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1章

村の近くの山林でボロ雑巾のようにズタボロの俺の前に1人の少女が立っている。右手の甲の光は恐らく魔力の輝きだろう。近くには頭のない巨熊が倒れている。


「おい、少年。私の弟子にならないか?」


頭から血を流し、意識が朦朧とする俺に何事もないかのように提案する少女。


「───────────ぁっ。」


そんなこと聞く前に助けて欲しい。なんて考えてるととうとう限界を迎え、意識が途絶える。


……これが俺と少女の師弟関係の始まりだった。

────────────────────────

この大陸「ミラミス」は大きな軍事力を持つ5つの大国、聖女及び天使族が守る聖教会、そして魔王率いる魔族が住まうマギアス。これらの勢力によって統治されている。

そして5大国最大のホーファーツ王国は繁栄を謳歌している。マギアスに最も近い国だというのに、王都は商いで賑わい、その栄華はとどまることを知らない。


「─このド田舎にももう少し活気を分けて欲しいぜ」


どっこいせ と村の外柵の補強を終える。ここはベア村。ホーファーツ王国の南端に位置する村で、四方を森と山に囲まれたド田舎、辺境、オワコン。なんと呼ばれようが構わないがマギアスと呼ぶのはやめて欲しい。


「お疲れジーン。昼食持ってきたよ。」

「ありがとうリノ。」


村の外柵までわざわざ弁当を届けにきてくれた可憐な顔立ちで翠色の長髪に花飾りのついたカチューシャを身につける少女。ベア村村長の娘にして幼馴染のリノだ。

リノから昼食の入ったバスケットを受け取り、中のサンドイッチに手を伸ばす


名乗るのが遅れたが俺の名はジーン。『戦士』の役職を持つベア村在住の15歳どこにでもいる田舎ものだ。


「ごめんねー?外柵の補強なんかお願いしちゃって。」


1つ目のサンドイッチを食べ終え、2つ目に手を伸ばす俺にリノが言う。


「問題ない。他の大人たちは収穫で忙しいだろ?それに仕事がないと俺はただの穀潰しじゃないか。」


7月の今は小麦の収穫で村の大人たちは大忙しである。


「むー。村を守ってるし穀潰しではないと思うけどなぁ。」

「守るって言っても村を襲う魔物なんて誰でも倒せるスライムしかいないだろ。いっそ王都に行って傭兵にでもなるか?」


勿論そんなつもりはないが冗談を言ってみる


「む、それはちょっと困るかな…」


リノがムスッと顔を膨らませ長い髪をいじりながら呟く。冗談のつもりが真剣に取られてしまったようだ。そもそも『最弱職』の俺が傭兵になっても活躍出来ないのは分かってるはずなのに。

この世界では生まれた時から誰しも役職が与えられる。個々の才能の差はあれど、この役職によって身体能力に差が生じ、得手不得手が別れる。そして俺の『戦士』は初級職であり、身体能力があまり高くなく、魔法適性もない。それゆえの『最弱職』である


