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6章

──────────────━────────

目を覚ますとベッドの上だった


「ここは────っつ!」


起き上がろうとし全身に走る痛みに顔を歪める


「無理をするな。自己治癒リジェネをかけてはいるが傷はまだ癒えていない。」

「あんたは───」


例の旅人が俺を見守っていた。そうだ俺が死にかけているときこいつが現れて───


「そうだ!ギル!ギルはどうした!?」

「あの小僧ならクロッカス殿が先に救助した。打撲している箇所があったが元気だ。ここは村長の家だ。」


旅人からギルの無事を告げられホッとする


「ニーナという娘が泣きながら村に帰ってきてな。お前とギルが襲われていると話した。クロッカス殿が血相を変えて飛び出し、私も後ろからついて行ったというワケだ。」


ニーナも無事のようだ、逃げ回るので必死だったが随分時間が経過していたようだ。そういえば熊と対面している時にはもう少しで日が落ちそうだったな。


「ギルを見つけたあと、クロッカス殿と別れ私一人で君を追いかけた。デカい足跡が残っていたから追跡は容易だったよ。間一髪のところで間に合い、今に至るというわけさ。」

「そうか、助けてくれてありがとうな。」


終わったのだ。俺は奇跡的に生き残った。安心感からか、なんだが眠くなってきた。無理もないだろう、山を登り、そのあと化け物と命がけの鬼ごっこをし、戦ったのだから


そのまま眠気に耐えられず、再び薄れゆく意識は


「君はユニークスキルを持っているね?」


旅人の言葉で一気に現実に戻ってきた


「今…なんて?」

「君はユニークスキルを持っている。間違いない。ぜひどんな能力か教えて欲しい。」


思考が追いつかない。俺にユニークスキルがあるだと?旅人は畳み掛けるように話す


「君はあの場でユニークスキルを使用し、魔力が枯渇した。私が到着した時まさに頭に巨熊の腕が振り下ろされ、粉砕された。吠えている間に魔法でヤツの頭を吹き飛ばし君を確認すると、どういうわけか頭は砕かれていなかった。」


そうだ。俺は間違いなく砕かれた。しかし実際には苔で足を滑らせたお陰で掠るだけで済んだ。いや、その前もおかしい。俺は巨熊の心臓に剣を突き刺し、相討ちになっていたはずだ。だが実際には心臓に刺したはずの剣は俺の手の中にあり、ヤツの腕が切り落とされていた。


「不死身だとすれば魔力オドが回復した今、傷が癒えないのはおかしい。君のスキルはもっと可能性を秘めていると私は感じている。」

「待て、ユニークスキルなんて俺は知らないぞ。いや、それ以前におれにはまともなスキルがない。」

「無自覚だったか。まぁいい、話は明日にしよう。私は村長たちに君が目を覚ましたと伝えてこよう。」


そう言って部屋の出口に向かう。


「今日はもう休みたまえ。『睡眠スリープ』」


呼び止めようとする俺に何か魔法を唱えていく。ダメだ眠い。意識が保て───────


『ジーン!?生きてて良かったぁー!あれ?寝てる?ジーン?ジーン?』


幼馴染の声が聞こえる中、俺は眠りについてしまった


───────────────────────

窓から入る日差しに目が覚める。ボーッとしながら起き上がろうとし


「っつ!」


腹に痛みを感じ完全に覚醒する。

そうだ、俺は昨晩、あの旅人の魔法で強制的に眠らされたのだ。

痛みが引いていき、今度こそ起き上がる。右腕と腹は完治していないようだが昨日より全身が軽い。


「…………ジーン〜…」


声がしたと思えばベットの横にしがみついて寝ている幼馴染リノを見つける。目の周りは泣いていたのだろう、赤く腫れている


「心配かけちまったな…」


起こさないように気をつけながら反対側からベットを抜け出す。1回に降りると村長と旅人がいた。


「おはようジーンくん。傷の調子はどうだい?」

「おはようございます村長。完治はしていませんが昨日よりは随分楽ですよ。」

「それはよかった。旅人さん、ジーンくんのことをありがとう。」


村長からの礼を受け、旅人は首を横に振る


「いや、当然のことをしただけさ。ところで昨日はよく眠れたかい?」

「あぁおかげさまでな。」

「そんな怖い顔をしないでくれ。君の疲労を思いやってのことなんだ。頭もスッキリしただろう?」


確かに昨日は一気に情報が流れ込み混乱していた。たが人に問答無用で魔法を行使するのは人間性を疑う。


「旅人さんから話は聞いたよ。魔物化した熊と遭遇したようだね?」

「魔物化?この辺りの魔物はスライムと、山のヌシだけじゃないんですか?」

「村長、そこは私から説明しよう。長くなるから座りたまえ。」


旅人に促され、俺、村長、旅人の三人でテーブルに座る。


「我々が魔物と呼ぶものには二種類ある。大気中の魔力マナが集まり生まれるもの、そして野生の動物が突然変異、つまりは魔物化したものだな。スライムなどは前者、此度の巨熊は後者の魔物化によって魔物になったのだ。」

「魔物化なんて初めて聞いたぜ…」

「王都では一般常識なのだがな。深い傷を負う、急激な環境の変化があったときなどに生き残ろうという本能によって魂、及び肉体が変質する。」


魔物化の説明を丁寧にする旅人。村長は先に話を聞いていたのだろうか、特に何も言うことなく話を聞いている。


「巨熊の死体を回収し調べたところ、背中に何かが突き刺さっていたような傷跡があった。恐らく何かに貫かれ、瀕死の状態になり魔物化したのだろう。」

「この村では今回の事件のようなことはなくてね、魔物化の知識もいつの頃か忘れ去られていたのだろう。オリン山は勿論、森への立ち入りには細心の注意を払おうと思う。」


確かに俺が昔冒険ごっこした時も今回のようなことはなかった。平和だけが取り柄の村だが危険に対する警戒が薄れていたのだろう。


「まぁこれが今回の事の顛末だ。さて、それでは私の本題に入らせてもらうよ。」

「本題だと?」

「あぁ、山でも聞いたが──────」


旅人は碧眼で真っ直ぐと俺を見つめて告げる


「私の弟子にならないか?」


受難の未来には謎の旅人の勧誘も含まれるのか?


受難の未来がもう少し続くとはこの時の俺は思ってもいなかった。

うーん、なんか中途半端な終わり方ですがこれで一部終了です。許してください。あと山のヌシがストーリーに関連してくるのを考えると山に名前がないのはおかしいのでオリン山と名前をつけました。ガバガバで申し訳ない。時間が大きく取れたので勢いで書き始めましたがまた通常通りになるので週末更新になると思います。何卒応援よろしくお願いします。

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