、勇者と魔王が使える魔法(勇者と魔王は特殊な魔法が使える)以外の中級まで使えるという、ハイスペックな魔剣士という加護を受けた実力の持ち主。

 勇者が魔王を倒した後、勇者の第一夫人となるよう命じられているが、一向に勇者が靡かない事で焦りを感じ、夜這いやら国から取り寄せた媚薬などを用いて、既成事実を作ろうとするとんでもないお姫様。


 パーティーメンバーそのニ。戦士ちゃん。

 彼女は姫騎士ちゃんと共に戦術を学んでいた娘だ。姫騎士ちゃんとは幼馴染と言える。彼女は盾と短槍を使いこなせる盾騎士と言う加護を受けて居て、パーティーでは有能な壁役だ。

 そして、彼女の家もまた有力な権力者の家で、姫騎士ちゃんと共に勇者を陥落し第二夫人になるべく連携して行動。当然勇者の精神をゴリゴリと削る要因となっている。


パーティーメンバーその三。賢者ちゃん。

 勇者が旅に出る事が決まった前年度の魔法学院主席。四属性と聖属性と闇属性を使える賢者の加護を受けた娘。

 ただし、彼女は平民出だった為に学校でもパーティーでも一歩引いた位置にいた。居たのだが、勇者を落したとなれば話は別となる。なので、上記二人とは別の角度から猛烈なアピールを勇者にしている。当然これも、勇者の精神にダメージを与えている。


「……あいつ等は、俺にアピールするよりももっと腕を磨けよ。毎回何かあるとピンチになって、それの尻拭いをしてるのは俺だぞ」


 勇者は今までの事を思い返しながら愚痴る。ただ、そのピンチと言うのも大半は演技で、勇者に助けてもらって少しでも側にという行為なのだが……その内容は勇者にとってイラつく理由にしかなっていないので、逆効果となっている。


 結果、勇者の我慢は限界となり、パーティーからこっそりと離れた。

 この選択が勇者自身にとって、そして彼女達にとっても良い結果になると信じながら。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「勇者や魔王が使える魔法以外の中級まで使えるという、ハイスペックな魔剣士という加護を受けた実力の持ち主。」 よく上記の文章の意味が分からないのです。姫騎士は、勇者、魔王が使えない特殊な魔法は…
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