「冗談だよ。サンドイッチ、ごちそうさま。」

「お粗末さまです。じゃあ私、旅人さんの案内しに行くから。またねー。」


そういえば珍しく旅人が来てるのだったか。女の旅人らしいがこんなド田舎にわざわざなんの用だろうか。リノを見送り、自分の家に向かう。

家の近くに来たところで向かいから二人の親子がこちらに向かって来ていた。


「あ!ジーン兄ちゃんだ!」


俺を見つけるやいなや、タックルをかましてくる栗色の髪の幼女を正面から受け止める。頭がみぞおちにめり込むが我慢だ。


「おうニーナ、今日はいつもより元気だな。クレハさんもお元気そうで。」

「ごめんなさねジーンくん。この子、冒険に行くとか言ってはしゃいでて…」

「冒険?」


俺が聞き返すとニーナが胸元から顔を離す。そして眩しいほどの笑顔を浮かべながら話す


「うん!ギルと一緒に森に行くの!でんせつのひほーを探しに行くの!」


あの悪ガキニーナをそそのかしやがったな。脳裏にニシシと笑う銀髪の少年の姿が浮かぶ


「こんな感じで言うことを聞かないのよ。ジーンくん、悪いけど一緒に行ってあげてくれないかしら。危険な魔物はいないといっても子供だけでは危ないわ。」

「それくらいなら。ニーナ、冒険はいつ行くんだ?」

「うーんとねぇ、明日!明日の昼から行くの!」


なるほど、明日の昼か。それなら予定は空いているな。


「クレハさん、俺に任せてください。しっかり2人を守りますよ。ついでにギルにはお仕置きしておきます。」

「ありがとね。でもギルくんをあまり虐めないでね?」


ニーナはワーイとバンザイしながら駆けていく。


「あぁニーナったら!じゃあジーンくんお願いね。」

「はい。」


バンザイしながら駆けていくニーナを慌てて追いかけるクレハさん。二人を遠目に見送り、我が家へと入る


「ただいま…っと。なんてね。」


帰りの挨拶をするが返事はない。

父さんは俺と違って『騎士』の役職を持ち、母さんは非戦闘職だったが強力なユニークスキル所持者だった。

しかしそのために13年前の帝国との戦争に呼び出され、戦死した。それからは村長一家に育てられた。両親の顔は覚えていない。ただ父の形見の剣、そしてこの家だけが俺が両親から受け継いだものだ。俺自身は二人とは全然似ていない。


──どうして俺は父と違って最弱職なのか

──どうして俺は母のようなユニークスキル所持者でないのか

いっそそんなものはいない。お前は捨て子だ。と言われる方がどれほど楽だっだろうか。


「いかんな。またこんなことを考えてる。」


そんな考えてを晴らそうと、父の剣を取り、庭に出て日課の素振りを行う。昔からずっと続けている。最弱職である現実から目を逸らし、理想の父の影を追い続けて、ただ無心に剣を振る。


素振りを続け、腕が上がらなくなる頃には日が落ちかけようとしていた。剣を鞘に納め、家の中に戻ろうとする


「熱心に剣を振るのだな。この村には似合わない。」


不意に声をかけられ振り向くとボロのローブで全身を覆った人影がそこにあった。フードを深く被り、夕陽を背にしていることもあって顔はよく見えないが声からして女、恐らく例の旅人だろう。


「そりゃあ平和だけが取り柄の村だからな。俺みたいに剣を振るやつはいない。」

「ではなぜ君は剣を振るのだ?」

「それは──。騎士になりたいからだ。」


素直に答える。顔は一切見えないがそれでも疑問を浮かべているのが分かった。旅人は首をかしげる


「騎士になりたい?騎士としての鍛錬ではなく?天から与えられた役職は変わらないのを知らないワケではなかろう?」


知ってるよ。戦士は戦士、騎士は騎士。与えられた役職が変わることは無い。俺は死ぬまで最弱職の戦士であり、それに見合った能力しかもたない。いくら鍛錬し、実力をつけようと騎士や勇者には及ばない。


「それでもだ。俺は強くなって騎士になる。そのことに余所者のアンタにとやかく言われる筋合いはない。」


そんなことは分かっているさ。沸き立つ苛立ちを何とか抑えながら応える。


「む、気分を損ねてしまったか、これは失敬。私はこれで立ち去るよ。」


到底反省してるようには見えない。


『旅人さーん!』


遠くからリノの声がする。旅人は基本的に村長の家に泊まる。もう日も落ちるし、リノの案内のもと村長の家へ向かうのだろう。


「──受難の未来が見える。村の外には出ないことをすすめる。」


最後に何かを言い残して旅人は去っていった。どうにも話しにくいやつだった。リノや村長に失礼なことがなければいいのだが。


その後、夕飯を食べ、ランプを消して寝床についた。

初めて書くのですごい中途半端なところで区切ったり、短いシーンをウダウダと文字並べたりと読みにくいと思いますが御容赦ください。ついでに日常生活の隙間隙間で書くので投稿頻度の変化が激しいと思います。なんとか書きたいシーンまで連載続けたいでござる

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